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もふもふの都開国編

282話 光の魔力

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 僕は隊員たちの傷を触診にて治療していく。
 残念ながら、すでに事切れている隊員が半数以上だった。かろうじて息があるものも僕の触診で助かる見込みは――本人の気力次第の部分が大きかった。
 傷を治すことはできても、流れた血を戻すことはできない。
 加えて、僕は回復役としては本職ではないのだ。触診は優れたスキルではあるが、あくまでサポート的なレベルである。
 どうしても、回復には――時間が掛かる。
 傷の深いものから順番に治してはいるが、この間にも亡くなっていくものがでてくる可能性は高い。
 その時、ナコが隊員の傷口に――手を置いた。

「クーラ、私もお手伝いします」
「猫の手も借りたい、なんて言いたいところだけれど――ナコは回復スキルを持っていないよね」
「私の魔力を当てることにより回復ができます」
「……魔力を、当てる?」
「今、私の身体には闇と光の属性が存在しています」

 無論、僕はそれを実行した本人――誰よりも理解はしている。
 ナコは見せるが早いかと、手から金色の光を――放つ。今日まで見てきたナコの魔力とは完全に正反対の力だった。
 隊員の傷口が――見る見る内に塞がっていく。
 ナコ曰く、少しずつ光属性が発現してきたという。今となっては、自身で闇と光の切り替えが可能だそうだ。
 考えられる答えは――一つしかない。

「魔力の核を創り変えたことで、両属性が使えるようになったのか」
「私もそうだと思っています」

 ナコは優しく微笑みながら、

「クーラが与えてくれた――新しい力です」
「身体に異常はない?」
「健康そのもの、以前より絶好調なくらいです」
「今はその奇跡に感謝する他ない。手分けして――隊員たちの治療に専念しよう」
「はいっ!」

 ライカが奮闘している間に現状を改善する。
 これが今、僕たちにできる――最善策に違いない。ライカに檄を飛ばされていなかったらどうなっていただろうか。
 ライカは距離を離すよう、場所を考えて戦っている。
 言葉で伝えてこずとも、それがどういう意図かは――理解できた。プレイヤー以外の人間は殺すと言っていたものが、今は全身全霊でサンサンの人々を守ろうとしている。
 ライカが切り込み、アラシが斬り込む。
 忍者は空を駆けるように、武者は大地を背に大立ち回り――ライカとアラシ、実力は均衡していた。

「さっさと、死ねやっ! この目障りな狐風情がっ!!」
「黙れ、おっさんっ!」
「おっさんやとぉっ?!」
「サンサンはライカが守るんだぁあああっ!」

 ライカが――咆哮する。
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