121 / 236
第九章 海を目指して
第百十八話 ものは試しで
しおりを挟む
イズミはマスタングから回答をもらった、幽霊の類いではないかと仮定して捜索を続けた。
最も、イズミには幽霊を視る能力は皆無なので、マスタングの探知能力頼りではある。
「この辺か?」
「はい。その辺りで魔法反応があります」
やはり近くには誰も居ないし、変な物も無い。
その場に立つと鳥肌が立ったりする事も無い。
マスタングから場所の確認も取れたので、イズミはその場所を見失わないようにマグナムの弾を抜いて目印として地面に置いてから、急ぎ足でマスタングへと戻った。
運転席に乗り込んだイズミは、モニターで積んでいる食料品のリストを確認する。
「こっちの世界の勝手が分からないからな…こんなで良いと信じよう」
イズミは木製の皿とコップを取り出してから、黒パンにベリーのジャムを塗り、皿に盛り付ける。
勿論、厚切りのベーコンも忘れない。
お供え物ではあるが、自分がガッツリ食べたいと思う時の量で盛り付けた。
お供え物の準備が整ったので、イズミは目印にしたマグナムの元まで持って行き、地面にゆっくりと置いた。
マグナムをホルスターに仕舞い、コップに水を注いでから両手を合わせた。
「何方かは存じ上げませんが、どうぞこちらを召し上がって下さい」
そう言ってから立ち上がり、マスタングへと歩いて行く。
運転席に戻ってからマグナムに弾を込め直し、仮眠を取ろうと目を閉じる。
しかし、上手く眠れない。
「…コーンポタージュでも作るか」
ふと頭に浮かんで来たので、とりあえずお湯を作る事から始める。
焚火を準備して鍋で水を沸騰させる。
コップを1つ取り出した所で、向こうにも供えた方が良い気がしてきたので、自分の直感を信じてコップは2つ取り出した。
温かい飲み物は身体をリラックスさせてくれるし、心も穏やかにしてくれるのだ。
無いよりは有る方が良いだろう。
2人分のコーンポタージュを用意したイズミは、片方をお供え物として置いてきた。
「太陽が昇ったら片付けますので、それまではご自由にどうぞ」
イズミはそう言い残すとマスタングまで戻り、1人で月を見ながらコーンポタージュを飲んだ。
翌朝。
イズミは身体を伸ばしてから水筒の水を飲み、マスタングに確認を取った。
「マスタング。魔法反応はあるか?」
「現在はありません。夜明け前に反応は消失しました」
太陽も昇ったのでお供え物も片付けようと近付いて行くと、料理は綺麗に無くなっていた。
「魔物でも出たか?」
「魔物が現れたら、マスターを起こしています」
マスタングは俺を起こしていないので、どうも魔物が食べに来た訳でもないようだ。
イズミが皿とコップを片付けようとしたら、コーンポタージュを入れていたコップに何か石のような物が入っていた。
大きさは1円玉より一回りほど小さい位の紫色の石だった。
そんな小さな石を手のひらに乗せる。
形はお世辞にも整っているとは言えない。
「食事のお礼…なのか?」
イズミは石を太陽に透かして見たが、原石なのかそこまで透けは無かった。
「不思議な事もあるんだな」
そう呟きながら、皿とコップの片付ける。
石は柔らかい布で保護をしてから、マスタングのグローブボックスに仕舞った。
よく分からない不思議な一晩だったが、イズミは気にしない事に決めて次の町へとマスタングを走らせた。
最も、イズミには幽霊を視る能力は皆無なので、マスタングの探知能力頼りではある。
「この辺か?」
「はい。その辺りで魔法反応があります」
やはり近くには誰も居ないし、変な物も無い。
その場に立つと鳥肌が立ったりする事も無い。
マスタングから場所の確認も取れたので、イズミはその場所を見失わないようにマグナムの弾を抜いて目印として地面に置いてから、急ぎ足でマスタングへと戻った。
運転席に乗り込んだイズミは、モニターで積んでいる食料品のリストを確認する。
「こっちの世界の勝手が分からないからな…こんなで良いと信じよう」
イズミは木製の皿とコップを取り出してから、黒パンにベリーのジャムを塗り、皿に盛り付ける。
勿論、厚切りのベーコンも忘れない。
お供え物ではあるが、自分がガッツリ食べたいと思う時の量で盛り付けた。
お供え物の準備が整ったので、イズミは目印にしたマグナムの元まで持って行き、地面にゆっくりと置いた。
マグナムをホルスターに仕舞い、コップに水を注いでから両手を合わせた。
「何方かは存じ上げませんが、どうぞこちらを召し上がって下さい」
そう言ってから立ち上がり、マスタングへと歩いて行く。
運転席に戻ってからマグナムに弾を込め直し、仮眠を取ろうと目を閉じる。
しかし、上手く眠れない。
「…コーンポタージュでも作るか」
ふと頭に浮かんで来たので、とりあえずお湯を作る事から始める。
焚火を準備して鍋で水を沸騰させる。
コップを1つ取り出した所で、向こうにも供えた方が良い気がしてきたので、自分の直感を信じてコップは2つ取り出した。
温かい飲み物は身体をリラックスさせてくれるし、心も穏やかにしてくれるのだ。
無いよりは有る方が良いだろう。
2人分のコーンポタージュを用意したイズミは、片方をお供え物として置いてきた。
「太陽が昇ったら片付けますので、それまではご自由にどうぞ」
イズミはそう言い残すとマスタングまで戻り、1人で月を見ながらコーンポタージュを飲んだ。
翌朝。
イズミは身体を伸ばしてから水筒の水を飲み、マスタングに確認を取った。
「マスタング。魔法反応はあるか?」
「現在はありません。夜明け前に反応は消失しました」
太陽も昇ったのでお供え物も片付けようと近付いて行くと、料理は綺麗に無くなっていた。
「魔物でも出たか?」
「魔物が現れたら、マスターを起こしています」
マスタングは俺を起こしていないので、どうも魔物が食べに来た訳でもないようだ。
イズミが皿とコップを片付けようとしたら、コーンポタージュを入れていたコップに何か石のような物が入っていた。
大きさは1円玉より一回りほど小さい位の紫色の石だった。
そんな小さな石を手のひらに乗せる。
形はお世辞にも整っているとは言えない。
「食事のお礼…なのか?」
イズミは石を太陽に透かして見たが、原石なのかそこまで透けは無かった。
「不思議な事もあるんだな」
そう呟きながら、皿とコップの片付ける。
石は柔らかい布で保護をしてから、マスタングのグローブボックスに仕舞った。
よく分からない不思議な一晩だったが、イズミは気にしない事に決めて次の町へとマスタングを走らせた。
20
お気に入りに追加
61
あなたにおすすめの小説
クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?
青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。
最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。
普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた?
しかも弱いからと森に捨てられた。
いやちょっとまてよ?
皆さん勘違いしてません?
これはあいの不思議な日常を書いた物語である。
本編完結しました!
相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです!
1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…
料理スキルで完璧な料理が作れるようになったから、異世界を満喫します
黒木 楓
恋愛
隣の部屋の住人というだけで、女子高生2人が行った異世界転移の儀式に私、アカネは巻き込まれてしまう。
どうやら儀式は成功したみたいで、女子高生2人は聖女や賢者といったスキルを手に入れたらしい。
巻き込まれた私のスキルは「料理」スキルだけど、それは手順を省略して完璧な料理が作れる凄いスキルだった。
転生者で1人だけ立場が悪かった私は、こき使われることを恐れてスキルの力を隠しながら過ごしていた。
そうしていたら「お前は不要だ」と言われて城から追い出されたけど――こうなったらもう、異世界を満喫するしかないでしょう。
ユーヤのお気楽異世界転移
暇野無学
ファンタジー
死因は神様の当て逃げです! 地震による事故で死亡したのだが、原因は神社の扁額が当たっての即死。問題の神様は気まずさから俺を輪廻の輪から外し、異世界の神に俺をゆだねた。異世界への移住を渋る俺に、神様特典付きで異世界へ招待されたが・・・ この神様が超適当な健忘症タイプときた。
最遅で最強のレベルアップ~経験値1000分の1の大器晩成型探索者は勤続10年目10度目のレベルアップで覚醒しました!~
ある中管理職
ファンタジー
勤続10年目10度目のレベルアップ。
人よりも貰える経験値が極端に少なく、年に1回程度しかレベルアップしない32歳の主人公宮下要は10年掛かりようやくレベル10に到達した。
すると、ハズレスキル【大器晩成】が覚醒。
なんと1回のレベルアップのステータス上昇が通常の1000倍に。
チートスキル【ステータス上昇1000】を得た宮下はこれをきっかけに、今まで出会う事すら想像してこなかったモンスターを討伐。
探索者としての知名度や地位を一気に上げ、勤めていた店は討伐したレアモンスターの肉と素材の販売で大繁盛。
万年Fランクの【永遠の新米おじさん】と言われた宮下の成り上がり劇が今幕を開ける。
凡人がおまけ召喚されてしまった件
根鳥 泰造
ファンタジー
勇者召喚に巻き込まれて、異世界にきてしまった祐介。最初は勇者の様に大切に扱われていたが、ごく普通の才能しかないので、冷遇されるようになり、ついには王宮から追い出される。
仕方なく冒険者登録することにしたが、この世界では希少なヒーラー適正を持っていた。一年掛けて治癒魔法を習得し、治癒剣士となると、引く手あまたに。しかも、彼は『強欲』という大罪スキルを持っていて、倒した敵のスキルを自分のものにできるのだ。
それらのお蔭で、才能は凡人でも、数多のスキルで能力を補い、熟練度は飛びぬけ、高難度クエストも熟せる有名冒険者となる。そして、裏では気配消去や不可視化スキルを活かして、暗殺という裏の仕事も始めた。
異世界に来て八年後、その暗殺依頼で、召喚勇者の暗殺を受けたのだが、それは祐介を捕まえるための罠だった。祐介が暗殺者になっていると知った勇者が、改心させよう企てたもので、その後は勇者一行に加わり、魔王討伐の旅に同行することに。
最初は脅され渋々同行していた祐介も、勇者や仲間の思いをしり、どんどん勇者が好きになり、勇者から告白までされる。
だが、魔王を討伐を成し遂げるも、魔王戦で勇者は祐介を庇い、障害者になる。
祐介は、勇者の嘘で、病院を作り、医師の道を歩みだすのだった。
いきなり異世界って理不尽だ!
みーか
ファンタジー
三田 陽菜25歳。会社に行こうと家を出たら、足元が消えて、気付けば異世界へ。
自称神様の作った機械のシステムエラーで地球には帰れない。地球の物は何でも魔力と交換できるようにしてもらい、異世界で居心地良く暮らしていきます!
5歳で前世の記憶が混入してきた --スキルや知識を手に入れましたが、なんで中身入ってるんですか?--
ばふぉりん
ファンタジー
「啞"?!@#&〆々☆¥$€%????」
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
五歳の誕生日を迎えた男の子は家族から捨てられた。理由は
「お前は我が家の恥だ!占星の儀で訳の分からないスキルを貰って、しかも使い方がわからない?これ以上お前を育てる義務も義理もないわ!」
この世界では五歳の誕生日に教会で『占星の儀』というスキルを授かることができ、そのスキルによってその後の人生が決まるといっても過言では無い。
剣聖 聖女 影朧といった上位スキルから、剣士 闘士 弓手といった一般的なスキル、そして家事 農耕 牧畜といったもうそれスキルじゃないよね?といったものまで。
そんな中、この五歳児が得たスキルは
□□□□
もはや文字ですら無かった
~~~~~~~~~~~~~~~~~
本文中に顔文字を使用しますので、できれば横読み推奨します。
本作中のいかなる個人・団体名は実在するものとは一切関係ありません。
はずれスキル『本日一粒万倍日』で金も魔法も作物もなんでも一万倍 ~はぐれサラリーマンのスキル頼みな異世界満喫日記~
緋色優希
ファンタジー
勇者召喚に巻き込まれて異世界へやってきたサラリーマン麦野一穂(むぎのかずほ)。得たスキルは屑(ランクレス)スキルの『本日一粒万倍日』。あまりの内容に爆笑され、同じように召喚に巻き込まれてきた連中にも馬鹿にされ、一人だけ何一つ持たされず荒城にそのまま置き去りにされた。ある物と言えば、水の樽といくらかの焼き締めパン。どうする事もできずに途方に暮れたが、スキルを唱えたら水樽が一万個に増えてしまった。また城で見つけた、たった一枚の銀貨も、なんと銀貨一万枚になった。どうやら、あれこれと一万倍にしてくれる不思議なスキルらしい。こんな世界で王様の助けもなく、たった一人どうやって生きたらいいのか。だが開き直った彼は『住めば都』とばかりに、スキル頼みでこの異世界での生活を思いっきり楽しむ事に決めたのだった。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる