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第七章 貴族と冒険者ギルド
第八十三話 イズミ、悩む
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イズミは魔法通信が切れたのを見届けると、地上へと足早に向かった。
マスタングと作戦会議をする為だ。
調査報告と言う名目での魔法通信だったから突き上げが無かっただけで、これからは色々と厄介な事に巻き込まれる可能性が高い。
「マスタング、今後はどう動こうか」
「私の目的は走る事です。マスターと共にこの世界を走れるのであれば、それ以上を求める事はありません」
トランクに荷物を詰め込みながら、次の一手を練り始める。
「冒険者ギルドと貴族対策か」
「無闇矢鱈に戦闘をするには、損害が大きくなるでしょう」
体良く利用されるのも面倒である。
とりあえずアイツに頼めば、みたいな安直な展開が起こり得るだろう。
「イズミ殿!」
声のする方を見ると、トーマス達『暁と盃』の面々が荷物を地上へ持って来た所だった。
「どうした、もうギルド本部へ帰るのか?」
「そうではない!先程の話は何だ!」
ドロップ品の件を勝手に全権譲渡したのが、そんなに問題なのだろうか?
「俺は旅をしたいだけで、戦闘やダンジョン、ドロップ品にはあまり興味が無くてね。物があるだけ面倒だから処理は任せた」
イズミの発言を聞いたトーマスがため息をついた。
「それがイズミの今後に問題になるぞ」
「…詳しく聞きましょう」
イズミはマスタングに背中を預け、トーマスの話の続きを聞いた。
トーマスの話を要約するとこんな感じだった。
まずはイズミ自身について。
不確かな身元では、何をするにも手間がかかる。
小さな村や町であれば問題は少ないが、都市では宿すら借りれない事もあるらしい。
次に戦闘能力。
サイクロプスを倒せる戦闘能力は、戦闘が発生する組織からすると引く手数多だ。
それがパーティーでは無く単独で可能ならば、それこそ喉から手が出る程に欲しい人材なのだそうだ。
更に無欲さも問題らしい。
魔物との戦闘にイズミを向かわせる事が出来れば、兵士の損失を減らせる可能性が高まる。
ドロップ品や財宝類を発見しても、その無欲さから貴族達に良いように利用される。
「つまり今のイズミは貴族からしたら、どんな手段を使ってでも手中に収めたい人間なんだ」
貴族であれば、身元の保証も出来る。
領土内にはカレンの故郷もある。
貴族が厄介事の対応を依頼して来たとして、イズミが断ってもカレンを経由してしまえば動く可能性が高い。
貴族がその気になれば、交渉に有効なカードを既に複数持っているのだ。
「俺がそんな人間に見えるのか?」
「カレンさんを故郷へ連れて来るだろ、ソラの頼みを聞いて俺達の援護に来ただろ…知ってるヤツから頼まれたら断り切れずに動く。そう踏んでるかもしれない」
トーマスの言葉を聞いて、イズミは自身の立ち回りを振り返った。
頼まれたら、あまり断れないかもしれない。
「貴族は今頃、無欲なイズミをどうすれば配下に置けるか計算でもしてると思うぞ」
トーマスの言葉に『暁と盃』の面々と、近くを通りかかったカレンが首を縦に振った。
「良い人間になったつもりは無いのだがなぁ」
イズミは腕を組んで悩む事になった。
「イズミさんをどう、都合の良い人間として上手く利用して美味しい思いを出来ないものか…とか企んでいるかもしれませんね」
カレンが冗談めかして言ったが、『暁と盃』は皆んな頷いているので、恐らく実際にそんな感じなのだろう。
「冗談キツイぜ」
イズミはため息をついた。
マスタングと作戦会議をする為だ。
調査報告と言う名目での魔法通信だったから突き上げが無かっただけで、これからは色々と厄介な事に巻き込まれる可能性が高い。
「マスタング、今後はどう動こうか」
「私の目的は走る事です。マスターと共にこの世界を走れるのであれば、それ以上を求める事はありません」
トランクに荷物を詰め込みながら、次の一手を練り始める。
「冒険者ギルドと貴族対策か」
「無闇矢鱈に戦闘をするには、損害が大きくなるでしょう」
体良く利用されるのも面倒である。
とりあえずアイツに頼めば、みたいな安直な展開が起こり得るだろう。
「イズミ殿!」
声のする方を見ると、トーマス達『暁と盃』の面々が荷物を地上へ持って来た所だった。
「どうした、もうギルド本部へ帰るのか?」
「そうではない!先程の話は何だ!」
ドロップ品の件を勝手に全権譲渡したのが、そんなに問題なのだろうか?
「俺は旅をしたいだけで、戦闘やダンジョン、ドロップ品にはあまり興味が無くてね。物があるだけ面倒だから処理は任せた」
イズミの発言を聞いたトーマスがため息をついた。
「それがイズミの今後に問題になるぞ」
「…詳しく聞きましょう」
イズミはマスタングに背中を預け、トーマスの話の続きを聞いた。
トーマスの話を要約するとこんな感じだった。
まずはイズミ自身について。
不確かな身元では、何をするにも手間がかかる。
小さな村や町であれば問題は少ないが、都市では宿すら借りれない事もあるらしい。
次に戦闘能力。
サイクロプスを倒せる戦闘能力は、戦闘が発生する組織からすると引く手数多だ。
それがパーティーでは無く単独で可能ならば、それこそ喉から手が出る程に欲しい人材なのだそうだ。
更に無欲さも問題らしい。
魔物との戦闘にイズミを向かわせる事が出来れば、兵士の損失を減らせる可能性が高まる。
ドロップ品や財宝類を発見しても、その無欲さから貴族達に良いように利用される。
「つまり今のイズミは貴族からしたら、どんな手段を使ってでも手中に収めたい人間なんだ」
貴族であれば、身元の保証も出来る。
領土内にはカレンの故郷もある。
貴族が厄介事の対応を依頼して来たとして、イズミが断ってもカレンを経由してしまえば動く可能性が高い。
貴族がその気になれば、交渉に有効なカードを既に複数持っているのだ。
「俺がそんな人間に見えるのか?」
「カレンさんを故郷へ連れて来るだろ、ソラの頼みを聞いて俺達の援護に来ただろ…知ってるヤツから頼まれたら断り切れずに動く。そう踏んでるかもしれない」
トーマスの言葉を聞いて、イズミは自身の立ち回りを振り返った。
頼まれたら、あまり断れないかもしれない。
「貴族は今頃、無欲なイズミをどうすれば配下に置けるか計算でもしてると思うぞ」
トーマスの言葉に『暁と盃』の面々と、近くを通りかかったカレンが首を縦に振った。
「良い人間になったつもりは無いのだがなぁ」
イズミは腕を組んで悩む事になった。
「イズミさんをどう、都合の良い人間として上手く利用して美味しい思いを出来ないものか…とか企んでいるかもしれませんね」
カレンが冗談めかして言ったが、『暁と盃』は皆んな頷いているので、恐らく実際にそんな感じなのだろう。
「冗談キツイぜ」
イズミはため息をついた。
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