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第五章 カレンの故郷
第五十五話 警告するほど優しくはない
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アーリアはラムネを渡すと、最近の冒険者ギルド事情や王国内での出来事を掻い摘んで教えてくれた。
1つ、イズミ達が偶然発見した洞窟はダンジョンでは無かったが、大型の魔物が住み着いていると発覚した事。
1つ、ある公爵家の子供が騎士の禁忌を犯したとして、騎士隊の除名と公爵家からの絶縁となった事。
1つ、帝国の動きがきな臭くなって来ている事。
話をし終えたアーリアは、ラムネの瓶を抱きかかえて転移魔法で帰ってしまった。
本当に便利な魔法だ。
「マスター。村の外から探知系の魔法反応がありました…恐らくこの村の偵察をしている可能性が高いです」
マスタングがモニターに魔法反応のあった場所をマーキングしてくれた。
確認した場所をそれとなく見てみたが、イズミの肉眼では人の存在を捉えられなかった。
「スコープか双眼鏡があれば、探せない事も無いか」
イズミはマスタングに双眼鏡の実体化は可能かを確認した。
回答は可能だった。
早速実体化して貰うとトランクが開き、中には双眼鏡が1つ入っていた。
持ってみるとズシリと重く、一昔前のデザインにも見える。
クラシックと呼ぶのが似合っているような双眼鏡だった。
トランクを閉めてからレンズが太陽光で反射しないように布で簡単に覆い、魔法反応があった方角を覗き込んで見る。
倍率を調整してみたりと弄っていたら、何者かは分からないが遠くに2人居るのが見えた。
距離は350メートル…くらいだろうか?
マスタングで追跡するか、ここから狙い撃つか。
マスタングへ相談をするよりも前に、ガコンと音がしてトランクが開いた。
今度はスコープ付きのアサルトライフル…イズミが元いた世界で読んでいた劇画の主人公が持っていた銃が実体化されていた。
マスタングからの無言の圧力を感じた。
『撃て』と。
「スコープは400メートルで調整されています」
イズミは苦笑いを浮かべつつマガジンに数発弾を込める。
銃を持ち上げてマガジンを差し込み、初弾を装填した。
セーフティを単発へと切り替えて遠くにいる2人の内、イズミから見て右側の1人へと狙いを定めた。
「復興具合の調査なら直接村に来れば良い訳だし、偵察だったら困るからな…悪く思うなよ」
イズミは躊躇いなく引き金に指をかける。
深呼吸をしてから息を止めて、1発撃ち込んだ。
破裂音が響き渡り、村の住民が何人かイズミの方を見ている。
イズミは再度スコープで狙いを付ける。
しっかりと命中していたようで、男は腹部を抑えていた。
もう一人は突然の攻撃に混乱しているように見えたので、そいつにも1発追加で撃ち込んだ。
撃つ直前に動き始めたので、狙った場所には命中しなかったが、脚を弾丸が掠めたのか倒れ込んだのをスコープ越しに確認した。
「狙撃ってのは難しいな。スコープの調整も含めて練習が必要そうだ」
イズミは一呼吸置いて銃からマガジンを外す。
薬室に残っている1発を抜くと、マスタングのトランクへと仕舞った。
1つ、イズミ達が偶然発見した洞窟はダンジョンでは無かったが、大型の魔物が住み着いていると発覚した事。
1つ、ある公爵家の子供が騎士の禁忌を犯したとして、騎士隊の除名と公爵家からの絶縁となった事。
1つ、帝国の動きがきな臭くなって来ている事。
話をし終えたアーリアは、ラムネの瓶を抱きかかえて転移魔法で帰ってしまった。
本当に便利な魔法だ。
「マスター。村の外から探知系の魔法反応がありました…恐らくこの村の偵察をしている可能性が高いです」
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確認した場所をそれとなく見てみたが、イズミの肉眼では人の存在を捉えられなかった。
「スコープか双眼鏡があれば、探せない事も無いか」
イズミはマスタングに双眼鏡の実体化は可能かを確認した。
回答は可能だった。
早速実体化して貰うとトランクが開き、中には双眼鏡が1つ入っていた。
持ってみるとズシリと重く、一昔前のデザインにも見える。
クラシックと呼ぶのが似合っているような双眼鏡だった。
トランクを閉めてからレンズが太陽光で反射しないように布で簡単に覆い、魔法反応があった方角を覗き込んで見る。
倍率を調整してみたりと弄っていたら、何者かは分からないが遠くに2人居るのが見えた。
距離は350メートル…くらいだろうか?
マスタングで追跡するか、ここから狙い撃つか。
マスタングへ相談をするよりも前に、ガコンと音がしてトランクが開いた。
今度はスコープ付きのアサルトライフル…イズミが元いた世界で読んでいた劇画の主人公が持っていた銃が実体化されていた。
マスタングからの無言の圧力を感じた。
『撃て』と。
「スコープは400メートルで調整されています」
イズミは苦笑いを浮かべつつマガジンに数発弾を込める。
銃を持ち上げてマガジンを差し込み、初弾を装填した。
セーフティを単発へと切り替えて遠くにいる2人の内、イズミから見て右側の1人へと狙いを定めた。
「復興具合の調査なら直接村に来れば良い訳だし、偵察だったら困るからな…悪く思うなよ」
イズミは躊躇いなく引き金に指をかける。
深呼吸をしてから息を止めて、1発撃ち込んだ。
破裂音が響き渡り、村の住民が何人かイズミの方を見ている。
イズミは再度スコープで狙いを付ける。
しっかりと命中していたようで、男は腹部を抑えていた。
もう一人は突然の攻撃に混乱しているように見えたので、そいつにも1発追加で撃ち込んだ。
撃つ直前に動き始めたので、狙った場所には命中しなかったが、脚を弾丸が掠めたのか倒れ込んだのをスコープ越しに確認した。
「狙撃ってのは難しいな。スコープの調整も含めて練習が必要そうだ」
イズミは一呼吸置いて銃からマガジンを外す。
薬室に残っている1発を抜くと、マスタングのトランクへと仕舞った。
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