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火の都サラマン激突編

184話 協力関係

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「ワシの提案を受けてくれたこと感謝するぞ」
「こちらこそ、よろしくお願いします」

 局長と握手を交わす。
 情報の共有は後日、またゆっくり話し合おうという形になった。滞在中は自由にサンサンを見て回っていいとのことだ。

「この客間を好きに使うとよいぞ」

 局長が案内してくれた場所は、10畳くらいの広さがある和室だった。
 畳の心地よく新鮮味ある香りが、穏やかな気分にさせてくれる。こんな良い場所を借りていいのか戸惑ってしまう。

「畳だ、畳だぁっ!」

 ライカが畳の上にダイブして転がる。

「ほう。ライカ、主は畳を知っておるのか」
「ライカの住んでいた家とそっくりだよ」
「がっはっは、どこも似たようなものはあるのだな」

 無論、もとの世界の家という意味だろう。
 しかし、本当に日本でいう和を基調とした国――懐かしい気持ちはもちろん、未開の地でここまで同じ造りになるものなのだろうか。

「局長さん、この国の王は――どんな方なんですか?」
「興味があるなら、一度会ってみるか」

 局長の一言に驚く。
 えっ、そんな気軽に会えるの? なんかもっとこう、謁見するには大層な許可が必要というイメージがあった。
 局長は豪快に笑い飛ばしながら、

「まあ、姫様は街中をよく遊び歩いておるからな。もしかすると、どこかで偶然出会うことの方が早いかもしれん」

 それくらい平和な国なのだろう。
 僕たちのいた大陸とは違い、国ごとによる争いとは無縁なのか。情報共有の際、歴史や大陸図でも見せてもらおうかな。
 僕は今の局長の言葉を振り返り――ある点に引っ掛かる。

「あれ? ここはお姫様なんですか?」
「陽の国サンサンでは、古来より女性を君主として付き従うのだ。主らの大陸でいう王と変わらぬ存在であろう」

 局長は次いで、

「さて、ワシの話を長々と聞いていても疲れがたまろう。主らの身の回りの世話は風花に一任しておる。今日は身体を休めることに集中するとよい」
「なにからなにまで、ありがとうございます」
「気にするでない。困った時はお互いさまじゃ」

 なんと優しい御仁だろう。
 居候の身ということを忘れず、滞在中は謙虚に過ごしていこう。
 情報共有については、提供できるものを考えておかないといけないな。
 ライカが布団を勝手に敷き、上をゴロゴロ転がりながら、

「ねぇねぇ、ライオンのおじさんっ! ライカもっと柔らかい枕がいいなっ! 持って来て持って来てっ!」
「がっはっはっ! すぐに取りに行こうっ!」

 ライカさん、自由すぎないかな。
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