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もふもふの都開国編
310話 取引成立
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「最後に一つ、リボルのギルドにいた理由を教えてくれないかな」
「……一番は、お金」
「お金?」
「……あのギルド、お金払いだけはよかったから」
単純明快な回答だった。
「じゃあ、僕が君を雇うよ」
「……は?」
「参考までに、適正価格を教えて欲しい」
「……依頼を一つクリアすれば、1000万エドルもらえた」
「1000万エドル、か」
僕はアイテムボックスからお金を取り出す。
現在の僕の所持エドルは約2億、今日までに散財した感は否めないが――まだまだ全然余裕はある。
尻込みはせず、一気に――金額を跳ね上げる。
「1億エドル、即金で支払う」
「……本気で言ってるの?」
「お金で動いているのなら――話は早い。イエスかノー、ノーならどうなるかは想像にお任せする」
「……」
ポンズが熟考するよう――黙り込む。
「殺されてもいいっていうのは本音かもしれない。だけど、お金を主軸に置くということはなにかやり残しがあるんじゃないかな。普通に生きていくだけなら、この世界は力だけでもどうにかなる」
「……なんか、見透かされているようでムカつく」
図星だったのか、ポンズが僕を睨む。
「答えは?」
「……いいよ。クーラさん、だったよね。今からあなたがうちの雇い主、これだけの大金が貰えるなら、なんでも言うことを聞く」
「期間は一ヶ月間、君の時間をいただく。それでどうだろう?」
「……問題ない」
取引は成立、僕はポンズの拘束を解除する。
ポンズはフードを被り直し、乱れた装束を整える。凍てつくような青い瞳、真っ直ぐに僕を見つめる。
「……逃げるとか、思わないの?」
「逃げてもいいよ。君のプライドが――その行為を許すならね」
「……ウザ」
「ウザいついでに、そのフード――今日から外してもらう。これは雇い主からの最初の命令だ」
「……なんで?」
「フードを外された時のいやがった様子から察するに、顔を隠して生きてきたんじゃないかな」
「……だから、なに?」
「君は今日、僕たちに殺された体にしてもらう。周囲に顔バレしていないなら、目立たせることで逆に隠したいんだ」
相手側からすれば、歴然とした裏切りである。
ポンズを消しに来られても困るので――ここは穏便に過ごす流れにしたい。ポンズには悪いが、取引が成立した限りは僕の指示に従ってもらう。
木を隠すには森の中、幸い僕の仲間は女性のみだ。
「ポンズ、可愛らしい装備に変更しようか」
「……最悪」
ポンズは嫌悪感バリバリに、静かにそう呟くのであった。
「……一番は、お金」
「お金?」
「……あのギルド、お金払いだけはよかったから」
単純明快な回答だった。
「じゃあ、僕が君を雇うよ」
「……は?」
「参考までに、適正価格を教えて欲しい」
「……依頼を一つクリアすれば、1000万エドルもらえた」
「1000万エドル、か」
僕はアイテムボックスからお金を取り出す。
現在の僕の所持エドルは約2億、今日までに散財した感は否めないが――まだまだ全然余裕はある。
尻込みはせず、一気に――金額を跳ね上げる。
「1億エドル、即金で支払う」
「……本気で言ってるの?」
「お金で動いているのなら――話は早い。イエスかノー、ノーならどうなるかは想像にお任せする」
「……」
ポンズが熟考するよう――黙り込む。
「殺されてもいいっていうのは本音かもしれない。だけど、お金を主軸に置くということはなにかやり残しがあるんじゃないかな。普通に生きていくだけなら、この世界は力だけでもどうにかなる」
「……なんか、見透かされているようでムカつく」
図星だったのか、ポンズが僕を睨む。
「答えは?」
「……いいよ。クーラさん、だったよね。今からあなたがうちの雇い主、これだけの大金が貰えるなら、なんでも言うことを聞く」
「期間は一ヶ月間、君の時間をいただく。それでどうだろう?」
「……問題ない」
取引は成立、僕はポンズの拘束を解除する。
ポンズはフードを被り直し、乱れた装束を整える。凍てつくような青い瞳、真っ直ぐに僕を見つめる。
「……逃げるとか、思わないの?」
「逃げてもいいよ。君のプライドが――その行為を許すならね」
「……ウザ」
「ウザいついでに、そのフード――今日から外してもらう。これは雇い主からの最初の命令だ」
「……なんで?」
「フードを外された時のいやがった様子から察するに、顔を隠して生きてきたんじゃないかな」
「……だから、なに?」
「君は今日、僕たちに殺された体にしてもらう。周囲に顔バレしていないなら、目立たせることで逆に隠したいんだ」
相手側からすれば、歴然とした裏切りである。
ポンズを消しに来られても困るので――ここは穏便に過ごす流れにしたい。ポンズには悪いが、取引が成立した限りは僕の指示に従ってもらう。
木を隠すには森の中、幸い僕の仲間は女性のみだ。
「ポンズ、可愛らしい装備に変更しようか」
「……最悪」
ポンズは嫌悪感バリバリに、静かにそう呟くのであった。
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