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紋章
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話を聞いていると、釣竿が大きく引っ張られたので、引き上げる。
手のひらサイズの魚一匹が釣れた。
「飯は食ってないんだよな?」
「あ、はい」
「これ食え」
今釣り上げた魚を渡す。
「ありがとうございます!」
クラハは嬉しそうに魚に齧り付いた。
齧り付いた瞬間、不味そうに眉を顰めたが。
それでも文句なく食べているので、気にしないことにする。
また釣り糸を垂らして、飯を待つ。
しばらくしてゾーイと俺の分も釣れたので、もぐもぐと食べ、しっかりと体力を回復させた。
さて、話をしようかな。
「クラハはなんでこんなところいるんだ? 島には家族がいないのか?」
「うっ、その、親と喧嘩して家を出まして」
「喧嘩?」
家を出るくらいの喧嘩ってなんだ?
飯がないとか?
あるけどクラハには食べさせてくれないとか?
誰かに殺されそうになったとか?
酷いイジメにあったとかもありそう。
「うちの親、勝手に結婚相手を決めたんです! 私に相談もなく! しかも相手、ガリガリのヨワヨワのヘタレなんですよ!」
……そういうこともあるのか?
うちは二十歳くらいになったら相手を誘拐してきて洗脳して子供作れって教わったんだが。
「こんな世界でも良い人と結婚したいわよね」
ゾーイが同意している。
彼女がいうと説得力がある。
毎日ダーリンについて楽しそうに語っているから、本当に好きな人だったってわかるから。
「こんな世界だからこそ、私の産んだ子は強くいてほしいんです! でないと生き残れないでしょう!」
「そうよね。じゃあうちのリュカなんてどう? 私に会うまで一人で生きてきたから相当強いわよ?」
待て、それは待てマジで。
「それは強いですね。顔もイケメンですしいい感じです」
「ただ、常識がなってないのが傷なのよね」
「そうなんですか?」
ゾーイから教わった常識に当てはめれば、相当変だろう。
クラハがゾーイと同じような常識を持っているならかなり嫌がるはずだ。
言ってみるか。
「俺の中の常識はまず、結婚相手は洗脳する。そのあと子供作ったなら紋章の確認。もし紋章がなければまた子供を作る。紋章を持たない子供は戦闘の術を叩き込み、紋章を持つ子供は十五歳になるまで守られ続ける」
「洗脳とか紋章って初耳なんだけれど?」
ゾーイが苦笑いしながらいう。
確かに紋章は特別なものだ。
紋章がなんなのかは、よくわからないが、弟の背中に翼と剣が交差するようなマークがついていたからそれだろう。
「一番に生まれた子が十歳になったら、親は子供たちに体を差し出して食わせる。紋章を持つ子供が十五歳になったら兄弟たちは紋章の子供に食べさせる」
「それが一番おかしいの。なんで家族を食べちゃうわけ?」
「当然だろ」
「当然じゃないわ」
「本当はこの釣竿だって紋章を持つ者が使うべきなんだ」
「ますますリュカの育った環境が異常だって確認できたわね」
そんなことないと思ってたんだが、外から見ればそう見えるんだろうか?
「クラハはどう思うかしら?」
「……異常って言葉で片付けていいんですかこれ。狂ってますよ! こんな世界では皆が皆、大なり小なり狂っていますが、リュカさんの一族はやばすぎます!」
「そうでしょう? 私もリュカに家族は食うものって聞いた時何言ってんのこいつって思ったわ」
そう育てられたんだから仕方ないだろ。
それにしても、俺の教わったことって異常だったんだな。
ついさっき知り合ったばかりのゾーイもクラハも同じこと言っているし、普通に生きていれば彼女たちのいう常識を身につけられるのだろう。
俺ももっと色んなことを知ってみたい。
旅にでたら、きっと知らないことで溢れてるんだろうな。
そう考えると、なんか、凄くわくわくするや。
手のひらサイズの魚一匹が釣れた。
「飯は食ってないんだよな?」
「あ、はい」
「これ食え」
今釣り上げた魚を渡す。
「ありがとうございます!」
クラハは嬉しそうに魚に齧り付いた。
齧り付いた瞬間、不味そうに眉を顰めたが。
それでも文句なく食べているので、気にしないことにする。
また釣り糸を垂らして、飯を待つ。
しばらくしてゾーイと俺の分も釣れたので、もぐもぐと食べ、しっかりと体力を回復させた。
さて、話をしようかな。
「クラハはなんでこんなところいるんだ? 島には家族がいないのか?」
「うっ、その、親と喧嘩して家を出まして」
「喧嘩?」
家を出るくらいの喧嘩ってなんだ?
飯がないとか?
あるけどクラハには食べさせてくれないとか?
誰かに殺されそうになったとか?
酷いイジメにあったとかもありそう。
「うちの親、勝手に結婚相手を決めたんです! 私に相談もなく! しかも相手、ガリガリのヨワヨワのヘタレなんですよ!」
……そういうこともあるのか?
うちは二十歳くらいになったら相手を誘拐してきて洗脳して子供作れって教わったんだが。
「こんな世界でも良い人と結婚したいわよね」
ゾーイが同意している。
彼女がいうと説得力がある。
毎日ダーリンについて楽しそうに語っているから、本当に好きな人だったってわかるから。
「こんな世界だからこそ、私の産んだ子は強くいてほしいんです! でないと生き残れないでしょう!」
「そうよね。じゃあうちのリュカなんてどう? 私に会うまで一人で生きてきたから相当強いわよ?」
待て、それは待てマジで。
「それは強いですね。顔もイケメンですしいい感じです」
「ただ、常識がなってないのが傷なのよね」
「そうなんですか?」
ゾーイから教わった常識に当てはめれば、相当変だろう。
クラハがゾーイと同じような常識を持っているならかなり嫌がるはずだ。
言ってみるか。
「俺の中の常識はまず、結婚相手は洗脳する。そのあと子供作ったなら紋章の確認。もし紋章がなければまた子供を作る。紋章を持たない子供は戦闘の術を叩き込み、紋章を持つ子供は十五歳になるまで守られ続ける」
「洗脳とか紋章って初耳なんだけれど?」
ゾーイが苦笑いしながらいう。
確かに紋章は特別なものだ。
紋章がなんなのかは、よくわからないが、弟の背中に翼と剣が交差するようなマークがついていたからそれだろう。
「一番に生まれた子が十歳になったら、親は子供たちに体を差し出して食わせる。紋章を持つ子供が十五歳になったら兄弟たちは紋章の子供に食べさせる」
「それが一番おかしいの。なんで家族を食べちゃうわけ?」
「当然だろ」
「当然じゃないわ」
「本当はこの釣竿だって紋章を持つ者が使うべきなんだ」
「ますますリュカの育った環境が異常だって確認できたわね」
そんなことないと思ってたんだが、外から見ればそう見えるんだろうか?
「クラハはどう思うかしら?」
「……異常って言葉で片付けていいんですかこれ。狂ってますよ! こんな世界では皆が皆、大なり小なり狂っていますが、リュカさんの一族はやばすぎます!」
「そうでしょう? 私もリュカに家族は食うものって聞いた時何言ってんのこいつって思ったわ」
そう育てられたんだから仕方ないだろ。
それにしても、俺の教わったことって異常だったんだな。
ついさっき知り合ったばかりのゾーイもクラハも同じこと言っているし、普通に生きていれば彼女たちのいう常識を身につけられるのだろう。
俺ももっと色んなことを知ってみたい。
旅にでたら、きっと知らないことで溢れてるんだろうな。
そう考えると、なんか、凄くわくわくするや。
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