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もふもふの都開国編

283話 ライカは強い子

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 ライカの一言が堪えたのか、アラシが引き攣った顔で、

「ワイはまだ二十代やぞっ! 転生後は年齢に応じた見た目になるって――ピンク狐も知っとるやろがっ?!」
「きゃはは。もとの世界の特徴も引き継いじゃったぁ? 老け顔だったんだねぇ」
「……子供は怖いわ。人が気にしとることをズバズバ言いよる」
「加齢臭」
「かっ?」
「ライカのお祖父ちゃんと同じ匂いがするなぁ」
「……敢えて聞いたるわ。祖父さんは何歳や?」
「73歳」
「ぶっ殺したるっ!」

 アラシが斬り掛かる。
 その速度は――怒りも便乗しているせいか、まさに目にも留まらぬ速さといっても過言ではなかった。
 認めたくはないがこの男、速さだけならゴザルを超えている。
 同じジョブ、同じ武者として――これほどまで戦い方に差があるのか。相手を翻弄する無差別な攻撃はまさに嵐、名を体現しているかのようだった。
 アラシは弓を放つかのごとく刀を胸元に手繰り寄せ、

「風刀――突花」

 一気に距離を詰める突きを繰り出す。
 ゴザルが以前、6属性の中でも得手不得手が存在すると、得意属性は感覚的にしっくりくると話していたが――アラシは風属性を攻撃の要にしていることは確実だった。
 自身の強みを――理解している。
 今の一撃により、ライカの上半身が斬り裂かれる。
 飛び散る鮮血、その光景を見て――アラシが愉快気な笑みを浮かべる。

「どうや、手応えあったで――今のは分身体ちゃうやろ」
「……っ」
「あっはっはっ! どうやぁ、子供にこの激痛は耐えられへんやろっ! 泣き叫ぶなら遠慮せず泣き叫べやぁっ! ママに泣きついて慰めてもらえやぁっ!」
「これくらい――痛くもなんともない」
「痩せ我慢かぁ?」
「それに、ライカにママはいない」
「あらら。それは失礼、複雑な家庭環境やったかぁ」
「物心付く前に死んだ」

 ライカは冷静に言い放つ。
 その時、アラシに斬り裂かれた痕跡――ライカの首元が露わになる。

「……ピンク狐、なんやそのおぞましい首の傷跡」
「ライカは――もっと酷い痛みを知っている」

 幼き少女は――強い瞳でそう口にするのであった。
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