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第十章 気楽な一人旅
第百三十三話 月夜に撃て
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マスタングに乗り込んだイズミは、ベストを後部座席へ押し込みメガネをかける。
マスタングと同期したのを確認してから、索敵をして情報を更新した。
「…4人か」
「1人はマスターが私に乗り込んだのを見ていると思われます」
イズミが車内から見える建物を調べるも、既に暗くなった町ではまともには見えなかった。
メガネに魔法反応を出させると、建物の2階から此方を見ているだろう者のシルエットが浮かんで来た。
「…距離は約30メートルです」
「アサルトライフルを構えたらバレるな」
イズミはマグナムのグリップを撫でて、30メートル先のターゲットに当てられるのか不安になった。
「静かに撃てるのはアサルトライフルだけか…やはり威力不足でも消音効果の高いカスタムがあった方が良いか?」
隠密行動には消音銃と相場が決まっている。
「マスター、減音弾なら実体化が可能です」
マスタングがグローブボックスからスピードローダーを1つ実体化させた。
「マスターの使用する武器は、雷管と火薬の役割を魔力で代用しています。純粋に代用しただけですので発射音が大きいのですが、発射音が小さくするカスタムも不可能ではありません」
イズミはマグナムを取り出して弾を込め直す。
抜いた弾はポケットにねじ込んで、目が夜の暗さに慣れるのを待つ。
そして監視している者へ撃ち込む為、窓を開けてマグナムを構えた。
「難点があるとしたら、威力が低下する事です」
「威力の低下ね」
マスタングの説明を聞きつつ、マグナムのハンマーを起こしてメガネに表示される魔法反応の中心に狙いを定める。
呼吸を整えてから、照準がブレないように意識しつつ引き金を引いた。
撃った反動はいつもの弾よりもかなり少なかった。
ボズン!
そんな音がすると同時に、魔法反応のシルエットが倒れ込んだ。
しかし、すぐに立ち上がり動き出した。
「威力の低下が、こうも顕著に分かるとはな」
「44マグナム弾の威力が、38スペシャル弾から357マグナム弾辺りの威力になったと考えて下さい」
「それはヤバいな」
イズミはマスタングから降りると、残る3人の動きを確認する。
1人が建物から出て来たので、メガネで確認出来る魔法反応の中心を目掛けて1発撃ち込んだ。
命中はしたものの、まだ動けるようで右手にもった武器を構えようとした。
ボズン!
イズミはもう1発撃ち込むと、残りの敵を探した。
広場の方に魔法反応が2つあったので、なるべく静かに移動する。
減音弾は残り3発。
なるべく早く決着をつけたい所だ。
イズミは広場に到着する直前、念の為に通常弾をシリンダーに装填した。
これで減音弾が3発、通常弾が3発になる。
しっかりと初弾が減音弾になるようにシリンダーを戻す。
広場への入口から、ゆっくりと覗き込むようにして相手の位置を確認する。
魔法反応を捉えた所で、迷わず1発撃ち込んだ。
「ぐぁっ!」
そんな声が広場に響き、もう一人が武器を構える。
構え方からして、小型のクロスボウだろう。
撃ち込まれた相方の状態を確認するように、その場にしゃがみ込まれた。
上手く物陰にしゃがまれたので、イズミは相手への射線を確保する為に、屈みながら広場へと入り込んだ。
ヒュン!ボスッ!
そんな音がイズミが先程銃を撃った所で響いた。
クロスボウが撃ち込まれたのだ。
これはチャンスと判断したイズミは、メガネで魔法反応を確かめてからマグナムを1発撃ち込んだ。
「がぁっ!くそっ!」
男の叫び声が聞こえ、クロスボウが地面に落ちた音が響いた。
倒れ込んだ相手へマグナムの銃口を向けつつ近付に、クロスボウを蹴り飛ばす。
イズミは腰に付けていたライトを取り出して、攻撃をして来た者の顔を確認した。
見当はついていたが、見知らぬ男だった。
「くぅ!」
ライトで目が眩んだのか、右手で光を遮るようにしている。
「目的や依頼主とかを聞いても、どうせ答えないよな?」
「…当然だ」
男はイズミの思った通り、口を割る気は無いようだ。
このまま衛兵を呼んで捕まえて貰うのも手ではあるが、それでも口を割る事は無いだろう。
「だと思ったよ」
イズミはマグナムで男の胸を撃った。
倒れた男をしばし見つめてから、周囲を見渡す。
広場で最初に撃った男は、既に事切れていた。
弾切れ状態では不安なので、急いでマグナムの弾込めをする。
空薬莢はまだ熱を持っているのもあり、手の中に熱を感じながらポケットへねじ込む。
周囲を確認して他の仲間がいないかを確かめたが、メガネに反応は無かった。
イズミは一呼吸おいてからショルダーホルスターへ仕舞うと、静かに広場を後にして宿屋へと戻って行った。
マスタングと同期したのを確認してから、索敵をして情報を更新した。
「…4人か」
「1人はマスターが私に乗り込んだのを見ていると思われます」
イズミが車内から見える建物を調べるも、既に暗くなった町ではまともには見えなかった。
メガネに魔法反応を出させると、建物の2階から此方を見ているだろう者のシルエットが浮かんで来た。
「…距離は約30メートルです」
「アサルトライフルを構えたらバレるな」
イズミはマグナムのグリップを撫でて、30メートル先のターゲットに当てられるのか不安になった。
「静かに撃てるのはアサルトライフルだけか…やはり威力不足でも消音効果の高いカスタムがあった方が良いか?」
隠密行動には消音銃と相場が決まっている。
「マスター、減音弾なら実体化が可能です」
マスタングがグローブボックスからスピードローダーを1つ実体化させた。
「マスターの使用する武器は、雷管と火薬の役割を魔力で代用しています。純粋に代用しただけですので発射音が大きいのですが、発射音が小さくするカスタムも不可能ではありません」
イズミはマグナムを取り出して弾を込め直す。
抜いた弾はポケットにねじ込んで、目が夜の暗さに慣れるのを待つ。
そして監視している者へ撃ち込む為、窓を開けてマグナムを構えた。
「難点があるとしたら、威力が低下する事です」
「威力の低下ね」
マスタングの説明を聞きつつ、マグナムのハンマーを起こしてメガネに表示される魔法反応の中心に狙いを定める。
呼吸を整えてから、照準がブレないように意識しつつ引き金を引いた。
撃った反動はいつもの弾よりもかなり少なかった。
ボズン!
そんな音がすると同時に、魔法反応のシルエットが倒れ込んだ。
しかし、すぐに立ち上がり動き出した。
「威力の低下が、こうも顕著に分かるとはな」
「44マグナム弾の威力が、38スペシャル弾から357マグナム弾辺りの威力になったと考えて下さい」
「それはヤバいな」
イズミはマスタングから降りると、残る3人の動きを確認する。
1人が建物から出て来たので、メガネで確認出来る魔法反応の中心を目掛けて1発撃ち込んだ。
命中はしたものの、まだ動けるようで右手にもった武器を構えようとした。
ボズン!
イズミはもう1発撃ち込むと、残りの敵を探した。
広場の方に魔法反応が2つあったので、なるべく静かに移動する。
減音弾は残り3発。
なるべく早く決着をつけたい所だ。
イズミは広場に到着する直前、念の為に通常弾をシリンダーに装填した。
これで減音弾が3発、通常弾が3発になる。
しっかりと初弾が減音弾になるようにシリンダーを戻す。
広場への入口から、ゆっくりと覗き込むようにして相手の位置を確認する。
魔法反応を捉えた所で、迷わず1発撃ち込んだ。
「ぐぁっ!」
そんな声が広場に響き、もう一人が武器を構える。
構え方からして、小型のクロスボウだろう。
撃ち込まれた相方の状態を確認するように、その場にしゃがみ込まれた。
上手く物陰にしゃがまれたので、イズミは相手への射線を確保する為に、屈みながら広場へと入り込んだ。
ヒュン!ボスッ!
そんな音がイズミが先程銃を撃った所で響いた。
クロスボウが撃ち込まれたのだ。
これはチャンスと判断したイズミは、メガネで魔法反応を確かめてからマグナムを1発撃ち込んだ。
「がぁっ!くそっ!」
男の叫び声が聞こえ、クロスボウが地面に落ちた音が響いた。
倒れ込んだ相手へマグナムの銃口を向けつつ近付に、クロスボウを蹴り飛ばす。
イズミは腰に付けていたライトを取り出して、攻撃をして来た者の顔を確認した。
見当はついていたが、見知らぬ男だった。
「くぅ!」
ライトで目が眩んだのか、右手で光を遮るようにしている。
「目的や依頼主とかを聞いても、どうせ答えないよな?」
「…当然だ」
男はイズミの思った通り、口を割る気は無いようだ。
このまま衛兵を呼んで捕まえて貰うのも手ではあるが、それでも口を割る事は無いだろう。
「だと思ったよ」
イズミはマグナムで男の胸を撃った。
倒れた男をしばし見つめてから、周囲を見渡す。
広場で最初に撃った男は、既に事切れていた。
弾切れ状態では不安なので、急いでマグナムの弾込めをする。
空薬莢はまだ熱を持っているのもあり、手の中に熱を感じながらポケットへねじ込む。
周囲を確認して他の仲間がいないかを確かめたが、メガネに反応は無かった。
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