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火の都サラマン激突編

203話 ドラゴンの長

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 場所は変わって紅桜組の屋敷。

「そのお菓子、ライカのだってっ!」
「はぁあっ? 貴様、何個食うつもりだっ?! 少しは遠慮しろっ! 妾は客としてここに来ているのだぞっ!!」
「あ、ライカたちもここでは客人扱いだから」
「なに同じ立ち位置ですみたいな面をしているっ?! どう考えても状況が違うだろうがっ!?」

 その客間、ライカと白雪がお菓子を取り合っていた。
 僕は局長と風花さんに、連なりの巨塔で起きたことを全て話す。過去に激しい争いがあったという事実を――二人は噛み砕くように、静かに聞いていた。
 局長は緊張しているのか、頭部の毛を逆立たせながら、

「クーラ殿、それで――ドラゴンの長を連れて来たのか?」
「はい。過去にこういった経緯のもと、ドラゴンと共存していた歴史を皆に知ってもらうべきだと思いました」
「……そんな過去があったとは、ワシたちは全く知らなんだ。食料を納める代わりに手出しをしない、その一点のみだと思っておった」
「嘆かわしいな。大陸の民は萌太郎の功績すら忘れたのか」

 白雪は悪態をつきながら、

「……だが、それが短命な種族の運命ともいえるか。ドラゴンとは違い、ずっと覚えていることはできない。人間は受け継いでいかねばならないからな」
「白雪殿、今さら虫がいい話かもしれぬ。また、ここから新たな共存の道を築くことはできるだろうか?」

 局長の問いかけに、白雪が僕の方をじっと見つめ、

「……運がよかったな。共存の道については長である妾が認めてやる。今後、どのようにモーエン大陸を守っていくか協議していくぞ」
「えっ? そんなあっさりといいのっ?!」
「なんだ? 気持ちよくまとまろうとしたところに水を差すな。クーラ、妾が千歩ほど譲歩してやってるのに不満でもあるのか?」
「いや、それはサンサンの未来のために願ったり叶ったりだけど――長だからって一存で決めて大丈夫なの? 否定派が怒ったりしないかな?」
「ふん。今、貴様が言った通り――妾は連なりの巨塔の長だぞ? 楯突くものは強制的に頷かせれば問題ない」

 白雪は堂々と言う。

「それに、先ほどの貴様と妾の戦いは――皆が見ていた。あの戦いを見て文句を言うやつなどいないだろう」

 つまり、と白雪は続けて、

「妾は貴様が気に入った。ただそれだけのことだ」
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