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第六章 ダンジョン発見
第七十四話 休息とベリーのジャム
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腹が減っては戦は出来ぬ。
それはどの世界でも共通だと思う。
食事が必要な生命体ならばの話だが。
魔物を警戒しているだけでも、神経は擦り減るし腹が減るのだ。
特に戦闘をした後だから尚更である。
調査隊が怪我の治療をしている最中なので我慢の時ではあるが、だからこそ美味しい飯が欲しくなる。
携帯食料の固い黒パンがあるが、そのままでは味気無い。
それをどうやって美味しく食べようかと思案していたらトーマスがやって来た。
「イズミ、だったな…交代しよう。休息も必要だ」
トーマスの提案を受け入れたイズミは、焚火に近付いて暖を取る事にした。
斥候担当のソラは焚火から少し離れた所で胡座をかいていた。
治療を受けている剣士が言うには、彼女なりの索敵行動らしい。
気を研ぎ澄ましているのだろう。
変に集中を乱すのもアレなので、声は掛けないでおく。
取り出した黒パンをナイフで切って焚火で炙り一口噛じるが、素朴な味としか感想が出て来なかった。
普段なら特に問題は無いし気にもしないが、今は美味しく食べたいのだ。
イズミはマスタングへ相談する。
「マスタング。ジャムを実体化出来るか?」
ジャムならこっちの世界でも自作可能だが、今すぐは無理なので確認をしたのだ。
グローブボックスが開いたのが見えたので、運転席に乗り込んで手を伸ばす。
ガラス瓶に入った赤いベリーのジャムだった。
これがあれば美味しく食べれそうだ。
「マスター。魔力補給は可能でしょうか?」
イズミがメーターを確認すると、残量は8割程あった。
「車体の修復と装備の調整が必要です」
マスタングの頼みなら断る理由が無い、断るなんて選択肢は存在しないのでイズミは二つ返事で許可を出した。
身体の力が抜ける感覚があったが、思った程では無く戦闘には支障は無いだろう。
「調整完了しました。ありがとうございます」
マスタングから降車すると、車体は綺麗に戻っていた。
凹みも無くなり、欠けたミラーも元通りだ。
イズミは焚火の近くへ座り込み黒パンを切って軽く炙り、木のスプーンでジャムを掬ってパンへ乗せた。
これだけでご馳走に早変わりだ。
イズミは一口噛じりつき、目を閉じて味わった。
素朴な黒パンの味にベリーの酸味が加わり、砂糖の甘さが薄味に慣れたイズミの味覚へ強烈な刺激を与えた。
この世界ではまだ高級な砂糖をタップリと使ったベリーのジャムだ。
ベリーの食感も有り難い。
形が残っておりゴロゴロとまでは言わないが、程良い食感として噛む度に程良い酸味が身体に染みるようだ。
ベリーの甘さと砂糖の甘さが諄過ぎず、絶妙なバランスが優しい味わいとして口内に広がる。
イズミはこの一口を堪能していた。
元いた世界ではジャムを使う事が少なかった。
どちらかと言うとハンバーガーの方が好きだったし、チーズを乗せる事の方が多かった。
しかし、今はこのベリーのジャムがもたらす酸味と甘さが堪らない。
パンを飲み込んで水筒の水で喉の渇きを癒すと、もう一口と食を進める。
「…美味かった」
イズミは黒パンを半分程食べると、残りを袋へ仕舞って立ち上がる。
治療のサポートをしていたカレンが休憩に入ると言うので、ジャムの入ったガラス瓶を手渡した。
「ありがとうございます…これは?」
「ベリーのジャムだ。パンに塗って食べると美味いぞ」
カレンが調査隊にも分けて良いのか聞いて来たので、とりあえず味見してから考えれば良いと提案した。
「…美味しい」
カレンは早速黒パンにジャムを塗り、一口食べたようだ。
イズミはその姿を見てから、ショットガンを手に取り周囲の警戒に戻った。
それはどの世界でも共通だと思う。
食事が必要な生命体ならばの話だが。
魔物を警戒しているだけでも、神経は擦り減るし腹が減るのだ。
特に戦闘をした後だから尚更である。
調査隊が怪我の治療をしている最中なので我慢の時ではあるが、だからこそ美味しい飯が欲しくなる。
携帯食料の固い黒パンがあるが、そのままでは味気無い。
それをどうやって美味しく食べようかと思案していたらトーマスがやって来た。
「イズミ、だったな…交代しよう。休息も必要だ」
トーマスの提案を受け入れたイズミは、焚火に近付いて暖を取る事にした。
斥候担当のソラは焚火から少し離れた所で胡座をかいていた。
治療を受けている剣士が言うには、彼女なりの索敵行動らしい。
気を研ぎ澄ましているのだろう。
変に集中を乱すのもアレなので、声は掛けないでおく。
取り出した黒パンをナイフで切って焚火で炙り一口噛じるが、素朴な味としか感想が出て来なかった。
普段なら特に問題は無いし気にもしないが、今は美味しく食べたいのだ。
イズミはマスタングへ相談する。
「マスタング。ジャムを実体化出来るか?」
ジャムならこっちの世界でも自作可能だが、今すぐは無理なので確認をしたのだ。
グローブボックスが開いたのが見えたので、運転席に乗り込んで手を伸ばす。
ガラス瓶に入った赤いベリーのジャムだった。
これがあれば美味しく食べれそうだ。
「マスター。魔力補給は可能でしょうか?」
イズミがメーターを確認すると、残量は8割程あった。
「車体の修復と装備の調整が必要です」
マスタングの頼みなら断る理由が無い、断るなんて選択肢は存在しないのでイズミは二つ返事で許可を出した。
身体の力が抜ける感覚があったが、思った程では無く戦闘には支障は無いだろう。
「調整完了しました。ありがとうございます」
マスタングから降車すると、車体は綺麗に戻っていた。
凹みも無くなり、欠けたミラーも元通りだ。
イズミは焚火の近くへ座り込み黒パンを切って軽く炙り、木のスプーンでジャムを掬ってパンへ乗せた。
これだけでご馳走に早変わりだ。
イズミは一口噛じりつき、目を閉じて味わった。
素朴な黒パンの味にベリーの酸味が加わり、砂糖の甘さが薄味に慣れたイズミの味覚へ強烈な刺激を与えた。
この世界ではまだ高級な砂糖をタップリと使ったベリーのジャムだ。
ベリーの食感も有り難い。
形が残っておりゴロゴロとまでは言わないが、程良い食感として噛む度に程良い酸味が身体に染みるようだ。
ベリーの甘さと砂糖の甘さが諄過ぎず、絶妙なバランスが優しい味わいとして口内に広がる。
イズミはこの一口を堪能していた。
元いた世界ではジャムを使う事が少なかった。
どちらかと言うとハンバーガーの方が好きだったし、チーズを乗せる事の方が多かった。
しかし、今はこのベリーのジャムがもたらす酸味と甘さが堪らない。
パンを飲み込んで水筒の水で喉の渇きを癒すと、もう一口と食を進める。
「…美味かった」
イズミは黒パンを半分程食べると、残りを袋へ仕舞って立ち上がる。
治療のサポートをしていたカレンが休憩に入ると言うので、ジャムの入ったガラス瓶を手渡した。
「ありがとうございます…これは?」
「ベリーのジャムだ。パンに塗って食べると美味いぞ」
カレンが調査隊にも分けて良いのか聞いて来たので、とりあえず味見してから考えれば良いと提案した。
「…美味しい」
カレンは早速黒パンにジャムを塗り、一口食べたようだ。
イズミはその姿を見てから、ショットガンを手に取り周囲の警戒に戻った。
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