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火の都サラマン激突編

229話 最新情報

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 ウィンディア・ウィンドの襲撃から一週間が過ぎた。
 街は少しずつではあるが落ち着きを取り戻し、復興に向けて皆が一丸となって動き回っている。
 僕たちのホームを建ててくれた、キローヒさん率いる生産ギルドのもと、驚くほどのスピードで修復が進んでいた。

 この期間中、僕はあるプレイヤーから重大な情報を得る。
 その情報によると、アクアニアス、ストーンヴァイスは――謎のプレイヤーに守られており、均衡状態にあるという話だった。
 僕たちと同様、フレイムドルフに抗っているものがいる。
 オンリー・テイルという広い世界――手の届かない範囲はたくさんある。それは、素直に心強いことだった。

「アクアニアスは剣聖と呼ばれるもの、ストーンヴァイスは銀髪眼帯の男と犬耳のミミモケ族が奮闘しているって話だ」
「……剣聖、銀髪眼帯」

 聞き覚えも、見覚えもあるぅっ!
 いや、プレイヤーならば似たような装備、自称している称号も多い。
 一概に断定するわけにはいかないだろう。
 今、僕たちは次の戦いに向けて――準備を整えていた。

「ソラ。お前なら、リーダーの考えに気付いていると思ったぜ」
「ニャニャンの反応から――そんな気はしていたよ。だけど、実際に被害のあった地を見ると心が居た堪れない」

 ウィンウィンの裏道、人気のない酒場に僕たちはいた。
 互いにお酒のロックを注文、立ち呑み形式のカウンター、偶然居合わせたお客同士のように――僕たちは静かに話し続ける。
 僕の真横には、黒い外套を覆い――巨大な鎌を背負う男がいた。

 大鎌を扱うジョブ――漆黒者である。
 暗殺者のような風貌、対象の魔力やステータスを吸収する魔法を得意としたバリバリの攻撃職だ。
 一撃重視の超火力を持つことから――別名『死神』とも呼ばれていた。
 カランと、漆黒者は氷を泳がせながら、

「俺だってわかっている。でもな、あいつらだって――苦渋の決断だった。あのギルドはやばいなんてレベルを超えている。放置しておくと、今回の比じゃないくらいの被害がでるぜ。それこそ、世界は呆気なく滅びの道に進むだろうな」
「この戦乱状態の中、君はどう動くんだ?」
「俺はまだまだ情報集めに奔走するつもりだ。狂いに狂った凶悪な思想――リボル率いる"Freedom"のメンバーはいたるところにいるからな。ここで俺と会ったことは大切な仲間であっても秘密にしといてほしい。どこから俺の存在が漏れるかわからない」

 漆黒者はお酒を一気に飲み干し勘定を済ませる。

「中身はともあれ、美女と飲んだ気分がして楽しかったぜ。お前にはまた大変なことを任せてしまうが――許してくれ」
「お互い様だよ」
「またな。この一件が片付いたら、絶対に皆で――念願のオフ会をやろう」

 僕は漆黒者の背中を見送る。
 少し時間を置いてから、僕もお酒を飲み干し――酒場を後にした。
 この後、ウィンウィンのとある場所でナコと合流する約束をしている。


 僕は海岸沿いの街中、レイナさんの話していた場所に――到着した。
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