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第一章 異世界転移
第十一話 車との契約
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気が付いたら朝になっていた。
やはり俺の車で車中泊は厳しいものがある。
身体がバキバキだ。
車から降りる前に、調子を確認すべくエンジンをかける。
エンジンの吹きは良好だ。
…燃料が心許ない。
モニターを見ると村の大雑把な位置関係が表示されている。
右下にはリストと書かれている項目があったので、押してみる。
過去に実体化させたもののリストが表示された。
俺は昨日飲めなかったラムネと、お菓子をタッチした。
すると、ピピッと音がしてトランクに実体化したとイラストが出できた。
『アーティファクトとの契約しろ』か…
アーリアの台詞を思い出していた。
契約の手順は分からないが、まず名前を付ける所からだな。
俺はエンジンを切って車を降りる。
そして正面から車を眺めた。
このご時世、ハイブリッドだ電気自動車だと叫ばれているが、俺はまだガソリン車から乗り換える気になれなかった。
そんな時に乗っていた軽自動車を近所で買い物中にぶつけられ廃車となり、知人と半ばヤケクソで近隣の車屋を巡った。
新車は高いし納期も掛かるからと、中古車を探し回った。
アクション映画の話をしつつ、ヒーロー達の愛車をネットで調べては価格を見て悩み、諦めたりもした。
そんな時に出会ったのだ。
俺が愛するアクション映画のヒーロー達が乗りそうな、いや乗っていた実績のあるこの名車の子孫に当たる車に。
フォード・マスタング
デカい?燃費が悪い?
そんな事はアクセルを踏めば忘れてしまうだろう。
小回りが利かないので田舎の小道に難はあるが…
俺が憧れて止まない、世界で最も格好良い男が劇中で駆け抜けた車の子孫だ。
税金的な意味でも燃料的な意味でも、メンテナンス的な意味でも維持が大変になると分かっていた。
しかし、この車を見た時…感じるものがあったんだ。
この車は、走りだがっている。と…
走りたいのに、走らせてくれる人が居なくて、野ざらしで展示されているのが辛くて泣いているのではないか?
『誰か私を走らせてくれ!』
そう叫んでいるように感じてしまったのだ。
俺が…走らせてやらなければ。
そんな使命感のようなものを勝手に持ってしまったのだ。
気が付いたら後先考えず、頭金+ローンを組んで購入していた。
俺のいた世界で頑張る平行世界の俺?よ…
ローンの返済を頑張ってくれ。
頼む。
「マスタング…これからも頼むぜ?」
俺は車…マスタングのボンネットを優しく撫でた。
その瞬間、マスタングのエンジンがかかった。
キーは手元にあるのにも関わらずだ。
俺は慌てて運転席に乗り込んだ。
モニターを確認すると、契約を更新しますか?と表示されている。
契約内容の確認なんてしない。
魂の契約ならば、俺の魂をかけるだけの事だ。
俺とこの車…マスタングとの間には何の問題にもならない。
そんな些細な問題で悩んでいる暇は、この異世界では必要ない。
前に進む以外の選択肢は無いのだから。
そう思いながらモニターに表示されている『はい』のボタンを押した。
その瞬間、俺の意識が飛んだ。
気が付いた時、俺は何処かのベッドに横たわっていた。
俺は身体を起こして、近くにいたエルフに声をかける。
どうやら契約の瞬間、車が蒼白い光に包まれたので確認しに向かったら、俺が気を失っていたとの事だ。
そんなに時間の経過はしていないらしいが、身体がフラフラする。
なんとか立ち上がり、車へと向かう。
車の色が変わっていた。
購入した時は黒だったのだが、今は濃い緑色だ。
車に乗り込んだ感想としては、内容に関しては特に変化は無かった。
「マスタング、起きてるか?」
試しに声に出して聞いてみた。
「マスター、何時でもどうぞ」
機械音声らしからぬ、人間と話しているかのような感覚と言うと言い過ぎか?
対話が可能になっているようだ。
「契約は完了したのか?」
「はい、マスターの魂と私と言う存在との間で契約が完了しました」
無事に契約は完了しているようだ。
「契約の詳細は?」
「はい、マスターと私との連絡は音声、思念の2種類で行われるものとします」
「また、私の燃料はマスターの魔力に変更されました」
追加された機能の確認は、モニターにてお願い致します。
そう説明された。
促されるまま説明を見ると、かなり便利な機能が増えていた。
まずは自己修復能力。
俺の魔力を消費してキズや故障、消耗品関係を常にベストな状態に自動で修復するらしい。
次に浮遊能力。
これも俺の魔力を消費して可能になるらしい。
さらに偽装能力。
これも俺の魔力を消費して、ボディの色を変えたり透明になって見えないような偽装が可能になるそうだ。
他にも簡単な自動運転や周囲の索敵等も可能になっている。
勿論、俺の魔力を消費する。
俺の魔力のバーゲンセール状態だ。
俺自身では魔法を使えないのだから、車が使えるのであれば、それは有りだと思う。
俺はエンジンをかけようとしたのだが、キーも差込口も見当たらない。
「魂の契約を行いましたので、マスターが指示1つで瞬時に起動します」
…進化してるみたいだ。
燃料ゲージを見たら満タンになっていた。
契約時に不足分を一気に吸収でもしたのだろう。
だから気を失ったのではないだろうか?
「今日はこの村で休む。必要であれば自己修復をしておいてくれ」
マスタングにそう指示をして、俺は長老の家へと向かう事にした。
契約直前に実体化させたお菓子を持って。
やはり俺の車で車中泊は厳しいものがある。
身体がバキバキだ。
車から降りる前に、調子を確認すべくエンジンをかける。
エンジンの吹きは良好だ。
…燃料が心許ない。
モニターを見ると村の大雑把な位置関係が表示されている。
右下にはリストと書かれている項目があったので、押してみる。
過去に実体化させたもののリストが表示された。
俺は昨日飲めなかったラムネと、お菓子をタッチした。
すると、ピピッと音がしてトランクに実体化したとイラストが出できた。
『アーティファクトとの契約しろ』か…
アーリアの台詞を思い出していた。
契約の手順は分からないが、まず名前を付ける所からだな。
俺はエンジンを切って車を降りる。
そして正面から車を眺めた。
このご時世、ハイブリッドだ電気自動車だと叫ばれているが、俺はまだガソリン車から乗り換える気になれなかった。
そんな時に乗っていた軽自動車を近所で買い物中にぶつけられ廃車となり、知人と半ばヤケクソで近隣の車屋を巡った。
新車は高いし納期も掛かるからと、中古車を探し回った。
アクション映画の話をしつつ、ヒーロー達の愛車をネットで調べては価格を見て悩み、諦めたりもした。
そんな時に出会ったのだ。
俺が愛するアクション映画のヒーロー達が乗りそうな、いや乗っていた実績のあるこの名車の子孫に当たる車に。
フォード・マスタング
デカい?燃費が悪い?
そんな事はアクセルを踏めば忘れてしまうだろう。
小回りが利かないので田舎の小道に難はあるが…
俺が憧れて止まない、世界で最も格好良い男が劇中で駆け抜けた車の子孫だ。
税金的な意味でも燃料的な意味でも、メンテナンス的な意味でも維持が大変になると分かっていた。
しかし、この車を見た時…感じるものがあったんだ。
この車は、走りだがっている。と…
走りたいのに、走らせてくれる人が居なくて、野ざらしで展示されているのが辛くて泣いているのではないか?
『誰か私を走らせてくれ!』
そう叫んでいるように感じてしまったのだ。
俺が…走らせてやらなければ。
そんな使命感のようなものを勝手に持ってしまったのだ。
気が付いたら後先考えず、頭金+ローンを組んで購入していた。
俺のいた世界で頑張る平行世界の俺?よ…
ローンの返済を頑張ってくれ。
頼む。
「マスタング…これからも頼むぜ?」
俺は車…マスタングのボンネットを優しく撫でた。
その瞬間、マスタングのエンジンがかかった。
キーは手元にあるのにも関わらずだ。
俺は慌てて運転席に乗り込んだ。
モニターを確認すると、契約を更新しますか?と表示されている。
契約内容の確認なんてしない。
魂の契約ならば、俺の魂をかけるだけの事だ。
俺とこの車…マスタングとの間には何の問題にもならない。
そんな些細な問題で悩んでいる暇は、この異世界では必要ない。
前に進む以外の選択肢は無いのだから。
そう思いながらモニターに表示されている『はい』のボタンを押した。
その瞬間、俺の意識が飛んだ。
気が付いた時、俺は何処かのベッドに横たわっていた。
俺は身体を起こして、近くにいたエルフに声をかける。
どうやら契約の瞬間、車が蒼白い光に包まれたので確認しに向かったら、俺が気を失っていたとの事だ。
そんなに時間の経過はしていないらしいが、身体がフラフラする。
なんとか立ち上がり、車へと向かう。
車の色が変わっていた。
購入した時は黒だったのだが、今は濃い緑色だ。
車に乗り込んだ感想としては、内容に関しては特に変化は無かった。
「マスタング、起きてるか?」
試しに声に出して聞いてみた。
「マスター、何時でもどうぞ」
機械音声らしからぬ、人間と話しているかのような感覚と言うと言い過ぎか?
対話が可能になっているようだ。
「契約は完了したのか?」
「はい、マスターの魂と私と言う存在との間で契約が完了しました」
無事に契約は完了しているようだ。
「契約の詳細は?」
「はい、マスターと私との連絡は音声、思念の2種類で行われるものとします」
「また、私の燃料はマスターの魔力に変更されました」
追加された機能の確認は、モニターにてお願い致します。
そう説明された。
促されるまま説明を見ると、かなり便利な機能が増えていた。
まずは自己修復能力。
俺の魔力を消費してキズや故障、消耗品関係を常にベストな状態に自動で修復するらしい。
次に浮遊能力。
これも俺の魔力を消費して可能になるらしい。
さらに偽装能力。
これも俺の魔力を消費して、ボディの色を変えたり透明になって見えないような偽装が可能になるそうだ。
他にも簡単な自動運転や周囲の索敵等も可能になっている。
勿論、俺の魔力を消費する。
俺の魔力のバーゲンセール状態だ。
俺自身では魔法を使えないのだから、車が使えるのであれば、それは有りだと思う。
俺はエンジンをかけようとしたのだが、キーも差込口も見当たらない。
「魂の契約を行いましたので、マスターが指示1つで瞬時に起動します」
…進化してるみたいだ。
燃料ゲージを見たら満タンになっていた。
契約時に不足分を一気に吸収でもしたのだろう。
だから気を失ったのではないだろうか?
「今日はこの村で休む。必要であれば自己修復をしておいてくれ」
マスタングにそう指示をして、俺は長老の家へと向かう事にした。
契約直前に実体化させたお菓子を持って。
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