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遠征実習
鉄衛の紫幻のツアーガイド-4- ノルドグレンツェ門
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車窓はいつの間にか切り替わりノルトラント地方の雄大な景色が映っていた。西の空には太陽が沈みかけている。
シャーロット少尉が厳かな表情で口を開く。
「このノルトラント地方は、帝国の北端に位置する荒涼とした大地です。北部国境地帯と接しており、その特徴は極寒の気候と雪に覆われた風景にあります。また、ノルトヴェストラント本線がヴェストラント地方と同様にこの地域を縦断しており、帝国北辺だけでなく、帝国と北方諸国とを結びつける要所として、戦略的な重要性を持っています」
俺たちは彼女の言葉に集中し、ノルトラント地方の寒々しい地理を垣間見ようとする。外は厳しい寒さに包まれていることを思い浮かべながら、彼女の説明が進む。
「北部国境地帯は荒涼とした大地が広がり、小さな村や前哨基地が厳しい環境に立ち向かっています。帝国の国境を守るため、軍の駐留地も点在しています。雪に閉ざされた北の大地には、冷徹で厳しい戦いが繰り広げられています」
俺たちはノルトラント地方が抱える厳しい状況を改めて感じとっていたが、彼女がノルトラント地方が抱えるもう一つの特徴であるノルドグレンツェ門について説明し始めた。
「そして、この地方の北端に位置するノルドグレンツェ門は、アルディア共和国とローゼリア自治国、そして帝国が交わる国境地帯でもあります。ここから先は北方諸国との緊張関係が続いています」
俺たちは彼女の説明に耳を傾け、北方へと延びる帝国の要塞を思い浮かべる。
「ノルドグレンツェ門はノルトヴェストラント本線の終点であり、ここからアルディア共和国とローゼリア自治国へ向かう線路が分かれています。帝国、アルディア、ローゼリア。三国が国境で交わる場所なのです」
彼女の言葉に、ノルドグレンツェ門の重要性が如実に感じられる。実際彼女の表情からもここからが本題なのだという伝わってくる。
「この門には、国境地帯をカバーする長射程要塞砲が設置されています。あとで説明するデルタ線が全て射程に収まり、アルディア共和国軍の行動を制約する戦略的な意味もあり、外交交渉のカードでもあります」
俺たちは静かに頷き、ノルドグレンツェ門が帝国と北方諸国との重要な境界線であることを理解したことを彼女に示す。彼女の指先が、地図上の門の位置を示している。
「長距離砲は要塞内各所に設置されています。敵が迫ると、中央発令所から指示が下され、各砲台が敵を迎え撃つわけです」
俺たちは、地図上で門の周りに点在する砲のアイコンを見つけ、ノルドグレンツェ門内に点在する長距離砲に焦点を当てた。彼女は情報を順に解説していく。
「これら長距離砲は門の周りに戦略的に配置され、デルタ線の破壊による交通阻害、またアルディア共和国の要塞群への直接攻撃など、帝国の緊急時対応の要として、常に待機しているのです。これらの砲は、臨機応変に攻撃できるようになっているのですが、安易な攻撃は戒められているのです。これは外交上の刺激になりすぎないようにというものです」
彼女の説明に、緊迫感が漂い始める。いよいよ国境最前線という実感が伴ってきた感じがする。次に彼女が取り上げたのはデルタ線だった。俺たちは地図上の鉄橋や線路の配置を見ていく。
「デルタ線は、ノルトグレンツェ門の外側に張り巡らされている鉄道路線です。文字通り、三角形状の線路配置ですねそれぞれの頂点が帝国、アルディア共和国、ローゼリア自治国というわけです。これら三国を繋ぐ大動脈であり、戦略的に極めて重要なもので、もしこの線路が何者かに破壊されたら即戦争となっても不思議がありません」
俺たちは彼女の指摘に注目しつつ、デルタ線の地図上の経路を辿った。それは三国を結ぶ交通路の複雑さと帝国と他国の緊密な関係を浮かび上がらせていた。
「デルタ線には帝国とアルディア共和国を結ぶ鉄橋があり、同様にアルディア共和国とローゼリア自治国を結ぶ別の鉄橋も存在します。ただし、帝国とローゼリア自治国は地続きの区間です。デルタ線の重要性は計り知れない。これにより各国は迅速かつ効率的な軍事動員や物資の輸送が可能になり、帝国北東部からローゼリア自治国を通過させることで、帝国は北方国境を維持するための糧食や補給物資を容易に得ることも可能なのです。無論、その逆も可能ですね」
彼女の説明は、デルタ線の重要性を強調するものだった。俺たちはこれから通るであろうデルタ線の重みを感じながら、耳を傾けていた。
シャーロット少尉が厳かな表情で口を開く。
「このノルトラント地方は、帝国の北端に位置する荒涼とした大地です。北部国境地帯と接しており、その特徴は極寒の気候と雪に覆われた風景にあります。また、ノルトヴェストラント本線がヴェストラント地方と同様にこの地域を縦断しており、帝国北辺だけでなく、帝国と北方諸国とを結びつける要所として、戦略的な重要性を持っています」
俺たちは彼女の言葉に集中し、ノルトラント地方の寒々しい地理を垣間見ようとする。外は厳しい寒さに包まれていることを思い浮かべながら、彼女の説明が進む。
「北部国境地帯は荒涼とした大地が広がり、小さな村や前哨基地が厳しい環境に立ち向かっています。帝国の国境を守るため、軍の駐留地も点在しています。雪に閉ざされた北の大地には、冷徹で厳しい戦いが繰り広げられています」
俺たちはノルトラント地方が抱える厳しい状況を改めて感じとっていたが、彼女がノルトラント地方が抱えるもう一つの特徴であるノルドグレンツェ門について説明し始めた。
「そして、この地方の北端に位置するノルドグレンツェ門は、アルディア共和国とローゼリア自治国、そして帝国が交わる国境地帯でもあります。ここから先は北方諸国との緊張関係が続いています」
俺たちは彼女の説明に耳を傾け、北方へと延びる帝国の要塞を思い浮かべる。
「ノルドグレンツェ門はノルトヴェストラント本線の終点であり、ここからアルディア共和国とローゼリア自治国へ向かう線路が分かれています。帝国、アルディア、ローゼリア。三国が国境で交わる場所なのです」
彼女の言葉に、ノルドグレンツェ門の重要性が如実に感じられる。実際彼女の表情からもここからが本題なのだという伝わってくる。
「この門には、国境地帯をカバーする長射程要塞砲が設置されています。あとで説明するデルタ線が全て射程に収まり、アルディア共和国軍の行動を制約する戦略的な意味もあり、外交交渉のカードでもあります」
俺たちは静かに頷き、ノルドグレンツェ門が帝国と北方諸国との重要な境界線であることを理解したことを彼女に示す。彼女の指先が、地図上の門の位置を示している。
「長距離砲は要塞内各所に設置されています。敵が迫ると、中央発令所から指示が下され、各砲台が敵を迎え撃つわけです」
俺たちは、地図上で門の周りに点在する砲のアイコンを見つけ、ノルドグレンツェ門内に点在する長距離砲に焦点を当てた。彼女は情報を順に解説していく。
「これら長距離砲は門の周りに戦略的に配置され、デルタ線の破壊による交通阻害、またアルディア共和国の要塞群への直接攻撃など、帝国の緊急時対応の要として、常に待機しているのです。これらの砲は、臨機応変に攻撃できるようになっているのですが、安易な攻撃は戒められているのです。これは外交上の刺激になりすぎないようにというものです」
彼女の説明に、緊迫感が漂い始める。いよいよ国境最前線という実感が伴ってきた感じがする。次に彼女が取り上げたのはデルタ線だった。俺たちは地図上の鉄橋や線路の配置を見ていく。
「デルタ線は、ノルトグレンツェ門の外側に張り巡らされている鉄道路線です。文字通り、三角形状の線路配置ですねそれぞれの頂点が帝国、アルディア共和国、ローゼリア自治国というわけです。これら三国を繋ぐ大動脈であり、戦略的に極めて重要なもので、もしこの線路が何者かに破壊されたら即戦争となっても不思議がありません」
俺たちは彼女の指摘に注目しつつ、デルタ線の地図上の経路を辿った。それは三国を結ぶ交通路の複雑さと帝国と他国の緊密な関係を浮かび上がらせていた。
「デルタ線には帝国とアルディア共和国を結ぶ鉄橋があり、同様にアルディア共和国とローゼリア自治国を結ぶ別の鉄橋も存在します。ただし、帝国とローゼリア自治国は地続きの区間です。デルタ線の重要性は計り知れない。これにより各国は迅速かつ効率的な軍事動員や物資の輸送が可能になり、帝国北東部からローゼリア自治国を通過させることで、帝国は北方国境を維持するための糧食や補給物資を容易に得ることも可能なのです。無論、その逆も可能ですね」
彼女の説明は、デルタ線の重要性を強調するものだった。俺たちはこれから通るであろうデルタ線の重みを感じながら、耳を傾けていた。
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