異世界無宿

ゆきねる

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第五章 カレンの故郷

第六十一話 ライトを照らせ

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「ダンジョンってのは、冒険者ギルドに登録してないと駄目とか、そんなルールは無いよな?」

イズミがふと浮かんだ疑問を口にした。

「ダンジョンの難易度次第かと。最初から強力な魔物が出るのであれば、ランク設定がされて条件未達者の入場を制限するとかです」

カレンが答えてくれた。
なるほど、ここでダンジョン管理として冒険者ギルドの仕事が発生するのか。
イズミはマスタングに相談する。

「マスタング。あのダンジョンには車体の大きさ的に一緒には行けないが、階段を下った先までは確認しておきたい。この前買った魔石を使ってライトを実体化してくれないか」

冒険者ギルドのダンジョン調査が入る前に、ダンジョン内の最初の空間までは現場を見ておいて、引継ぎの形をとってカレンの村へ一旦戻るのが理想かと考えたのだ。

「マスター。ダンジョン探索用ライトを実体化しました」

マスタングのトランクが開いた。
見ると単2電池を2本使うサイズ感のライトが1個、実体化されていた。
手に取ってみるとボタンスイッチが無い。
ヘッドを回転させると点灯、光のスポット調整が出来るようだ。

「魔力充填式ですので、何方でも扱えます」

どうやら所持者の魔力を必要に応じて魔石が自動で吸収して、その魔力をエネルギーにして明かりを照射する仕組み…らしい。

「電池交換やランプ切れの心配はありませんが、強い衝撃等での破損には注意して下さい」

イズミはマスタングの説明を聞きつつ、隣にいるカレンとクロスボウを見た。
両手で構えなければ安定して撃ち込むのはキツいし、生活魔法で出せる灯りでは遠くまでは照らせない。

「マスタング。カレンのクロスボウのアップデートは可能か?元いた世界のウエポンライトみたいなのを取り付けたい」

回答は直ぐに来た。

「可能です。戦術用ライトをクロスボウに搭載しますか?」

イズミはカレンに確認を取った。

「カレン。ダンジョン探索と戦闘用の装備をクロスボウに追加しておきたいのだが、良いか?」

カレンがクロスボウから弾倉と装填していた矢を外して、イズミへ手渡した。
マスタングのトランクへ仕舞うと、早速アップデートを頼んだ。

ガコンガコンと音を立て始めるマスタングには一抹の不安を覚えるが。

「カレンのメイン武器だからな。妥協なく頼む」

とうとうマスタングからドリルで穴を開ける時のような音が聞こえてきた。
マスタングのセンス頼みではあるが、正直怖い。

「マスター。完成しました」

トランクが開いたので、クロスボウを取り出した。
入れ込んだ時よりも若干軽いような気がした。

「およそ10%の軽量化と耐久性の向上に成功しました。弾倉装着時の重量配分も問題ありません」

クロスボウをカレンに渡すと、マスタングからの操作説明が始まった。
聞き終えたカレンがダンジョンの入口、地下への階段へライトを試しに照射した。

呪文無しで点灯したライトは、ビームのように一直線に照射された。
かなり明るく、夜空に向けたらサーチライトのような運用も可能な気さえした。
これなら魔物への目潰し、牽制も出来るだろう。

イズミも自分用のライトのヘッドを回転させると、地下への階段をで照らしてみる。
強力だが、白熱電球のような温かな光が階段の奥を照らした。
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