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天使のホワイトデー
プロデューサーの仕事
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♢4♢
「であるからして──」
ここは城の中の一部屋。ちょう長いテーブルがある部屋。会社とかで考えるなら、いわば会議室だ。
そこで今まさに行われているのは、世界を左右する大事な会議だ。
出席者は王様と、その使いたち全員だ。
「というわけで──」
現在その会議を仕切っているかたちの俺から見て、右側が見た目は人間な人たち。
左側は……見た目から人間じゃない人たち。
こうしてあたらめて見るとさ、普段は城にいない、見た目から人間じゃない人たちが怖いよね。
……だって、なんなのあの人たち? 毎週どっから来てんの?
おっさんたちと違って喋んないし、おっさんたちよりイカツイし、おっさんたちより見た目からヤバイし。
俺のフォルダの、おっさんというカテゴリの中でも異質な人たちなんだよ。こわいわー。
「──まあ、俺による説明はこのくらいにして。次に、先週からの進捗具合を報告する。全員手元の資料を見て欲しい」
会議なんだから会議のための資料は存在する。ただ、謎の異世界文字で書いてある会議資料だがな。
これの作成は、俺が日本語で書いたのを、お姫様が謎の異世界文字に変換。それを俺が人数分コピーするという手間がかかっている。
しかも俺は翻訳の対価として、彼女にお菓子を買ってあげるという約束をしている。
しかし、これにより会議は円滑に進む。持ちつ持たれつですね。先週がアレだったから、今週はちゃんとしてみたしだいです。
「まず、戦時中の工場だが……──ぶっ壊した! 改修不可能なところはだがな。使えるところは再利用して使う。予算がない! からだ。ニクスくんお願い」
──パリパリ
「白夜さんの仰るように、財政は芳しくないです。未だに、城下すら再建が終わっていないのが主な理由です。はっきり言うと、労働力も足りないです。地方から出稼ぎの労働力を募集していますが、まったくと言っていいほど上手くいっていません」
──パリパリ
「ニクスくんありがとう。さて、諸君。これの理由はなんなのか分かるか? 正直、俺はこんなこと言いたくはないんだ。だが、誰かが言わなくてはならない!」
テーブルを『バン!』と派手に叩き、座っていたのを立ち上がり、資料から注目を自分に集める。
これだけやれば流石に、さっきからパリパリと音を立てている、俺と二クス以外全員の注目が俺に集まる。
「──お前らが終戦宣言をちゃんとしないから、いつまで経っても、みんなビクビクして暮らしてんだよ! 城の中が世界じゃねーーんだ! 分かってんのか、この穀潰し共が! 分かったなら明日から地方まわれや! もう戦はありませんて言ってこいや! あと、いつまでも鎧着て怖い顔してんなや! この会議は戦関係ねーーーーんだよ。何で武装してんだよ。そういうところがダメなんだよ!」
──パリパリ
「いや……プロデューサー殿? 少し落ち着いて……」
「あん? 何だぁ、王様。文句あんのか。しょーじき言うけどさ、あんたが一番ダメだ。威厳があるのはいい。大事だ。王様なんだからな。しかし、ありすぎるのもどうかと思う。確かにこんなのが目の前に来たら子供は泣く。だがな、だからって城に閉じこもってんなや! 今から城下行ってこいや! お前ら全員、ちゃんと働けや!」
──パリッ
「そして、いつまでパリパリやってんだ! それは次の議題のプレゼン用なんだよ。って、もう残ってない!?」
俺が喋ってる間もパリパリやりやがってーーっ。
最初に出しておいたのは間違いだった。食べ始めたら止まらないのは分かるが、限度があるだろうに。
箱で買ってきたサンプルが消えてしまったらしい……。
「まあ、大変好評なのは分かったからいい。俺がオススメする今週のお菓子はそれだ。材料は芋。それを揚げただけだが、美味しさは食べた通りだ。今週はポテトチップスを生産できるようにする。芋は素材がすでにあるし、調達関連は問題ない。味は俺が監修する」
異世界にも芋はあったんだ。かなり普通に生産もされているし、簡単に手に入る。
これを利用しない手はない。
お姫様のチョコレート工場は少し時間が必要だが、ポテトなら簡単に作れる。塩もあるし。
チョコレートと合わせて甘じょっぱいのとか、毒い植物のスパイス味とか作れる。
売り方はチョコレートと同じく始めは試食させ、食いたければ買えるようにすればいい。売るところはコンビニが最有力だろう。
と、俺1人でもいくらでもアイデアは湧いてくるというのに……。この強面。脳筋共ときたら。
こんなのが集まっているだけで、雰囲気がもうアレだというのに。本格的にダメすぎる。
「来週までに終戦宣言と労働力の確保。それが諸君の仕事だ。成果が上がらなかった時は覚悟しろよ? その日から、そいつの肉の味付けは塩だけに戻る。タレは使わせない。魚の日も同様だ。醤油は禁止する。それが嫌なら、結果出せや! ……以上。俺の今日の会議は終わります。後は貴様らでやってください。ニクスくん、あとよろ」
パリパリ──
「──新たにポテトチップス開けてんのはどいつだ! 隠してやがったな!」
「まあまあ、白夜さん。皆さん目が本気になってますので、結果は出ると思いますから! あとは私に任せてください」
パリパリの元であるポテトチップスを取り上げようと、音のした方にダッシュで向かおうとす俺をイケメンが止める。
この会議は実質的に俺と二クスしかいらないんじゃないかと思ったが、イケメンはよくおっさんたちを庇う。
「わかった。任せろというなら任せよう。俺はお姫様のところに行く。二クス、ちゃんとやらせろよ?」
「ええ、善処します」
「では、また来週。同じ時間に集まるように。装備はいらないからな」
如何だっただろうか? 異世界プロデュースのための2回目の会議は。
ヤツらはちゃんとやると思うか? まあ、やらなかったりできなかった時は、ただではおかない!
最初は頼まれたから。バレンタインにチョコが欲しかったからだが、もう違う。
好評をきしたバレンタイン。あの後の世間の反応を見て、俺は決めた。ちゃんとプロデュースしようと。
──本気でやろうと!
「プロデューサーとしての役職を与えられた以上は──」
──ズン! ──バキバキ、バキバキ!
会議室から出たところでの、1人決意表明を遮るほどの音が、突如として鳴り響く。
言うなれば花火でも上がったような音と表現しよう。あまり聞かない、かなり大きな音が近くからする。
「──急に何だ!? なんの音だ!?」
変な音は、止むことなく続いている。
窓ガラスは揺れているが爆発ではないし、窓から花火も見えはしない。
何の音なのか? 何をしたらこんな音が……。
「これは何事だ」
声がしたと思ったら、会議には参加しない悪魔がどこかから現れ、足元にいた。
この悪魔。俺を異世界へとご招待してくれた、ありがたいようなありがたくないようなヤツ。
セバスは王の使いではなく、お姫様専属らしい。お姫様の補佐が主な仕事なんだ。
まさに執事ということらしいよ!
「セバス、なんなのかはわからない。会議室から出たら急に、バキバキいい出してな。はっ──、これはまさか天空城の何かしらがどうにかなってしまい、あーなったりそうなったりして最終的には落ちるとか!?」
「これは下からか?」
「……下?」
セバスが下だというので、俺も窓から外を見てみる。俺の膝くらいの大きさのセバスは、窓枠に飛びのり同じように外を見ている。
別に変わったところは……なに……あれ?
「なぁ、何回目をパチパチしても見間違いじゃないようなんだけど。あの巨大な塊はなんだ? 城門につっかえている、アレは何?」
「分からん。しかし、ただ事ではないぞ」
「だな、行ってみっか!」
俺に答えることなく、セバスは開けた窓から飛び降りる。って飛び降りる!? ここ3階なんだけど!
飛び降りたセバスはふわっと着地して、自分だけ城門へと向かっていく。
「おい、俺を置いてくなよ!」
──バキバキ ──ガッシャーン!
おいおい、ついに城門の門のところが崩壊したんだけど。こう、塊を無理矢理引っ張ったら壊れました。みたいな感じ。
「これはアレかな。脳筋たちの出番かな? さっき必要ないと言ったんだけど、必要だったのかな?」
異世界にきて……初めてではないが、そこはかとなくピンチの匂いがする事態が発生したようだ。
しかし、城門が崩壊したことにより分かったこともある。つっかえていた巨大な塊が、いろいろな荷物であることが分かった。家を持ってきたくらいの荷物量に見える。
ひょっとしてだけど、アレは全部武器とかじゃないよね。ここでドンパチ始まったりはしないよね?
もしかしてだけど、あの塊は人が動かしてるとかじゃないよね。こう、異世界的な要素により、浮いてたとかだよね?
──ズン!
「うわぁ! 今揺れた。あの荷物置いたら揺れたよ。つーか、やっぱり人が背負ってたーー!」
ここからでは相手の顔までは分からない。
あの荷物の持ち主が、女の子だとしか分からない。
これが何故かと言えば、荷物を下ろした子は髪が長いし、ミニスカートに見えるからだ。
んーーっ、かなり嫌な感じだ。だって、あの荷物は何? 引っ越してきた人なの?
それとも……終戦してないと思って、カチコミにきたのかな。ありえる。
「ル、シ、アーーーーッ! 出てきなさい! 決闘……いや、戦争よ!」
そのミニスカートの女の子は、城の中まで響く大声で叫ぶ。それも、ご指名はお姫様。
あのクソ強い姫をご指名とか。
カチコミだ。本当にカチコミだった。やべぇな、バレないうちに帰ろう……。
「やっと来たわね。ほら、あんたもいくわよ!」
これはヤバイと判断し、帰ろうと階段を下へではなく上へ行こうとしたら、ちょうど階段を下りてきたお姫様に、ガッチリと腕を掴まれた。これでは逃げられない!
「待て、俺は急用ができた。だから帰る! 戦争はキミたちだけでやってくれ!」
「嘘ついてないでいくわよ。プロデューサー……レイトくん」
「まって、本当に待って。戦争とか無理だから! 俺に戦闘力とかないから!」
あー、抵抗むなしくあの怪力女のところに連行されてしまう……。
あー、このお姫様も怪力だった……。
あー、どうしよう……。
「であるからして──」
ここは城の中の一部屋。ちょう長いテーブルがある部屋。会社とかで考えるなら、いわば会議室だ。
そこで今まさに行われているのは、世界を左右する大事な会議だ。
出席者は王様と、その使いたち全員だ。
「というわけで──」
現在その会議を仕切っているかたちの俺から見て、右側が見た目は人間な人たち。
左側は……見た目から人間じゃない人たち。
こうしてあたらめて見るとさ、普段は城にいない、見た目から人間じゃない人たちが怖いよね。
……だって、なんなのあの人たち? 毎週どっから来てんの?
おっさんたちと違って喋んないし、おっさんたちよりイカツイし、おっさんたちより見た目からヤバイし。
俺のフォルダの、おっさんというカテゴリの中でも異質な人たちなんだよ。こわいわー。
「──まあ、俺による説明はこのくらいにして。次に、先週からの進捗具合を報告する。全員手元の資料を見て欲しい」
会議なんだから会議のための資料は存在する。ただ、謎の異世界文字で書いてある会議資料だがな。
これの作成は、俺が日本語で書いたのを、お姫様が謎の異世界文字に変換。それを俺が人数分コピーするという手間がかかっている。
しかも俺は翻訳の対価として、彼女にお菓子を買ってあげるという約束をしている。
しかし、これにより会議は円滑に進む。持ちつ持たれつですね。先週がアレだったから、今週はちゃんとしてみたしだいです。
「まず、戦時中の工場だが……──ぶっ壊した! 改修不可能なところはだがな。使えるところは再利用して使う。予算がない! からだ。ニクスくんお願い」
──パリパリ
「白夜さんの仰るように、財政は芳しくないです。未だに、城下すら再建が終わっていないのが主な理由です。はっきり言うと、労働力も足りないです。地方から出稼ぎの労働力を募集していますが、まったくと言っていいほど上手くいっていません」
──パリパリ
「ニクスくんありがとう。さて、諸君。これの理由はなんなのか分かるか? 正直、俺はこんなこと言いたくはないんだ。だが、誰かが言わなくてはならない!」
テーブルを『バン!』と派手に叩き、座っていたのを立ち上がり、資料から注目を自分に集める。
これだけやれば流石に、さっきからパリパリと音を立てている、俺と二クス以外全員の注目が俺に集まる。
「──お前らが終戦宣言をちゃんとしないから、いつまで経っても、みんなビクビクして暮らしてんだよ! 城の中が世界じゃねーーんだ! 分かってんのか、この穀潰し共が! 分かったなら明日から地方まわれや! もう戦はありませんて言ってこいや! あと、いつまでも鎧着て怖い顔してんなや! この会議は戦関係ねーーーーんだよ。何で武装してんだよ。そういうところがダメなんだよ!」
──パリパリ
「いや……プロデューサー殿? 少し落ち着いて……」
「あん? 何だぁ、王様。文句あんのか。しょーじき言うけどさ、あんたが一番ダメだ。威厳があるのはいい。大事だ。王様なんだからな。しかし、ありすぎるのもどうかと思う。確かにこんなのが目の前に来たら子供は泣く。だがな、だからって城に閉じこもってんなや! 今から城下行ってこいや! お前ら全員、ちゃんと働けや!」
──パリッ
「そして、いつまでパリパリやってんだ! それは次の議題のプレゼン用なんだよ。って、もう残ってない!?」
俺が喋ってる間もパリパリやりやがってーーっ。
最初に出しておいたのは間違いだった。食べ始めたら止まらないのは分かるが、限度があるだろうに。
箱で買ってきたサンプルが消えてしまったらしい……。
「まあ、大変好評なのは分かったからいい。俺がオススメする今週のお菓子はそれだ。材料は芋。それを揚げただけだが、美味しさは食べた通りだ。今週はポテトチップスを生産できるようにする。芋は素材がすでにあるし、調達関連は問題ない。味は俺が監修する」
異世界にも芋はあったんだ。かなり普通に生産もされているし、簡単に手に入る。
これを利用しない手はない。
お姫様のチョコレート工場は少し時間が必要だが、ポテトなら簡単に作れる。塩もあるし。
チョコレートと合わせて甘じょっぱいのとか、毒い植物のスパイス味とか作れる。
売り方はチョコレートと同じく始めは試食させ、食いたければ買えるようにすればいい。売るところはコンビニが最有力だろう。
と、俺1人でもいくらでもアイデアは湧いてくるというのに……。この強面。脳筋共ときたら。
こんなのが集まっているだけで、雰囲気がもうアレだというのに。本格的にダメすぎる。
「来週までに終戦宣言と労働力の確保。それが諸君の仕事だ。成果が上がらなかった時は覚悟しろよ? その日から、そいつの肉の味付けは塩だけに戻る。タレは使わせない。魚の日も同様だ。醤油は禁止する。それが嫌なら、結果出せや! ……以上。俺の今日の会議は終わります。後は貴様らでやってください。ニクスくん、あとよろ」
パリパリ──
「──新たにポテトチップス開けてんのはどいつだ! 隠してやがったな!」
「まあまあ、白夜さん。皆さん目が本気になってますので、結果は出ると思いますから! あとは私に任せてください」
パリパリの元であるポテトチップスを取り上げようと、音のした方にダッシュで向かおうとす俺をイケメンが止める。
この会議は実質的に俺と二クスしかいらないんじゃないかと思ったが、イケメンはよくおっさんたちを庇う。
「わかった。任せろというなら任せよう。俺はお姫様のところに行く。二クス、ちゃんとやらせろよ?」
「ええ、善処します」
「では、また来週。同じ時間に集まるように。装備はいらないからな」
如何だっただろうか? 異世界プロデュースのための2回目の会議は。
ヤツらはちゃんとやると思うか? まあ、やらなかったりできなかった時は、ただではおかない!
最初は頼まれたから。バレンタインにチョコが欲しかったからだが、もう違う。
好評をきしたバレンタイン。あの後の世間の反応を見て、俺は決めた。ちゃんとプロデュースしようと。
──本気でやろうと!
「プロデューサーとしての役職を与えられた以上は──」
──ズン! ──バキバキ、バキバキ!
会議室から出たところでの、1人決意表明を遮るほどの音が、突如として鳴り響く。
言うなれば花火でも上がったような音と表現しよう。あまり聞かない、かなり大きな音が近くからする。
「──急に何だ!? なんの音だ!?」
変な音は、止むことなく続いている。
窓ガラスは揺れているが爆発ではないし、窓から花火も見えはしない。
何の音なのか? 何をしたらこんな音が……。
「これは何事だ」
声がしたと思ったら、会議には参加しない悪魔がどこかから現れ、足元にいた。
この悪魔。俺を異世界へとご招待してくれた、ありがたいようなありがたくないようなヤツ。
セバスは王の使いではなく、お姫様専属らしい。お姫様の補佐が主な仕事なんだ。
まさに執事ということらしいよ!
「セバス、なんなのかはわからない。会議室から出たら急に、バキバキいい出してな。はっ──、これはまさか天空城の何かしらがどうにかなってしまい、あーなったりそうなったりして最終的には落ちるとか!?」
「これは下からか?」
「……下?」
セバスが下だというので、俺も窓から外を見てみる。俺の膝くらいの大きさのセバスは、窓枠に飛びのり同じように外を見ている。
別に変わったところは……なに……あれ?
「なぁ、何回目をパチパチしても見間違いじゃないようなんだけど。あの巨大な塊はなんだ? 城門につっかえている、アレは何?」
「分からん。しかし、ただ事ではないぞ」
「だな、行ってみっか!」
俺に答えることなく、セバスは開けた窓から飛び降りる。って飛び降りる!? ここ3階なんだけど!
飛び降りたセバスはふわっと着地して、自分だけ城門へと向かっていく。
「おい、俺を置いてくなよ!」
──バキバキ ──ガッシャーン!
おいおい、ついに城門の門のところが崩壊したんだけど。こう、塊を無理矢理引っ張ったら壊れました。みたいな感じ。
「これはアレかな。脳筋たちの出番かな? さっき必要ないと言ったんだけど、必要だったのかな?」
異世界にきて……初めてではないが、そこはかとなくピンチの匂いがする事態が発生したようだ。
しかし、城門が崩壊したことにより分かったこともある。つっかえていた巨大な塊が、いろいろな荷物であることが分かった。家を持ってきたくらいの荷物量に見える。
ひょっとしてだけど、アレは全部武器とかじゃないよね。ここでドンパチ始まったりはしないよね?
もしかしてだけど、あの塊は人が動かしてるとかじゃないよね。こう、異世界的な要素により、浮いてたとかだよね?
──ズン!
「うわぁ! 今揺れた。あの荷物置いたら揺れたよ。つーか、やっぱり人が背負ってたーー!」
ここからでは相手の顔までは分からない。
あの荷物の持ち主が、女の子だとしか分からない。
これが何故かと言えば、荷物を下ろした子は髪が長いし、ミニスカートに見えるからだ。
んーーっ、かなり嫌な感じだ。だって、あの荷物は何? 引っ越してきた人なの?
それとも……終戦してないと思って、カチコミにきたのかな。ありえる。
「ル、シ、アーーーーッ! 出てきなさい! 決闘……いや、戦争よ!」
そのミニスカートの女の子は、城の中まで響く大声で叫ぶ。それも、ご指名はお姫様。
あのクソ強い姫をご指名とか。
カチコミだ。本当にカチコミだった。やべぇな、バレないうちに帰ろう……。
「やっと来たわね。ほら、あんたもいくわよ!」
これはヤバイと判断し、帰ろうと階段を下へではなく上へ行こうとしたら、ちょうど階段を下りてきたお姫様に、ガッチリと腕を掴まれた。これでは逃げられない!
「待て、俺は急用ができた。だから帰る! 戦争はキミたちだけでやってくれ!」
「嘘ついてないでいくわよ。プロデューサー……レイトくん」
「まって、本当に待って。戦争とか無理だから! 俺に戦闘力とかないから!」
あー、抵抗むなしくあの怪力女のところに連行されてしまう……。
あー、このお姫様も怪力だった……。
あー、どうしよう……。
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