雨はやはり憂鬱で死ぬ

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川をのぼって

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 俺たちは今、ゆっくりと川をのぼっている。
 手を絡めるように繋いで、絶対に離さないようにしながら、進んでいく。
 昔の人ならこの川に逆らい歩くなんて出来なかったらしいが、雨の降る世界になったせいで、川に逆らって歩けないと海で暮らす運命になる。
 だから川で暮らす存在は川に逆らって動ける動物しかいないんだ。

 しばらく歩いてきたが、そろそろ今日は休もうか。
 まだ昼を少し過ぎたあたりだが、岩の上に乗って休憩する。
 ゾーイにあまり無理はさせられないからな。
 ゾーイを見てみる。
 岩の上に座るゾーイは疲れたのか元気がない。
 いつもならダーリンの話をしているはずなのに。
 新鮮な魚をゾーイの膝の上に置いておくが、ぼーっとしていて、反応がない。

「ゾーイ、大丈夫か?」

「……ん? あ、ええ、大丈夫よ。久しぶりに疲れただけ」

「キツかったら言ってくれ。急ぐ旅でもないし、もう少し休み休みでもいい」

「そうね、もう少し休みながら行きましょうか」

「それと、疲れを取るためにも飯を食え」

「うん、食べるわ」

 そうやってゾーイの体調を気遣いながら、俺たちは川をのぼっていく。

 
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