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第一章 異世界転移
第四話 魔獣の森
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飛んできた火球を交わし、ショットガンを撃つまでの時間は恐らく、1秒程度だったのかもしれない。
車の真横で爆発が起こり車体が激しく揺れるのとほぼ同時に、窓から手を伸ばして飛竜に向けて撃った。
飛竜が至近距離にいたからなのか、極限まで切り詰められたショットガンの特徴…飛距離は落ちるが散弾の拡散範囲が広がる…のお陰なのか、飛竜の翼に当たったらしく雄叫びをあげている。
しかし、まだ飛んでいる…
俺はもう一度ショットガンの弾込めを頼む。
飛竜は車に突進する勢いで近付いて来る。
ギリギリまで引き付けて、引き金に指をかけた。
まともに散弾を喰らった飛竜は、車の直ぐ後ろに墜ちた。
ぶつかっていたら、確実に横転はしていただろう。
一息つきたい気持ちを抑えつつ、ハンドルを握った。
他にも追って来る兵士がいる可能性もある…
燃料のもつ限りアクセルを緩める事なく走り続けるしかない。
「近くに隠れられそうな場所は無いか?少なくとも上空からは探しにくい場所で」
車に聞くような問いかけ方で聞いてみる。
まだどうやって意思疎通?を図ればよいのかが分からないからだ。
目的地を更新しました。
そんな機械音声が流れた。
「ここからおよそ80km直進しますと、目的地付近です」
…大雑把!!
「そこはどんな場所だ?」
俺は舗装されていない草原に揺られながら、詳細な情報を尋ねる。
「何処の国にも属していない地帯で、亜人やエルフ族、魔獣が共存している森です」
「殆どの国からは、魔獣の森と呼ばれています」
魔獣ですか…
様々な魔獣の姿をイメージする。
全長10mは超えそうな巨人、人間程度なら丸呑み出来そうな蛇、その他諸々。
考えたくもないが、そんな怪物共に出くわしたら確実に死ぬ。
「森の入口付近であれば、亜人やエルフ族の集落や村があります」
話せそうな存在がいる!
いや、話せはしたが味方では無い奴らならいたが。
今現在、行く当てもないし何がなにやらサッパリなので、何処かで身体を休めたい。
身体の疲労感が凄まじいのだ。
障害物は無いが路面の凹凸が酷いので、スピードを少し緩めて走らせる。
どうやら追手は飛竜は一匹だけだったようだ。
油断は出来ないが。
「目的地に到着しました、ガイドを終了します」
太陽が沈みかけた位で魔獣の森に到着した。
腕時計に目をやると、こちらも夕方の時間帯であった。
森に入ってからは徐行運転とし、腕時計のストップウォッチを起動する。
30分くらい測定した辺りで車を停める算段だ。
そこは森と言うよりは樹海の方が表現的には近い気がした。
木々の高低差がほとんど無いのだ。
10分程進んだ辺りから、車で進むには厳しい道になってきた。
やむを得ず車を停め、しばらく車内にて外の様子を見る。
もう太陽の光は届かず、周囲は暗闇に染まっている。
今日はもう動かない方が得策かもしれない。
腹も減っているが、食料も無いので耐え忍ぶしかない。
気分が悪い。
生きている心地がしない。
そんな中、遠くにホタルよろしく光る何かが見える。
自然豊かな事で…とスルーしようと決め込んだのだが、それがホタルのような生物の放つ光ではないと分かるには、それほど時間はかからなかった。
人間?だろうか。
光を持ってこちらに近づいて来ているのが分かる。
しかし、先程出会った人間とは違い、今回の相手は距離を取っている。
「すまない、弾の補充を頼む」
そう言ってショットガンをグローブボックスに入れる。
機械音声が流れ、ショットガンのグリップ部分が出てきた。
用心するに超したことはないのだ…
コンコン…
小さいが優しめなノック音が反対側から聞こえた。
背後を取られた?
ショットガンを握る手が震える。
冷や汗なのか脂汗なのか分からないが、全身から汗が出ている気さえしてくる。
ゆっくりと振り返る。
そこには、羽根の生えた小人がいた。
車の真横で爆発が起こり車体が激しく揺れるのとほぼ同時に、窓から手を伸ばして飛竜に向けて撃った。
飛竜が至近距離にいたからなのか、極限まで切り詰められたショットガンの特徴…飛距離は落ちるが散弾の拡散範囲が広がる…のお陰なのか、飛竜の翼に当たったらしく雄叫びをあげている。
しかし、まだ飛んでいる…
俺はもう一度ショットガンの弾込めを頼む。
飛竜は車に突進する勢いで近付いて来る。
ギリギリまで引き付けて、引き金に指をかけた。
まともに散弾を喰らった飛竜は、車の直ぐ後ろに墜ちた。
ぶつかっていたら、確実に横転はしていただろう。
一息つきたい気持ちを抑えつつ、ハンドルを握った。
他にも追って来る兵士がいる可能性もある…
燃料のもつ限りアクセルを緩める事なく走り続けるしかない。
「近くに隠れられそうな場所は無いか?少なくとも上空からは探しにくい場所で」
車に聞くような問いかけ方で聞いてみる。
まだどうやって意思疎通?を図ればよいのかが分からないからだ。
目的地を更新しました。
そんな機械音声が流れた。
「ここからおよそ80km直進しますと、目的地付近です」
…大雑把!!
「そこはどんな場所だ?」
俺は舗装されていない草原に揺られながら、詳細な情報を尋ねる。
「何処の国にも属していない地帯で、亜人やエルフ族、魔獣が共存している森です」
「殆どの国からは、魔獣の森と呼ばれています」
魔獣ですか…
様々な魔獣の姿をイメージする。
全長10mは超えそうな巨人、人間程度なら丸呑み出来そうな蛇、その他諸々。
考えたくもないが、そんな怪物共に出くわしたら確実に死ぬ。
「森の入口付近であれば、亜人やエルフ族の集落や村があります」
話せそうな存在がいる!
いや、話せはしたが味方では無い奴らならいたが。
今現在、行く当てもないし何がなにやらサッパリなので、何処かで身体を休めたい。
身体の疲労感が凄まじいのだ。
障害物は無いが路面の凹凸が酷いので、スピードを少し緩めて走らせる。
どうやら追手は飛竜は一匹だけだったようだ。
油断は出来ないが。
「目的地に到着しました、ガイドを終了します」
太陽が沈みかけた位で魔獣の森に到着した。
腕時計に目をやると、こちらも夕方の時間帯であった。
森に入ってからは徐行運転とし、腕時計のストップウォッチを起動する。
30分くらい測定した辺りで車を停める算段だ。
そこは森と言うよりは樹海の方が表現的には近い気がした。
木々の高低差がほとんど無いのだ。
10分程進んだ辺りから、車で進むには厳しい道になってきた。
やむを得ず車を停め、しばらく車内にて外の様子を見る。
もう太陽の光は届かず、周囲は暗闇に染まっている。
今日はもう動かない方が得策かもしれない。
腹も減っているが、食料も無いので耐え忍ぶしかない。
気分が悪い。
生きている心地がしない。
そんな中、遠くにホタルよろしく光る何かが見える。
自然豊かな事で…とスルーしようと決め込んだのだが、それがホタルのような生物の放つ光ではないと分かるには、それほど時間はかからなかった。
人間?だろうか。
光を持ってこちらに近づいて来ているのが分かる。
しかし、先程出会った人間とは違い、今回の相手は距離を取っている。
「すまない、弾の補充を頼む」
そう言ってショットガンをグローブボックスに入れる。
機械音声が流れ、ショットガンのグリップ部分が出てきた。
用心するに超したことはないのだ…
コンコン…
小さいが優しめなノック音が反対側から聞こえた。
背後を取られた?
ショットガンを握る手が震える。
冷や汗なのか脂汗なのか分からないが、全身から汗が出ている気さえしてくる。
ゆっくりと振り返る。
そこには、羽根の生えた小人がいた。
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