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火の都サラマン激突編

225話 創造

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 触診に視界を移し、ナコの体内を見渡していく。
 ナコを蝕む光の魔石は――魔力感知にてすぐに発見することができた。
 明らかに、本人とは異なる魔力の反応が感知されたからだ。
 一つずつ、一つずつ――慎重に暴食で喰らっていく。
 最重要箇所は魔力の核、白雪は損傷していると話していた。

 そこをどうにかしない限り、根本的な解決にはならない。
 無論、どこに魔力の核があるのかなんてわからない。
 だが、まるでナコが導いてくれるているかのように――迷うことなく、僕はナコの中枢部分にたどり着いていた。
 黒真珠のように、漆黒に煌めく輝石が見える。
 
 これが、ナコの魔力の核に違いない。
 黒い闇の中に大きな金色の塊――光の魔石が完全に突き刺さっていた。
 命の輝きの中に、不純物が混じっている。
 無理に取り除こうとすれば、そこを中心にひび割れ――魔力の核は完全に壊れてしまうということが無意識に理解できた。
 その意味する答えは――死以外にない。

「……どうすれば、いいんだ」
「どんな状況だ? 妾に一部始終伝えてみろ」

 僕の呟きに、白雪が反応する。

「魔力の核に、光の魔石が入り込んでいる」
「……驚いた、すでに魔力の核にたどり着いていたのか。魔力の核は自身の命、魂みたいなものだ。普通ならば、見つけることすら不可能に近いのだぞ」
「ナコが、導いてくれたんだ」

 僕は言う。

「生きたいと願っている。僕とまた冒険したいと思っている。最後まで足掻く僕に、呆れながらも――信じてくれているのかもしれない」

 考えろ、考えるんだ。
 無理に取り除けば、魔力の核は確実に壊れる。いつまでも悩んでいる時間はない、この瞬間にもナコの命の火は――いつ消え去ってもおかしくはないのだ。
 取り除くことができないのなら――方法は一つしかない。

「……結合させる」
「貴様、正気か――反発し合う属性同士だぞっ?!」

 僕の一言に、白雪が叫び返す。

「闇と光、水と火を合わせると言っているようなものだぞっ!? どちらも残らない、蒸気と化すだけだっ!!」
「理解しているよ」

 どうしても、合わさることのできないものはこの世に存在する。
 だが、それは2つを1つの器に入れた時のこと――僕が言っているのは、そういった次元の話じゃない。

「今ここで――僕は魔力の核を創り変える」

 闇と光、月と太陽のように――共存できる世界を創造する。
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