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もふもふの都開国編
300話 工房の主
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「ここが、ソラの言う目的の場所なの?」
「うん。転生しているのなら――必ずここにいるはずだ」
ストーンヴァイス、冒険者ホームの集う区画内に足を運ぶ。
ウィンウィンと同じく、冒険所が管理しており――基本的に構造は一緒、上段に行けば行くほどホームも広大に、一等地として定められていた。
ナコが違和感を感じてか、耳を機敏に揺らしながら、
「クーラ、なんだか周囲が煙た――く、臭っ! 臭いですっ!!」
「ぐっうぇえっ! な、なにこの強烈な刺激臭――ちょっと待って、これ人体に影響とかないわよねっ?!」
続けて、ゴザルも涙目で鼻を抑える。
特にナコは種族の特性上、僕たち以上に耳や鼻が利く。もうすでに限界なのだろう、目を回しながらふらついている。
早いところ、この激臭が届かない場所に避難せねばならない。
「……だけど、当たりだったみたいだ」
僕は確信する。
上段の一等地、ホームというよりは――大きな工房が一つ、贅沢に一人で独占しているものがいるのだ。
煙が漂っているということは、間違いなく工房は稼働している。
出入り口には立て看板、殴り書きで『誰・も・入・る・なっ!』と記されてある。文字の隙間の区切りに本気感があるが、僕はお構いなしに扉を数回ノック――工房内にお邪魔する。
入るや否や、ペンチのようなものが飛来し、
「おららぁーいっ! 前の立て看板が見えなかったのカっ?!」
「見えていたよ。見えていて――入って来たんだ。そうでもしないと、君は依頼を受けてくれないだろう。あと工房外の煙、現実にするとこんなに臭かったんだね。あまりの激臭に気を失いかけたよ」
「はぁあんっ? ごちゃごちゃと、今忙しいから早く出て行くのヨっ!」
「工房内も相変わらず汚すぎる。もう完全にゴミ屋敷といっても過言じゃない。たまには掃除したらどう?」
僕の言葉に、ナコとゴザルが唖然としている。
さすがに、言い過ぎなのでは――といった表情である。
しかし、この工房の主には常識的に接しても意味はない。
「その歯に衣着せぬ物言い――まさか、ソラたんなのカっ?」
工房の主が作業の手を止め、こちらに歩み寄る。
ゴーグルを外し、露わになった姿は――パープルカラーのお団子頭、白く透明感のある肌付き、まるで生気を感じない顔付きをしている。
彼女は――屍族、ゾンビに近い生態系の種族だった。
「久しぶり、マイマイ」
「嘘ぉっ! ヤバいって、フォルム変わりすぎヨっ!」
「かくかくしかじか――こうなった」
「ぶっはははっ! 面白すぎる、この世界に来てから今日一で面白いネっ! パンティーの種類とかこだわってるのカっ? ぶはははは、ぶひゃはははは、マイマイの下着くれてやろーカっ?!」
「笑いすぎだって」
なにはともあれ――目的の人物と遭逢したのであった。
~あとがき~
第300庫となりました。
奇数の百単位ってきりが良くて見ているだけで気持ちいい数字ですよね。
最新話までお読みいただいた方、感謝感激でございます! 感想、♡、皆様、いつも本当にありがとうございます( ;∀;)!
あとがき失礼しました、これからもよろしくお願いいたします!
「うん。転生しているのなら――必ずここにいるはずだ」
ストーンヴァイス、冒険者ホームの集う区画内に足を運ぶ。
ウィンウィンと同じく、冒険所が管理しており――基本的に構造は一緒、上段に行けば行くほどホームも広大に、一等地として定められていた。
ナコが違和感を感じてか、耳を機敏に揺らしながら、
「クーラ、なんだか周囲が煙た――く、臭っ! 臭いですっ!!」
「ぐっうぇえっ! な、なにこの強烈な刺激臭――ちょっと待って、これ人体に影響とかないわよねっ?!」
続けて、ゴザルも涙目で鼻を抑える。
特にナコは種族の特性上、僕たち以上に耳や鼻が利く。もうすでに限界なのだろう、目を回しながらふらついている。
早いところ、この激臭が届かない場所に避難せねばならない。
「……だけど、当たりだったみたいだ」
僕は確信する。
上段の一等地、ホームというよりは――大きな工房が一つ、贅沢に一人で独占しているものがいるのだ。
煙が漂っているということは、間違いなく工房は稼働している。
出入り口には立て看板、殴り書きで『誰・も・入・る・なっ!』と記されてある。文字の隙間の区切りに本気感があるが、僕はお構いなしに扉を数回ノック――工房内にお邪魔する。
入るや否や、ペンチのようなものが飛来し、
「おららぁーいっ! 前の立て看板が見えなかったのカっ?!」
「見えていたよ。見えていて――入って来たんだ。そうでもしないと、君は依頼を受けてくれないだろう。あと工房外の煙、現実にするとこんなに臭かったんだね。あまりの激臭に気を失いかけたよ」
「はぁあんっ? ごちゃごちゃと、今忙しいから早く出て行くのヨっ!」
「工房内も相変わらず汚すぎる。もう完全にゴミ屋敷といっても過言じゃない。たまには掃除したらどう?」
僕の言葉に、ナコとゴザルが唖然としている。
さすがに、言い過ぎなのでは――といった表情である。
しかし、この工房の主には常識的に接しても意味はない。
「その歯に衣着せぬ物言い――まさか、ソラたんなのカっ?」
工房の主が作業の手を止め、こちらに歩み寄る。
ゴーグルを外し、露わになった姿は――パープルカラーのお団子頭、白く透明感のある肌付き、まるで生気を感じない顔付きをしている。
彼女は――屍族、ゾンビに近い生態系の種族だった。
「久しぶり、マイマイ」
「嘘ぉっ! ヤバいって、フォルム変わりすぎヨっ!」
「かくかくしかじか――こうなった」
「ぶっはははっ! 面白すぎる、この世界に来てから今日一で面白いネっ! パンティーの種類とかこだわってるのカっ? ぶはははは、ぶひゃはははは、マイマイの下着くれてやろーカっ?!」
「笑いすぎだって」
なにはともあれ――目的の人物と遭逢したのであった。
~あとがき~
第300庫となりました。
奇数の百単位ってきりが良くて見ているだけで気持ちいい数字ですよね。
最新話までお読みいただいた方、感謝感激でございます! 感想、♡、皆様、いつも本当にありがとうございます( ;∀;)!
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