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火の都サラマン激突編
181話 陽の国サンサン
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「さあ、ここが陽の国――サンサンだ」
まさに、歴史書で見るような風景だった。
日本でいうところの――江戸時代、情緒ある街並みが僕たちの眼前に広がる。過去にタイムスリップしたのかと、そんな錯覚さえ覚えるほどだ。
そこら中に店が立ち並び、活気もすごい。
「わぁあ、お菓子が売ってるぅっ!」
赤く丸い飴、りんご飴みたいなものだろうか。
ライカが買おうとお金をだすが――店の人に首を傾げられる。続けて、クナイを取り出したので僕が真ん中に割って入った。
「ライカ、頼むから街中では大人しくしておいて」
「わ、わかってる。だから、ライカもちゃんと――NPC相手にお金払おうとしてたんだからぁ」
「今、完全に戦闘態勢に入ってたよね」
「……ぴゅぅ、ひゅぴゅうー」
「へ、下手な口笛だ」
「だ、だって、ライカのお金見たことないとか言うんだもん」
「異国の地だからね。僕たちが普段使う通貨とは違うんだと思うよ」
しかし、手持ちのお金が使えないのは困ったな。
こうなってくると、アイテムを売るか冒険者的な仕事を請け負うか――お金の稼ぎ方を模索する必要がありそうだ。
ここに短期であろうと滞在する限り、ある程度のお金は必須となる。
「ライカ殿、どうした? りんご飴が欲しいのか?」
「べ、別に欲しくないっ」
「あっはっは。子供が遠慮するものではない」
風花さんがりんご飴を購入する。
懐かしく感じる名前――やっぱ、りんご飴なんだ。支払いを見てみると――りんご飴3つに茶色の丸い通貨が3枚、基本的なシステムは変わりなさそうだ。
後ほど、風花さんに通貨の種類について聞いてみるとしよう。
「ほら、3つで足りるか?」
「……多すぎるぅ」
「そうか? 育ち盛りと思って――ついつい買い過ぎてしまったか。ならば、皆で分けるとしよう」
「た、食べられないとは言ってないっ!」
ライカが風花さんの手から奪い取る。
「ライカ、風花さんにお礼は?」
「……」
「ライカ」
「……あり、がと、です」
「あっはっは。あの角を曲がったら私の働いている場所に着く。一度、局長にだけお主たちの紹介と滞在する許可をもらってこようと思う。局長は器の大きいお方だ、お主たちにも親身になってくれるだろう」
風花さんの一言に、ライカの肩が跳ねる。
騙されて、売り飛ばされた――状況的にはトラウマが蘇ってもおかしくない。僕はライカを安心させるよう手を握る。
「大丈夫、僕がそばにいるから」
「……うん」
ライカが僕の手を――強く握り返した。
まさに、歴史書で見るような風景だった。
日本でいうところの――江戸時代、情緒ある街並みが僕たちの眼前に広がる。過去にタイムスリップしたのかと、そんな錯覚さえ覚えるほどだ。
そこら中に店が立ち並び、活気もすごい。
「わぁあ、お菓子が売ってるぅっ!」
赤く丸い飴、りんご飴みたいなものだろうか。
ライカが買おうとお金をだすが――店の人に首を傾げられる。続けて、クナイを取り出したので僕が真ん中に割って入った。
「ライカ、頼むから街中では大人しくしておいて」
「わ、わかってる。だから、ライカもちゃんと――NPC相手にお金払おうとしてたんだからぁ」
「今、完全に戦闘態勢に入ってたよね」
「……ぴゅぅ、ひゅぴゅうー」
「へ、下手な口笛だ」
「だ、だって、ライカのお金見たことないとか言うんだもん」
「異国の地だからね。僕たちが普段使う通貨とは違うんだと思うよ」
しかし、手持ちのお金が使えないのは困ったな。
こうなってくると、アイテムを売るか冒険者的な仕事を請け負うか――お金の稼ぎ方を模索する必要がありそうだ。
ここに短期であろうと滞在する限り、ある程度のお金は必須となる。
「ライカ殿、どうした? りんご飴が欲しいのか?」
「べ、別に欲しくないっ」
「あっはっは。子供が遠慮するものではない」
風花さんがりんご飴を購入する。
懐かしく感じる名前――やっぱ、りんご飴なんだ。支払いを見てみると――りんご飴3つに茶色の丸い通貨が3枚、基本的なシステムは変わりなさそうだ。
後ほど、風花さんに通貨の種類について聞いてみるとしよう。
「ほら、3つで足りるか?」
「……多すぎるぅ」
「そうか? 育ち盛りと思って――ついつい買い過ぎてしまったか。ならば、皆で分けるとしよう」
「た、食べられないとは言ってないっ!」
ライカが風花さんの手から奪い取る。
「ライカ、風花さんにお礼は?」
「……」
「ライカ」
「……あり、がと、です」
「あっはっは。あの角を曲がったら私の働いている場所に着く。一度、局長にだけお主たちの紹介と滞在する許可をもらってこようと思う。局長は器の大きいお方だ、お主たちにも親身になってくれるだろう」
風花さんの一言に、ライカの肩が跳ねる。
騙されて、売り飛ばされた――状況的にはトラウマが蘇ってもおかしくない。僕はライカを安心させるよう手を握る。
「大丈夫、僕がそばにいるから」
「……うん」
ライカが僕の手を――強く握り返した。
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