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火の都サラマン激突編

196話 運命は絡み合う

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 ドラゴンと対話する。
 それがどれだけ危険なことかは――重々理解している。しかし、僕たちに残された道は空路以外にありえない。
 僕の発案に静まり返る場、局長がゆっくりと口を開く。

「オススメはできぬが、やってみる価値はあるやもしれぬ」
「僕はフレイムドルフを野放しにするわけにはいきません。やつだけは――この世界のために倒したいんです。三国を侵略した後、フレイムドルフの手がサンサンにまで来ることは容易に想像できます」

 それはここだけに限った話じゃない。
 おそらく、未開の大陸はサンサン以外にも必ず存在する。
 燃え盛る野心は、一つの大陸だけではなく世界全てを包み込むだろう。
 抑えきれなくなる前に、三国の中で決着をつけておきたい。

「ここは小さな島国、主の言う三国が負けたとなれば――サンサンが落ちるのも必至じゃろう」
「すいません。僕が事前にとめることができていたら」
「なにを謝る必要がある? クーラ殿に非などない。ワシたちにできることは、主たちを無事にもとの大陸に戻す――その手助けはさせてほしい」

 局長の言葉に――風花さん含む隊員も大きく頷く。

「しかし、世界を巻き込む炎を鎮火しに行くか。主はまるで本にでてくる英雄のような存在じゃな」
「僕に英雄のような力はありませんよ。どちらかというと、僕の周りの心強い仲間の方がその存在に近しいと思います」

 英雄か語り部か。
 以前、ニャニャンにも似たようなことを言われたが――僕は後者に過ぎない。自分のことで手一杯、周囲に恵まれているだけだ。

「謙遜するな。主の言う心強い仲間もきっと、クーラ殿の信念に導かれた熱きものたちに違いない。人に好かれて人が集まるということ、それは類稀な才能――英雄が備える力の一つでもある」

 局長は言う。

「その力強い瞳にワシも魅入られた一人じゃ」
「ライカもねぇ、クーにぃ大好きだよっ!」
「がっはっはっ! ライカはクーラ殿に引っ付き虫だからのう」
「クーにぃのそばにいると落ち着くんだぁ」

 ライカが僕の背中に飛び付き、

「ライカ、なんでもするよ。クーにぃの作戦、ライカにできることがあったらなんでも言ってねぇ」
「ありがとう、ライカ」
「えへへ。ドラゴンくらいなんてことないよ、襲って来てもクーにぃはライカが守ってあげるっ!」

 強さの比率的に、本当に守られそうで参るのであった。
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