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小さな箱の気持ち
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朝めが覚めると、いつもより
空気が引き締まってる感じがした。
寒さで布団から顔出してるが
耳がやけに冷たい。
昨日テレビ番組のアナウンサーが
「明日は朝未明から大雪が
予想されます。」
と伝えていた。
そらは、のっそりと布団から出て
ベージュのカーテンを開けてみた。
窓が曇り外がやけに
白くなってるのがわかる。
手で曇りを拭うと、
一面の雪景色だった。
しんしんとしていた空気は、
雪の静けさや寒さによるものだった。
さとるに声をかける。
「おはよー!雪積もったよ。」
布団がもぞもぞ動くだけで
返事はない。
「ねぇねぇ、雪だよー」
と布団を少しめくってみる。
「うううーさみぃー、雪積もったんだ。
今日が日曜日で良かった。」
子供の時は、雪が降ると
雪遊びができるから嬉しくて
はしゃいでいたが、
大人になると通勤が大変とか、
遅延がどうとか、長靴履くのが
めんどくさいとか、
考えるようになってくる。
だけど、頭のどこかで
幼少期の思考回路が残っていて
箱からわくわくが飛び出そうとするが、
それを見てみないふりするか、
蓋を閉じてしまう。
場所や相手によっては、
その箱をわざわざ真ん中に持ってきて
みんなに見えるように開けることもある。
それは、どこかわざとらしさもある。
大人になるという事は
経験が増えて、いくつもの考えを
巡らせることができ、
その時その時で、自分を演出することが
できるということなのかもしれない。
窓の外の雪景色を見ながら
日曜の朝食を食べる。
トーストとハムエッグと
ウインナーだ。
「今日は、何して過ごす?」
そらが、さとるに問う。
「車じゃでかけらんないし、
寒いからなぁ。家でまったりしたい。」
思っていた通りの答えだった。
雪遊びをしたいわけでもないし、
車ででかけたいわけでもない。
ただ、この胸のわくわくを
おさえられずに、
聞いてみただけだった。
無論何処かにでかけようと
言われればついていく。
さとるのために…と思えば、
雪遊びもできる。
理由が欲しかっただけなのかも
しれない。
子どもがいれば、
朝早くから雪だるまを作ったり
雪合戦をしたり
雪にかき氷シロップを
かけたかもしれない。
そりを持って近くの公園に
出かけたかもしれない。
それこそ、ゆっくり朝食をとる
時間はなかっただろう。
重い腰をあげて寒いなぁと
思いながら雪遊びをする。
次第に童心にかえり雪を堪能するだろう。
そんな事に熱い珈琲を飲みながら
思いを馳せていた。
「あとで、少し外に出て、
小さな雪だるまでもつくる?」
さとるが、提案した。
そらのこころを読み取ったのだろうか?
好きな人の表情は、読み取りやすい。
そらは、満面の笑みで
「うんっ」と応じた。
珈琲の最後の一口を飲みながら、
小さな箱の中の願いが
満たされていくのを感じた。
同時にさとるのこういうところが
好きなんだと自覚した。
空気が引き締まってる感じがした。
寒さで布団から顔出してるが
耳がやけに冷たい。
昨日テレビ番組のアナウンサーが
「明日は朝未明から大雪が
予想されます。」
と伝えていた。
そらは、のっそりと布団から出て
ベージュのカーテンを開けてみた。
窓が曇り外がやけに
白くなってるのがわかる。
手で曇りを拭うと、
一面の雪景色だった。
しんしんとしていた空気は、
雪の静けさや寒さによるものだった。
さとるに声をかける。
「おはよー!雪積もったよ。」
布団がもぞもぞ動くだけで
返事はない。
「ねぇねぇ、雪だよー」
と布団を少しめくってみる。
「うううーさみぃー、雪積もったんだ。
今日が日曜日で良かった。」
子供の時は、雪が降ると
雪遊びができるから嬉しくて
はしゃいでいたが、
大人になると通勤が大変とか、
遅延がどうとか、長靴履くのが
めんどくさいとか、
考えるようになってくる。
だけど、頭のどこかで
幼少期の思考回路が残っていて
箱からわくわくが飛び出そうとするが、
それを見てみないふりするか、
蓋を閉じてしまう。
場所や相手によっては、
その箱をわざわざ真ん中に持ってきて
みんなに見えるように開けることもある。
それは、どこかわざとらしさもある。
大人になるという事は
経験が増えて、いくつもの考えを
巡らせることができ、
その時その時で、自分を演出することが
できるということなのかもしれない。
窓の外の雪景色を見ながら
日曜の朝食を食べる。
トーストとハムエッグと
ウインナーだ。
「今日は、何して過ごす?」
そらが、さとるに問う。
「車じゃでかけらんないし、
寒いからなぁ。家でまったりしたい。」
思っていた通りの答えだった。
雪遊びをしたいわけでもないし、
車ででかけたいわけでもない。
ただ、この胸のわくわくを
おさえられずに、
聞いてみただけだった。
無論何処かにでかけようと
言われればついていく。
さとるのために…と思えば、
雪遊びもできる。
理由が欲しかっただけなのかも
しれない。
子どもがいれば、
朝早くから雪だるまを作ったり
雪合戦をしたり
雪にかき氷シロップを
かけたかもしれない。
そりを持って近くの公園に
出かけたかもしれない。
それこそ、ゆっくり朝食をとる
時間はなかっただろう。
重い腰をあげて寒いなぁと
思いながら雪遊びをする。
次第に童心にかえり雪を堪能するだろう。
そんな事に熱い珈琲を飲みながら
思いを馳せていた。
「あとで、少し外に出て、
小さな雪だるまでもつくる?」
さとるが、提案した。
そらのこころを読み取ったのだろうか?
好きな人の表情は、読み取りやすい。
そらは、満面の笑みで
「うんっ」と応じた。
珈琲の最後の一口を飲みながら、
小さな箱の中の願いが
満たされていくのを感じた。
同時にさとるのこういうところが
好きなんだと自覚した。
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