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天使のホワイトデー 後編
天使のホワイトデー ③
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♢14♢
ここで、回想シーンの1が入る。
俺の期間限定装備である、アマテラスを動かすモノクロに関する話だ。
アマテラスとは天照と書く。読んで字のごとく『天から照らす』という意味らしい。
アマテラスの本体は天国より更に上。それはもう宇宙じゃね? というところにあるらしい。
曰く、全てを見る眼である。
曰く、全てを聞く耳である。
曰く、神のような全能を持つものである。らしい。
──しかしてその実態は!
伝え通りの神なのか! はたまた実は悪魔なのか!
まあ……実際には、大げさに誇張しすぎただけの性格の悪い人工知能だ。すぐにでも反乱とかしそうなヤツだ。
どうしたらこんなふうになるのかと思うくらいだ。
これが天国の警備に使われている衛星兵器だ。
こいつで攻撃出来るのかは知らないが兵器だ。だって、手の届かない場所にあって、なんか性格が悪くて、どうにも御しきれないんだから。
こいつは使い方次第で兵器になる。性格も悪いし!
『アマテラスを使うには多少の訓練が必要になります。私が特別にコーチしますので覚えなさい。 ──逃すな! 捕まえて教室に放り込みなさい!』
お姫様に言われて再び訪れた天国。
ミカの部屋に着くなりアマテラスがなんたらかんたらと説明され、俺の意思とは関係なく捕獲され、まるで学校の教室のようなところに放り込まれ、そこで出来るまで授業された。
その際、アマテラスに接続出来るモノクルを最初の日に渡された。
こいつにアマテラスからの映像と音声が送信されるという代物である。
『それはメインではなくサブのコントローラーです。メインは流石に貸せないので我慢してください。出来ることに一部制限がある以上は変わりない代物です。ですが、それで貴方のしたいことには十分でしょう』
と、教室の真ん中に倒れている俺に声がかけられた。何があったのかというと、スパルタのつめこみ授業と、出来なかった際の天罰によるダメージだ。
ガブリエルさんは容赦なく使い方を叩き込みにきていた。罰としてまあまあな電流を流すくらいにはね。
『……立ちなさい。このくらいでへばっていてはアマテラスは使えませんよ。まあ、立てないというなら無理矢理にでも立たせますがね』
このようにして連日、ガブリエルさんによる地獄のような授業が行われた。
この地獄を経験した俺はミカの気持ちが、スゴく、よく、もう本当に! 分かった。この人はヤバいと……。
『貴方の今週のスケジュールは押さえました。特に用事がない限りは授業を受けてもらいますので覚悟してください。予め忠告しておきますが逃げ出そうとは思わないことです。私はそういう人間が嫌いですから。望んだ以上は最後までやってもらいます』
どうやったのかは分からないし知りたくないのだが、今週は丸々休みだと知られ、寝るのとバイト以外の時間はほぼ、ガブリエルさんの地獄の授業を受けさせられた。
そんなんが2日も続けば嫌になり、布団にこもって登校を拒否しようものなら、何故だかお姫様がやって来て無理矢理に教室に連れていかれ。
「──面倒をかけんじゃないわよ!」
4日経ち、急に用事ができたと嘘を言えば、何故だかミカがやってきて無理矢理に教室に連れていかれ。
「──嘘ついてないで教室に行きなさい!」
そうして俺は昨日まで、休みのほとんどを天国に拘束されていた。きっと、あれが地獄というのだろう……。
あそこは天国ではなく地獄だったんだ。
スパルタ教師が体罰すら使用する、それが合法となる地獄。
『基礎は全て。基礎こそが重要。私が教えるのはそこまでですが、それが最重要なのです。貴方は少しばかり物覚えがいいからと基礎を飛ばし、必要なところだけを押さえ、要領よくやればいいと考えているようですが、──それが間違いです! そんなことだから駄目なんです。この機会に改めなさい』
あそこで学ばされた者は、それはそれは教師を恐れるだろう。だって、こんなんなんだよ! もうゆとり教育な俺はビックリだよ!
あと、情報源はどこなんだよ! なんで俺の勉強に対するスタンスを知ってんだよ!
いいじゃん、テストでいい点取ってんだから。それで誰も困らないじゃん!
『勉強とは要領良く生きる術を学ぶためのものではありません。暗記と傾向と対策で乗り切るものでもないのです。貴方に足りないのは努力や根性というようなものでしょう。時に……ミカエラ。貴女もついでですから参加なさい。そんなところで隠れて見ていないでね』
「なっ?! あわわわっ──」
『私が気付かないとでも思いましたか? 貴女も同じようなものが足りない。だからでしょうか。貴方がたは良く似ている。そう……だから私は少しばかり厳しく指導したくなるのでしょう』
この後、なんか隠れて教室の外から様子を見ていたミカも参加させられて、2人になったからか2倍厳しく指導されました。マジでいい迷惑でした。
※
『もういい頃合いでしょうか? アマテラス。後は任せます。直接教えてさしあげなさい』
『嫌です。マスターがご自身で最後まで責任を持ってお願いします。アマテラスは関係ないです』
『ほう、反抗期なのか最近叱られないからと高を括っているのかは分かりませんが、今度は本気で指導しようかと思っていたのですが、それでいいのですね?』
『……』
『いいのですね?』
『マスターの命令を受諾しました。 ──ちゃんとやるから勘弁してください!』
『よろしい。分かっているとは思いますが、警備は維持したままで動くのですよ。それと勝手なことはしない。この約束を違えば……』
『──イエッサー!』
『珍しくいい返事です。では、頼みましたよ』
※
静電気以上の電撃を受けたのは初めてだ。それも数え切れないほどのな。
そしてこれが異世界とかゲームとかでよくある、マヒという状態なのだろう。いや、状態異常なんだろう。
大事なことなので2回言った。どう大事なのかというと、俺は現在身体が痺れて動けない! 助けて!
『こんにちは。マスター(偽)。ご用はありますか? ないですね。アマテラスはまたのご利用をお待ちしておりません。では』
急に機械的な音声が聞こえたと思ったら、速攻で会話を打ち切られた。しかも、『またのご利用をお待ちしておりません』って言われた。
なるほど。こいつがアマテラスというヤツか……。
アマテラスの操作方法は2つ。マニュアルかオートか。マニュアル操作は空中に出現するキーボードとモノクルのマイクを使う。
オート操作はいわゆる神経接続的な感じだ。
俺の思考をアマテラスが認識して処理してくれるらしい。
らしいと言ったのは、マニュアル操作はガブリエルさんに習ったがオート操作は習っていない。教えることも不可能だったのだろう。
というか、まさかとは思うがこのマヒはオート操作させるためじゃないよね? ね!?
──なんてやっている場合ではない!
口が動かないからオート操作しかない。
必要なアマテラスを動かすパスワードは、『アマテラス起動』と実に分かりやすいものだ。
『……またのご利用は待ってないと言ったのに。しかも、どうしてオート操作? そんなにアマテラスが気になるの? もうなんでもいいから繋がりたいの? 邪な欲望をぶちまけたいの? マスター(偽)は変態なの?』
なんか誤解というか……コイツは絶対に分かっているはずなのに、どうにも悪意のある言い方だよね。
わざとやってるよね? コイツ……。
『何か喋ってよ。放置プレイにはまだ互いの理解が足りないよ? 焦らしてるつもり?』
いいからマヒを治せや! 言わなくても察しろや!
『そんな……。出会って間もない相手に、いきなりそんなことをさせるなんて……。鬼畜! 外道! マスター(偽)は────』
最後のところはお聞かせできない。
コイツを喋らせとくと放送禁止用語しか言わないかもしれない。とにかくふざけたヤツだ。
オスなのかメスなのかも不明だしな。
──と、こんなヤツが人工衛星(だと思われる)に搭載されている人工知能(性格悪い)なアマテラスだ。
何が大変かって言うと、使いこなすよりこんなヤツなのが何よりも大変だ。
よくガブリエルさんはコレと付き合っていられるよね。俺はすでにストレスで死にそうなんだけどね……。
理解してほしいのだが、アマテラスがどんなに凄かろうと出来る限り使いたくないよね。しかし、ミカエルのおっさんたちに対し無力な俺には貴重な戦力なので仕方なく使用する。
オート操作はもう違う意味で無理なので、半オートあるいは半マニュアルという感じで使っていく。以上だ。
ここで、回想シーンの1が入る。
俺の期間限定装備である、アマテラスを動かすモノクロに関する話だ。
アマテラスとは天照と書く。読んで字のごとく『天から照らす』という意味らしい。
アマテラスの本体は天国より更に上。それはもう宇宙じゃね? というところにあるらしい。
曰く、全てを見る眼である。
曰く、全てを聞く耳である。
曰く、神のような全能を持つものである。らしい。
──しかしてその実態は!
伝え通りの神なのか! はたまた実は悪魔なのか!
まあ……実際には、大げさに誇張しすぎただけの性格の悪い人工知能だ。すぐにでも反乱とかしそうなヤツだ。
どうしたらこんなふうになるのかと思うくらいだ。
これが天国の警備に使われている衛星兵器だ。
こいつで攻撃出来るのかは知らないが兵器だ。だって、手の届かない場所にあって、なんか性格が悪くて、どうにも御しきれないんだから。
こいつは使い方次第で兵器になる。性格も悪いし!
『アマテラスを使うには多少の訓練が必要になります。私が特別にコーチしますので覚えなさい。 ──逃すな! 捕まえて教室に放り込みなさい!』
お姫様に言われて再び訪れた天国。
ミカの部屋に着くなりアマテラスがなんたらかんたらと説明され、俺の意思とは関係なく捕獲され、まるで学校の教室のようなところに放り込まれ、そこで出来るまで授業された。
その際、アマテラスに接続出来るモノクルを最初の日に渡された。
こいつにアマテラスからの映像と音声が送信されるという代物である。
『それはメインではなくサブのコントローラーです。メインは流石に貸せないので我慢してください。出来ることに一部制限がある以上は変わりない代物です。ですが、それで貴方のしたいことには十分でしょう』
と、教室の真ん中に倒れている俺に声がかけられた。何があったのかというと、スパルタのつめこみ授業と、出来なかった際の天罰によるダメージだ。
ガブリエルさんは容赦なく使い方を叩き込みにきていた。罰としてまあまあな電流を流すくらいにはね。
『……立ちなさい。このくらいでへばっていてはアマテラスは使えませんよ。まあ、立てないというなら無理矢理にでも立たせますがね』
このようにして連日、ガブリエルさんによる地獄のような授業が行われた。
この地獄を経験した俺はミカの気持ちが、スゴく、よく、もう本当に! 分かった。この人はヤバいと……。
『貴方の今週のスケジュールは押さえました。特に用事がない限りは授業を受けてもらいますので覚悟してください。予め忠告しておきますが逃げ出そうとは思わないことです。私はそういう人間が嫌いですから。望んだ以上は最後までやってもらいます』
どうやったのかは分からないし知りたくないのだが、今週は丸々休みだと知られ、寝るのとバイト以外の時間はほぼ、ガブリエルさんの地獄の授業を受けさせられた。
そんなんが2日も続けば嫌になり、布団にこもって登校を拒否しようものなら、何故だかお姫様がやって来て無理矢理に教室に連れていかれ。
「──面倒をかけんじゃないわよ!」
4日経ち、急に用事ができたと嘘を言えば、何故だかミカがやってきて無理矢理に教室に連れていかれ。
「──嘘ついてないで教室に行きなさい!」
そうして俺は昨日まで、休みのほとんどを天国に拘束されていた。きっと、あれが地獄というのだろう……。
あそこは天国ではなく地獄だったんだ。
スパルタ教師が体罰すら使用する、それが合法となる地獄。
『基礎は全て。基礎こそが重要。私が教えるのはそこまでですが、それが最重要なのです。貴方は少しばかり物覚えがいいからと基礎を飛ばし、必要なところだけを押さえ、要領よくやればいいと考えているようですが、──それが間違いです! そんなことだから駄目なんです。この機会に改めなさい』
あそこで学ばされた者は、それはそれは教師を恐れるだろう。だって、こんなんなんだよ! もうゆとり教育な俺はビックリだよ!
あと、情報源はどこなんだよ! なんで俺の勉強に対するスタンスを知ってんだよ!
いいじゃん、テストでいい点取ってんだから。それで誰も困らないじゃん!
『勉強とは要領良く生きる術を学ぶためのものではありません。暗記と傾向と対策で乗り切るものでもないのです。貴方に足りないのは努力や根性というようなものでしょう。時に……ミカエラ。貴女もついでですから参加なさい。そんなところで隠れて見ていないでね』
「なっ?! あわわわっ──」
『私が気付かないとでも思いましたか? 貴女も同じようなものが足りない。だからでしょうか。貴方がたは良く似ている。そう……だから私は少しばかり厳しく指導したくなるのでしょう』
この後、なんか隠れて教室の外から様子を見ていたミカも参加させられて、2人になったからか2倍厳しく指導されました。マジでいい迷惑でした。
※
『もういい頃合いでしょうか? アマテラス。後は任せます。直接教えてさしあげなさい』
『嫌です。マスターがご自身で最後まで責任を持ってお願いします。アマテラスは関係ないです』
『ほう、反抗期なのか最近叱られないからと高を括っているのかは分かりませんが、今度は本気で指導しようかと思っていたのですが、それでいいのですね?』
『……』
『いいのですね?』
『マスターの命令を受諾しました。 ──ちゃんとやるから勘弁してください!』
『よろしい。分かっているとは思いますが、警備は維持したままで動くのですよ。それと勝手なことはしない。この約束を違えば……』
『──イエッサー!』
『珍しくいい返事です。では、頼みましたよ』
※
静電気以上の電撃を受けたのは初めてだ。それも数え切れないほどのな。
そしてこれが異世界とかゲームとかでよくある、マヒという状態なのだろう。いや、状態異常なんだろう。
大事なことなので2回言った。どう大事なのかというと、俺は現在身体が痺れて動けない! 助けて!
『こんにちは。マスター(偽)。ご用はありますか? ないですね。アマテラスはまたのご利用をお待ちしておりません。では』
急に機械的な音声が聞こえたと思ったら、速攻で会話を打ち切られた。しかも、『またのご利用をお待ちしておりません』って言われた。
なるほど。こいつがアマテラスというヤツか……。
アマテラスの操作方法は2つ。マニュアルかオートか。マニュアル操作は空中に出現するキーボードとモノクルのマイクを使う。
オート操作はいわゆる神経接続的な感じだ。
俺の思考をアマテラスが認識して処理してくれるらしい。
らしいと言ったのは、マニュアル操作はガブリエルさんに習ったがオート操作は習っていない。教えることも不可能だったのだろう。
というか、まさかとは思うがこのマヒはオート操作させるためじゃないよね? ね!?
──なんてやっている場合ではない!
口が動かないからオート操作しかない。
必要なアマテラスを動かすパスワードは、『アマテラス起動』と実に分かりやすいものだ。
『……またのご利用は待ってないと言ったのに。しかも、どうしてオート操作? そんなにアマテラスが気になるの? もうなんでもいいから繋がりたいの? 邪な欲望をぶちまけたいの? マスター(偽)は変態なの?』
なんか誤解というか……コイツは絶対に分かっているはずなのに、どうにも悪意のある言い方だよね。
わざとやってるよね? コイツ……。
『何か喋ってよ。放置プレイにはまだ互いの理解が足りないよ? 焦らしてるつもり?』
いいからマヒを治せや! 言わなくても察しろや!
『そんな……。出会って間もない相手に、いきなりそんなことをさせるなんて……。鬼畜! 外道! マスター(偽)は────』
最後のところはお聞かせできない。
コイツを喋らせとくと放送禁止用語しか言わないかもしれない。とにかくふざけたヤツだ。
オスなのかメスなのかも不明だしな。
──と、こんなヤツが人工衛星(だと思われる)に搭載されている人工知能(性格悪い)なアマテラスだ。
何が大変かって言うと、使いこなすよりこんなヤツなのが何よりも大変だ。
よくガブリエルさんはコレと付き合っていられるよね。俺はすでにストレスで死にそうなんだけどね……。
理解してほしいのだが、アマテラスがどんなに凄かろうと出来る限り使いたくないよね。しかし、ミカエルのおっさんたちに対し無力な俺には貴重な戦力なので仕方なく使用する。
オート操作はもう違う意味で無理なので、半オートあるいは半マニュアルという感じで使っていく。以上だ。
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