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第十章 気楽な一人旅
第百三十五話 次の目的地
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「良い食いっぷりだな!冒険者かい?」
「いや、只の旅人さ。美味い飯を目当てに旅をしてる」
イズミが店主の男と話をする。
陽気な店主なので、話しやすいのは助かる。
漁師のイメージはもっと固い物だったからだ。
「そうか…なら、隣の領地にはなるが美味いシュリンプ料理を出す店を知ってる」
海老…シュリンプ料理は魅力的だ。
汁物にしても美味しいし、種類によっては揚げ物も良い。
「隣の領地?」
「ああ。ブロズムナード辺境伯が治めている土地でな…其処に昔一緒に仕事をしていた奴が店をやってる」
ブロズムナード辺境伯。
イズミには聞き覚えのある名である。
「俺は親父が現役だった頃から黒針が好きだったが、ソイツは昔っからシュリンプが好きでな」
店主が懐かしそうに話すので、次の目的地はブロズムナード辺境伯の領地に決めた。
勿論、目的は海老…シュリンプ料理だ。
そうと決まれば、早速行動に移ろう。
イズミは店主からその店の名前を聞いてから、支払いをして店を出た。
宿屋へ戻り、明日出発すると告げてから広場で買い出しをする。
水や調味料を探し、小魚の干物を買ったりした。
「グリフォンの人だ!」
広場で買い出しをしている最中でも、子供からそう呼ばれてしまい、思わず苦笑いを浮かべた。
「イズミさん、此処にいらっしゃったのですね!」
その声に振り向くと、冒険者ギルドのテルートが居た。
「えぇと、確か冒険者ギルドの…」
「テルートでございます。昨日のグリフォンの件でお話が…」
この前会った時よりも顔がゲッソリしているのは気の所為だろうか?
テルートの案内で冒険者ギルドの建物へと入る。
建物内にいる冒険者達からの視線が痛い。
なにせ自分は冒険者では無いのだから。
テルートの個室にて、グリフォン2体について話をされた。
「グリフォンは下位のドラゴン並みに恐れられています。空中から風魔法を使われると、まともに戦えませんので…ちなみに、この町に現れたのは初めてですね。過去の履歴にもありませんでした」
テルートはそう説明をしつつ、イズミの目の前に袋を3つ取り出した。
「グリフォンの討伐件数は少なく、素材は非常に高値で取引されます。衛兵達からも町の人からも、イズミさんが倒したとの証言を戴きましたので」
イズミが袋を確認すると、中身は金貨だった。
「1体の討伐につき金貨50枚、1体分の素材で金貨100枚。2体分で合計金貨300枚です」
「俺は冒険者ギルドに登録されていない人間だぞ?」
そう言いながらテルートの様子を伺う。
「存じ上げております。しかしながら、ここで支払いをしないとなると…それはそれで問題がありまして」
グリフォンの素材でも貴族から突き上げでもあったのだろう。
「あぁ、アンタも大変だな」
イズミは取り敢えず、袋を受け取った。
受け取った帰りに、グリフォンに魚の捌いてくれた店へ顔を出した。
「お!アンタか。どうした?」
店主はにこやかに声を掛けてきた。
「色々と考える事があってな…またグリフォンが来たら、とかね」
イズミはテルートから受け取った袋の1つを、そのまま店主へと渡した。
店主が袋を開けて中身を確認すると、驚いた表情でイズミを見た。
「なんだこんなに!」
「またグリフォンが来た時は、魚を捌いて食べさせてやってくれないか?…来ない方が心臓には良いだろうけどな」
そう言ったイズミを真剣な眼差しで店主の男が見つめる。
「ふー…分かったよ。その時は、たんまりと食わせてやるよ!」
面白い奴だと笑って了承してくれた。
「よろしく頼んだ」
イズミは笑顔で頼んでから、広場を後にした。
「いや、只の旅人さ。美味い飯を目当てに旅をしてる」
イズミが店主の男と話をする。
陽気な店主なので、話しやすいのは助かる。
漁師のイメージはもっと固い物だったからだ。
「そうか…なら、隣の領地にはなるが美味いシュリンプ料理を出す店を知ってる」
海老…シュリンプ料理は魅力的だ。
汁物にしても美味しいし、種類によっては揚げ物も良い。
「隣の領地?」
「ああ。ブロズムナード辺境伯が治めている土地でな…其処に昔一緒に仕事をしていた奴が店をやってる」
ブロズムナード辺境伯。
イズミには聞き覚えのある名である。
「俺は親父が現役だった頃から黒針が好きだったが、ソイツは昔っからシュリンプが好きでな」
店主が懐かしそうに話すので、次の目的地はブロズムナード辺境伯の領地に決めた。
勿論、目的は海老…シュリンプ料理だ。
そうと決まれば、早速行動に移ろう。
イズミは店主からその店の名前を聞いてから、支払いをして店を出た。
宿屋へ戻り、明日出発すると告げてから広場で買い出しをする。
水や調味料を探し、小魚の干物を買ったりした。
「グリフォンの人だ!」
広場で買い出しをしている最中でも、子供からそう呼ばれてしまい、思わず苦笑いを浮かべた。
「イズミさん、此処にいらっしゃったのですね!」
その声に振り向くと、冒険者ギルドのテルートが居た。
「えぇと、確か冒険者ギルドの…」
「テルートでございます。昨日のグリフォンの件でお話が…」
この前会った時よりも顔がゲッソリしているのは気の所為だろうか?
テルートの案内で冒険者ギルドの建物へと入る。
建物内にいる冒険者達からの視線が痛い。
なにせ自分は冒険者では無いのだから。
テルートの個室にて、グリフォン2体について話をされた。
「グリフォンは下位のドラゴン並みに恐れられています。空中から風魔法を使われると、まともに戦えませんので…ちなみに、この町に現れたのは初めてですね。過去の履歴にもありませんでした」
テルートはそう説明をしつつ、イズミの目の前に袋を3つ取り出した。
「グリフォンの討伐件数は少なく、素材は非常に高値で取引されます。衛兵達からも町の人からも、イズミさんが倒したとの証言を戴きましたので」
イズミが袋を確認すると、中身は金貨だった。
「1体の討伐につき金貨50枚、1体分の素材で金貨100枚。2体分で合計金貨300枚です」
「俺は冒険者ギルドに登録されていない人間だぞ?」
そう言いながらテルートの様子を伺う。
「存じ上げております。しかしながら、ここで支払いをしないとなると…それはそれで問題がありまして」
グリフォンの素材でも貴族から突き上げでもあったのだろう。
「あぁ、アンタも大変だな」
イズミは取り敢えず、袋を受け取った。
受け取った帰りに、グリフォンに魚の捌いてくれた店へ顔を出した。
「お!アンタか。どうした?」
店主はにこやかに声を掛けてきた。
「色々と考える事があってな…またグリフォンが来たら、とかね」
イズミはテルートから受け取った袋の1つを、そのまま店主へと渡した。
店主が袋を開けて中身を確認すると、驚いた表情でイズミを見た。
「なんだこんなに!」
「またグリフォンが来た時は、魚を捌いて食べさせてやってくれないか?…来ない方が心臓には良いだろうけどな」
そう言ったイズミを真剣な眼差しで店主の男が見つめる。
「ふー…分かったよ。その時は、たんまりと食わせてやるよ!」
面白い奴だと笑って了承してくれた。
「よろしく頼んだ」
イズミは笑顔で頼んでから、広場を後にした。
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