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第七章 貴族と冒険者ギルド
第八十一話 調査隊の報告
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ダンジョン入口の広場で小休止を挟み、ガルシアの奮闘を聞いたりイズミ達が相手をしたサイクロプスを話をして盛り上がった。
腕時計を見ると短針は3時を指していた。
イズミはマスタングを地上へ上げてから周囲の索敵をさせた。
「…特に反応はありません」
地上の新鮮な空気を肺に取り込みつつ、疲労の溜まる身体をマスタングに預ける。
「なぁマスタング。このダンジョン周辺はどうなって行くと思う」
「間違い無くダンジョン都市が構築されるでしょう。ここを統治する者からしたら新たな収入源となりますし、ダンジョンからのドロップ品は貴重かつ希少な品が多いですので」
イズミは空を見ながら息を吐いた。
「都市が出来ると、貴族やギルドが拠点を置くよな」
「そうなります。我々には不自由な点も増えますね…マスターは冒険者ギルドの要注意人物ですから」
「だよな」
腕時計をマジマジと見つめる。
よく見るとアクリルだろうガラスに傷が付いていた。
戦闘の時に何かにぶつけたのだろう。
ふと元いた世界でお世話になった人の言葉を思い出した。
サバイバルゲームをしていた時の事だ。
[和泉さん、腕時計は内側に付けた方が良いんですよ。銃を構えた時でも時間が見やすいですし、BB弾がガラスに当たるリスクも減りますから]
好きで観ていたドラマでも主人公が手首の内側に付けていた。
あれはゴツい腕時計だった。
最後はナックル代わりになりそうなゴツい腕時計だったな。
今度は戦闘に入る前に付け直そうと思いながら、腕時計についた傷を指で撫でた。
「イズミさん!調査隊が戻って来ました」
カレンの声を聞いたイズミは、考えていた事を頭の隅へ追いやって調査隊の居るダンジョン入口へと歩き出した。
「ちゃんと無事みたいだな」
「お陰様でな。あの大剣が調子良くてな、不安無く戻って来れたよ」
トーマス達に軽く挨拶をした後で、本題に入った。
「これから魔法通信で冒険者ギルド本部へ報告をするのだが、イズミ殿とカレン殿も立ち合ってくれないか?」
聞くと帰りの道中で簡単な報告をした所、ギルド本部や貴族達が色めき立っているそうだ。
「それは…俺達の顔も見えるのか?」
「ああ。ギルド本部から借りた特別な魔法具だからな」
魔法ってのは何でもありなのだろうか?
それとも、過去の魔術師に天才でも居たのだろうか?
イズミはため息をついて疑問を振り払ってから、静かにその場に座った。
この状況で拒否をするのは悪手のような気がしたからだ。
「では繋ぐぞ…こちら『暁と盃』だ。見えているか?」
調査用の魔法具の上から、知らない誰か映る。
「見えているぞ。まず最初に、皆無事で何よりだ」
イズミは隣に座っていたヴィルハイムに、映った人間について尋ねた。
どうやら冒険者ギルド本部のお偉いさんだそうだ。
その後ろには貴族がいるらしい。
「ありがとうございます。それでは報告致します」
トーマスは魔法具に触れて調査結果を出した。
「本ダンジョンは最低でも8階層はあります。1層から3層まではCランクからDランクの魔物ですが、それ以降は上級になると思われます」
「サイクロプスの件はどう見る」
ギルド本部もサイクロプスに感心があるのだろう。
かなり前のめりに聞いてきた。
「本ダンジョンはまだ手付かずですので、ダンジョン発見初期にある階層渡りかと」
「では、最初の本格的調査の際には最低でもBランク以上の冒険者パーティーに限定した方が良さそうだな…で、その後ろに居る方は何方かな?」
ギルド本部の男がイズミについて尋ねる。
「はい。彼が瞬く間にサイクロプスを多数葬った男、イズミです」
ギルド本部の男と、その後ろに居る者数名の視線が刺さった気がしたイズミは少しだけ、この場に立ち合った事を後悔した。
腕時計を見ると短針は3時を指していた。
イズミはマスタングを地上へ上げてから周囲の索敵をさせた。
「…特に反応はありません」
地上の新鮮な空気を肺に取り込みつつ、疲労の溜まる身体をマスタングに預ける。
「なぁマスタング。このダンジョン周辺はどうなって行くと思う」
「間違い無くダンジョン都市が構築されるでしょう。ここを統治する者からしたら新たな収入源となりますし、ダンジョンからのドロップ品は貴重かつ希少な品が多いですので」
イズミは空を見ながら息を吐いた。
「都市が出来ると、貴族やギルドが拠点を置くよな」
「そうなります。我々には不自由な点も増えますね…マスターは冒険者ギルドの要注意人物ですから」
「だよな」
腕時計をマジマジと見つめる。
よく見るとアクリルだろうガラスに傷が付いていた。
戦闘の時に何かにぶつけたのだろう。
ふと元いた世界でお世話になった人の言葉を思い出した。
サバイバルゲームをしていた時の事だ。
[和泉さん、腕時計は内側に付けた方が良いんですよ。銃を構えた時でも時間が見やすいですし、BB弾がガラスに当たるリスクも減りますから]
好きで観ていたドラマでも主人公が手首の内側に付けていた。
あれはゴツい腕時計だった。
最後はナックル代わりになりそうなゴツい腕時計だったな。
今度は戦闘に入る前に付け直そうと思いながら、腕時計についた傷を指で撫でた。
「イズミさん!調査隊が戻って来ました」
カレンの声を聞いたイズミは、考えていた事を頭の隅へ追いやって調査隊の居るダンジョン入口へと歩き出した。
「ちゃんと無事みたいだな」
「お陰様でな。あの大剣が調子良くてな、不安無く戻って来れたよ」
トーマス達に軽く挨拶をした後で、本題に入った。
「これから魔法通信で冒険者ギルド本部へ報告をするのだが、イズミ殿とカレン殿も立ち合ってくれないか?」
聞くと帰りの道中で簡単な報告をした所、ギルド本部や貴族達が色めき立っているそうだ。
「それは…俺達の顔も見えるのか?」
「ああ。ギルド本部から借りた特別な魔法具だからな」
魔法ってのは何でもありなのだろうか?
それとも、過去の魔術師に天才でも居たのだろうか?
イズミはため息をついて疑問を振り払ってから、静かにその場に座った。
この状況で拒否をするのは悪手のような気がしたからだ。
「では繋ぐぞ…こちら『暁と盃』だ。見えているか?」
調査用の魔法具の上から、知らない誰か映る。
「見えているぞ。まず最初に、皆無事で何よりだ」
イズミは隣に座っていたヴィルハイムに、映った人間について尋ねた。
どうやら冒険者ギルド本部のお偉いさんだそうだ。
その後ろには貴族がいるらしい。
「ありがとうございます。それでは報告致します」
トーマスは魔法具に触れて調査結果を出した。
「本ダンジョンは最低でも8階層はあります。1層から3層まではCランクからDランクの魔物ですが、それ以降は上級になると思われます」
「サイクロプスの件はどう見る」
ギルド本部もサイクロプスに感心があるのだろう。
かなり前のめりに聞いてきた。
「本ダンジョンはまだ手付かずですので、ダンジョン発見初期にある階層渡りかと」
「では、最初の本格的調査の際には最低でもBランク以上の冒険者パーティーに限定した方が良さそうだな…で、その後ろに居る方は何方かな?」
ギルド本部の男がイズミについて尋ねる。
「はい。彼が瞬く間にサイクロプスを多数葬った男、イズミです」
ギルド本部の男と、その後ろに居る者数名の視線が刺さった気がしたイズミは少しだけ、この場に立ち合った事を後悔した。
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