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第十一章 新たな相棒
第百四十三話 どうしてこうなる
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深夜帯なのに関わらず豪快な銃声を響かせてしまったせいで、宿屋周りにいた者達はすっかり目を覚ましてしまったようだ。
誰かが呼んだ衛兵が捕まえた者達を連行して行ったのを見ながら、イズミは獣人から質問をされていた。
「だから、あのバカでかい音を出してアホみたいな威力を持った武器だよ!アタイはちゃんと見てたんだ」
「この武器は俺の命綱だからな、簡単には他人に見せるつもりは無い」
そう言って部屋へ戻ろうとするイズミの腕を掴み、ジト目で圧をかけてきた。
「グッスリと眠っていた皆んなを叩き起こした様なもんなのに、悪党を捕まえたのでハイおしまい…なんて都合の良い事にはならないぞ」
「それは困ったな…是非ともそれで終わって欲しいのだが」
全体重をかけて部屋へと向かおうとするも、ガッシリと腕を掴む獣人に力負けして全く進まない。
「普通に考えて、迷惑料くらいは渡した方が良いと思うなぁ…今後の為にも」
ジト目の物凄い圧を感じつつ、イズミはマスタングに相談した。
「どうするのが良いかね?」
「金銭的解決や物的解決が良いかと」
1人当たり銀貨10枚とか、物だと少々難しいか。
マスタングで実体化させれば簡単かもしれないが、魔力を消費するもの微妙な気がしたのだ。
「ぐぬぬ…」
「ジー…」
イズミは身体が一向に前へ進まないので抵抗を諦め、穏便に済ませる為に覚悟を決めた。
「分かった…迷惑料で銀貨10枚、もしくは人間には強めの酒をカップ2杯分。そのどちらか一方でどうだ?」
「そう来なくっちゃ!」
獣人は素早く目が覚めてしまった者達をまとめあげ、宿屋の前に並ばせてしまった。
その数およそ20人。
「…マスタング、この前の酒じゃない…別のウイスキーを実体化してくれ」
「分かりました。此方にしましょう」
マスタングが実体化を決めたは、BARに行けばジャックと同じくらい見かけるヤツ…ラベルの七面鳥が目印のウイスキーだった。
その特徴的なラベルの無いボトルで実体化された。
「では聞こう…銀貨10枚と酒、どっちが良い?」
「「「酒に決まってるだろ!!」」」
全員が酒を所望していたので、イズミは列に並んだ皆が持つカップに酒を注いでいった。
「じゃ、これでおしまいだな」
その場にいた者達に酒が行き渡ったので、イズミは瓶を仕舞ってから部屋へと戻った。
酒を貰った者達はプチ宴会を始めていたが、気にしない事にした。
「ふぅ…やはり静かな武器が必要だな」
「そうだな。あんなデカい音は迷惑過ぎるぞ」
部屋に入ったイズミが上着を脱ぎながら呟いた独り言に返事が返ってきたので、手にしていた上着を声のした方へ投げつけ、バックステップを踏みつつマグナムを抜いた。
「何故俺の借りた部屋にいるんだ?」
緋色のボサついた髪をかき上げながら、獣人の女が上着をどかした。
「何故って、アタイは迷惑料も穏便に解決を提案した礼も、アンタを狙ってた奴を倒した礼も貰ってないからだが?」
上着を椅子に置きつつあっけらかんと話す獣人に、ため息をつきながらマグナムを仕舞った。
「アタイが麻痺薬を塗ったクロスボウで奴等を撃ってなかったら、今頃重傷を負ってたぞ」
床にあぐらをかいた獣人を見ながら、イズミはベッドに腰掛けて考え込む。
「要件を言ってくれ。面倒くさいやりとりは無しにしたい」
「じゃ、あの武器をくれ」
「それは無理だ。俺以外には使いこなせない代物だ」
イズミと獣人の睨み合いが始まった。
「じゃ、他の武器をくれ」
「どうして武器に固執する」
そこまで武器を求める理由も分からないが、よくよく考えれば攻撃をして来た奴等との関係も分からない。
「一旦この話は置いておこう…まず奴等の目的が分からん。アンタはどうして奴等に気づいたんだ?」
「アタイはベリアだ。見ての通り猫型って呼ばれる獣人でね、外にいる猫達から話しを聞いたんだ…猫は夜型なのさ」
背伸びをしながら説明をしてくれた。
そう言った点では、分かりの良いヤツなのかもしれない。
「狙いは多分アンタだね。アタイは只の冒険者だし」
「イズミだ。俺を狙っても何にもならないと思うがね…冒険者なら、他に仲間は?」
そう聞くとベリアは床に寝そべりつつ話しを始めた。
「パーティーは解散したよ…パーティー内結婚でな!アタイだけ取り残されたのさ!!」
そう言って床をゴロゴロと転がり始めたベリアを見ながら、イズミは聞かなければ良かったと後悔した。
誰かが呼んだ衛兵が捕まえた者達を連行して行ったのを見ながら、イズミは獣人から質問をされていた。
「だから、あのバカでかい音を出してアホみたいな威力を持った武器だよ!アタイはちゃんと見てたんだ」
「この武器は俺の命綱だからな、簡単には他人に見せるつもりは無い」
そう言って部屋へ戻ろうとするイズミの腕を掴み、ジト目で圧をかけてきた。
「グッスリと眠っていた皆んなを叩き起こした様なもんなのに、悪党を捕まえたのでハイおしまい…なんて都合の良い事にはならないぞ」
「それは困ったな…是非ともそれで終わって欲しいのだが」
全体重をかけて部屋へと向かおうとするも、ガッシリと腕を掴む獣人に力負けして全く進まない。
「普通に考えて、迷惑料くらいは渡した方が良いと思うなぁ…今後の為にも」
ジト目の物凄い圧を感じつつ、イズミはマスタングに相談した。
「どうするのが良いかね?」
「金銭的解決や物的解決が良いかと」
1人当たり銀貨10枚とか、物だと少々難しいか。
マスタングで実体化させれば簡単かもしれないが、魔力を消費するもの微妙な気がしたのだ。
「ぐぬぬ…」
「ジー…」
イズミは身体が一向に前へ進まないので抵抗を諦め、穏便に済ませる為に覚悟を決めた。
「分かった…迷惑料で銀貨10枚、もしくは人間には強めの酒をカップ2杯分。そのどちらか一方でどうだ?」
「そう来なくっちゃ!」
獣人は素早く目が覚めてしまった者達をまとめあげ、宿屋の前に並ばせてしまった。
その数およそ20人。
「…マスタング、この前の酒じゃない…別のウイスキーを実体化してくれ」
「分かりました。此方にしましょう」
マスタングが実体化を決めたは、BARに行けばジャックと同じくらい見かけるヤツ…ラベルの七面鳥が目印のウイスキーだった。
その特徴的なラベルの無いボトルで実体化された。
「では聞こう…銀貨10枚と酒、どっちが良い?」
「「「酒に決まってるだろ!!」」」
全員が酒を所望していたので、イズミは列に並んだ皆が持つカップに酒を注いでいった。
「じゃ、これでおしまいだな」
その場にいた者達に酒が行き渡ったので、イズミは瓶を仕舞ってから部屋へと戻った。
酒を貰った者達はプチ宴会を始めていたが、気にしない事にした。
「ふぅ…やはり静かな武器が必要だな」
「そうだな。あんなデカい音は迷惑過ぎるぞ」
部屋に入ったイズミが上着を脱ぎながら呟いた独り言に返事が返ってきたので、手にしていた上着を声のした方へ投げつけ、バックステップを踏みつつマグナムを抜いた。
「何故俺の借りた部屋にいるんだ?」
緋色のボサついた髪をかき上げながら、獣人の女が上着をどかした。
「何故って、アタイは迷惑料も穏便に解決を提案した礼も、アンタを狙ってた奴を倒した礼も貰ってないからだが?」
上着を椅子に置きつつあっけらかんと話す獣人に、ため息をつきながらマグナムを仕舞った。
「アタイが麻痺薬を塗ったクロスボウで奴等を撃ってなかったら、今頃重傷を負ってたぞ」
床にあぐらをかいた獣人を見ながら、イズミはベッドに腰掛けて考え込む。
「要件を言ってくれ。面倒くさいやりとりは無しにしたい」
「じゃ、あの武器をくれ」
「それは無理だ。俺以外には使いこなせない代物だ」
イズミと獣人の睨み合いが始まった。
「じゃ、他の武器をくれ」
「どうして武器に固執する」
そこまで武器を求める理由も分からないが、よくよく考えれば攻撃をして来た奴等との関係も分からない。
「一旦この話は置いておこう…まず奴等の目的が分からん。アンタはどうして奴等に気づいたんだ?」
「アタイはベリアだ。見ての通り猫型って呼ばれる獣人でね、外にいる猫達から話しを聞いたんだ…猫は夜型なのさ」
背伸びをしながら説明をしてくれた。
そう言った点では、分かりの良いヤツなのかもしれない。
「狙いは多分アンタだね。アタイは只の冒険者だし」
「イズミだ。俺を狙っても何にもならないと思うがね…冒険者なら、他に仲間は?」
そう聞くとベリアは床に寝そべりつつ話しを始めた。
「パーティーは解散したよ…パーティー内結婚でな!アタイだけ取り残されたのさ!!」
そう言って床をゴロゴロと転がり始めたベリアを見ながら、イズミは聞かなければ良かったと後悔した。
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