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第八章 王都での日々
第百十二話 カレンの送迎
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ドタバタ気味だった王都での生活は面白いものであったが、そろそろカレンを故郷へ送らないとガルシア辺りが怒り出しそうなので、一旦戻るとランドール達に伝えた。
「カレン、帰っちゃうの?」
ヘンリエッタは相当カレンを気に入っていたのか、涙目でカレンの手を握っていた。
「普段はあの村にいますから」
そうカレンが説明しては、ランドールがヘンリエッタに優しく注意をした。
「ヘンリエッタ、無理を言ってはいけないよ」
雇うのも有りだが、ランドールとしてはダンジョン都市が出来てからでも良いと考えているようだ。
翌日、イズミとカレンは王都の冒険者通りでいくつかの武器を購入してから、故郷への移動を始める。
ランドールやエレナ達にも挨拶を済ませた。
「王都に来たら、挨拶にくらい来たまえ」
ランドールの言葉を聞いて、イズミは笑顔で答えた。
「分かりました。それと…私の事を聞かれたら、素直に答えてしまって良いですからね。秘密にするくらいなら、堂々と話をした方が面白くなりそうなので」
策謀など、マスタングと俺の火力で捻り潰してやる…
そんな黒い炎を滾らせつつ、皆んなと別れた。
「さてと。お互いこれから忙しくなるぞ」
「イズミさんは、海を目指すんでしたっけ?」
「そう。海の街に美味しい料理を求めてな」
マスタングを走らせて王都の正門を出てから、気楽に話をし始めた。
カレンは相変わらず旅の目的が変わらないイズミに、思わず笑ってしまった。
「王都であんな派手に行動しておいて、旅の目的が美味しい料理だとか言っても、もう貴族は簡単には信じてくれないと思いますよ」
「あの手の人助けは、なるべく避けたいかな…本当にキツかったんだ。本当だぞ」
マスタングは王都に向かう時の倍の速さで、平原を駆け抜ける。
イズミもカレンも慣れきった走行である。
「マスタングだと、結構スムーズに到着するんだよな」
日が沈む直前には、カレンの故郷に到着出来た。
別れの前の風情などあったものでは無いが、近い未来には自分の?拠点が出来る場所なので、サッパリとした別れが出来そうではある。
「イズミ殿!待ちくたびれたぞ!」
「すまん、王都が面白くてな…つい長いしてしまった」
イズミは王都で購入した武器を取り出すと、ガルシア達へ手渡した。
「これは王都土産って事で」
「こんな良い武器を俺達に?」
ガルシア達、特にガルシアの周りにいた仲間達が喜んでいた。
村の人は既に夕食を取り終えていたそうなので、イズミとカレンは簡単な食事を作った。
「あの…コーンポタージュが飲みたいです」
カレンの願いを聞いたイズミが、マスタングで実体化させた。
2人で最初に食べたのは、コーンポタージュだったかと思い出しつつ味わった。
優しい味だ。
「明日、朝一番に出発するよ」
「分かりました…帰って、来ますよね?」
カレンの質問に、当然と答えた。
「帰れる拠点があるからな」
それを聞いたカレンは、優しく微笑んでいた。
「何かあったら魔法通信で連絡をくれ。可能な限り急ぎで帰って来るよ」
イズミはカレンの武器一式を渡してから、1人で眠りについた。
翌日の朝、太陽が昇り始めたのと同じくらいにイズミは目覚めた。
静かに起き上がると、なるべく村の皆んなを起こさないようにマスタングに乗り込んだ。
「イズミさん」
窓をノックされたので振り向くと、カレンとガルシアが居た。
「行ってらっしゃい」
その言葉を聞いたイズミは、ちょっとした懐かしさを感じつつ笑顔で返した。
「あぁ。行ってくる」
マスタングのエンジンをかけると、徐行で村の外れまで走らせる。
「マスター。良かったのですか?」
「当然。しばらくは1人旅だが、思う存分この世界を楽しまないとな」
アクセルを強く踏み込むと、V8エンジンの咆哮が響き渡る。
次の目的地は海だ。
イズミは晴れ渡る空の下を、マスタングで走ってゆく。
バックミラーに映っていたカレンの故郷は、すぐに見えなくなった。
「カレン、帰っちゃうの?」
ヘンリエッタは相当カレンを気に入っていたのか、涙目でカレンの手を握っていた。
「普段はあの村にいますから」
そうカレンが説明しては、ランドールがヘンリエッタに優しく注意をした。
「ヘンリエッタ、無理を言ってはいけないよ」
雇うのも有りだが、ランドールとしてはダンジョン都市が出来てからでも良いと考えているようだ。
翌日、イズミとカレンは王都の冒険者通りでいくつかの武器を購入してから、故郷への移動を始める。
ランドールやエレナ達にも挨拶を済ませた。
「王都に来たら、挨拶にくらい来たまえ」
ランドールの言葉を聞いて、イズミは笑顔で答えた。
「分かりました。それと…私の事を聞かれたら、素直に答えてしまって良いですからね。秘密にするくらいなら、堂々と話をした方が面白くなりそうなので」
策謀など、マスタングと俺の火力で捻り潰してやる…
そんな黒い炎を滾らせつつ、皆んなと別れた。
「さてと。お互いこれから忙しくなるぞ」
「イズミさんは、海を目指すんでしたっけ?」
「そう。海の街に美味しい料理を求めてな」
マスタングを走らせて王都の正門を出てから、気楽に話をし始めた。
カレンは相変わらず旅の目的が変わらないイズミに、思わず笑ってしまった。
「王都であんな派手に行動しておいて、旅の目的が美味しい料理だとか言っても、もう貴族は簡単には信じてくれないと思いますよ」
「あの手の人助けは、なるべく避けたいかな…本当にキツかったんだ。本当だぞ」
マスタングは王都に向かう時の倍の速さで、平原を駆け抜ける。
イズミもカレンも慣れきった走行である。
「マスタングだと、結構スムーズに到着するんだよな」
日が沈む直前には、カレンの故郷に到着出来た。
別れの前の風情などあったものでは無いが、近い未来には自分の?拠点が出来る場所なので、サッパリとした別れが出来そうではある。
「イズミ殿!待ちくたびれたぞ!」
「すまん、王都が面白くてな…つい長いしてしまった」
イズミは王都で購入した武器を取り出すと、ガルシア達へ手渡した。
「これは王都土産って事で」
「こんな良い武器を俺達に?」
ガルシア達、特にガルシアの周りにいた仲間達が喜んでいた。
村の人は既に夕食を取り終えていたそうなので、イズミとカレンは簡単な食事を作った。
「あの…コーンポタージュが飲みたいです」
カレンの願いを聞いたイズミが、マスタングで実体化させた。
2人で最初に食べたのは、コーンポタージュだったかと思い出しつつ味わった。
優しい味だ。
「明日、朝一番に出発するよ」
「分かりました…帰って、来ますよね?」
カレンの質問に、当然と答えた。
「帰れる拠点があるからな」
それを聞いたカレンは、優しく微笑んでいた。
「何かあったら魔法通信で連絡をくれ。可能な限り急ぎで帰って来るよ」
イズミはカレンの武器一式を渡してから、1人で眠りについた。
翌日の朝、太陽が昇り始めたのと同じくらいにイズミは目覚めた。
静かに起き上がると、なるべく村の皆んなを起こさないようにマスタングに乗り込んだ。
「イズミさん」
窓をノックされたので振り向くと、カレンとガルシアが居た。
「行ってらっしゃい」
その言葉を聞いたイズミは、ちょっとした懐かしさを感じつつ笑顔で返した。
「あぁ。行ってくる」
マスタングのエンジンをかけると、徐行で村の外れまで走らせる。
「マスター。良かったのですか?」
「当然。しばらくは1人旅だが、思う存分この世界を楽しまないとな」
アクセルを強く踏み込むと、V8エンジンの咆哮が響き渡る。
次の目的地は海だ。
イズミは晴れ渡る空の下を、マスタングで走ってゆく。
バックミラーに映っていたカレンの故郷は、すぐに見えなくなった。
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