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王都突入編
153話 転生前=転生後
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真夜中の王都を、ニャニャンと二人歩きながら話す。
「あの無駄に格好いいポーズはなんだったの?」
「決まってたでしょ。人生で一度はニヒルなポーズで待ってみたかったのね」
「……演出が無駄に凝ってる」
「それで、入念にメイン装備にまで着替え直して――ソラニャンはどこに行くつもりだったのかにゃあ? 当てたげようか、当てたげるね」
有無を言わさぬ勢い。
ニャニャンが僕に詰め寄り、じっと顔を見つめ続ける。その真っ直ぐな瞳は心の中を覗かれているようだった。
「ふむん。ずばり、女の子とキャッキャするお店ね」
「なんでわかるのさっ?!」
「顔に書いてあるよ。さっきの温泉でソラにゃんの衝動が爆発しちゃったのね。恥じることはないのにゃあ」
「そういうニャニャンこそ、メイン装備に着替えてるよね」
ニャニャンの装備は『闘神シリーズ』である。
オレンジを基調とし、太もも全開動きやすさを全面に押し出した道着、拳闘士専用の全身フルセットとなっており、ゲーム時は最終装備とも言われていた。
耐性も4属性――火、土、水、風の30%カットとかなり高かったはずなので、耐性装備が最強となった今も変わらず、揺るがない強さを維持しているだろう。
ニャニャンはフンッと空を何度も蹴り上げながら、
「そりゃ外出よ? 不測の事態が起きても対処できるようにしないとね。何故ならにゃっちも一緒に行くからにゃあ」
「一緒に?! ニャニャンって中身女性じゃないの?」
「にゃは、どっちだと思う」
キャラクターの性別はリアルと共通していることが多い。
オンリー・テイルのゲームは仕様上、キャラクーターを作成する段階にて個人の証明書が必須となっている。
基本的に、記載されている性別でしかキャラクターは作成できないのだ。
僕のよう家族に協力してもらい、自身の性別とは逆のキャラクターを作成することも可能だが――ニャニャンならありえる。
むしろ、今までの発言を考慮すると激しいおっさん臭を感じる。
「50代くらいのおじさん?」
「ふっ」
僕の答えにニャニャンが不敵に笑い返す。
冷静に考えると、もし正解だったら――50代のおっさんがニャンニャン言ってることになるわけか。
なんか想像するとものすごいパンチの効いた絵面になる。
これは触れてはいけない禁断の領域、開いてはいけないパンドラの箱だったのではないだろうか。
「ソラにゃん、大ヒントをあげる。この世界に転生した時はね、もとの世界と大体同じくらいの年齢になってるのよ」
「同じくらいの年齢?」
「つまり、年齢だけは転生前=転生後、この点だけは誤魔化しが効かないの。にゃっちが本当に50代のおじさんなら――こんなピッチピチの猫ちゃんにはならないという話にゃあ。ナコにゃんも年相応に幼く見える部分あるでしょ? あれは簡単カメラ認識だけが理由じゃないのね」
そうか、そういうことだったのか。
初めてナコを見た時、言動だけでなく全体的に幼さを感じたが――その直感は正しかったようである。
ニャニャンは顎に手を置きながら頷き、
「どれだけ若くキャラ作成しても、どれだけ渋く老いた風にキャラ作成しても、もとの世界の年齢に反映されちゃうの。転生後は種族の特性も受け継ぐから、種族次第で見た目変わらないってパターンもあるけどね。ここら辺の細かい情報はまたホームが直った時にまとめて言うつもりにゃあ」
「……じゃあ、ニャニャンは見た目通りの年齢ってことなのか。年齢についての仕組みはわかったけど、男性か女性かの答えにはなってないよね」
「ふっ」
「さっきからその不敵な笑みが気になる」
「細かいことは置いといて件の場所に行くのねっ! オラァ、黙ってにゃっちに付いて来いにゃあっ!!」
まあ、僕にとってはどちらでもいい。
ニャニャンの中身がなんであれ――長年一緒にプレイした仲間ということには変わりないのだから。
「あの無駄に格好いいポーズはなんだったの?」
「決まってたでしょ。人生で一度はニヒルなポーズで待ってみたかったのね」
「……演出が無駄に凝ってる」
「それで、入念にメイン装備にまで着替え直して――ソラニャンはどこに行くつもりだったのかにゃあ? 当てたげようか、当てたげるね」
有無を言わさぬ勢い。
ニャニャンが僕に詰め寄り、じっと顔を見つめ続ける。その真っ直ぐな瞳は心の中を覗かれているようだった。
「ふむん。ずばり、女の子とキャッキャするお店ね」
「なんでわかるのさっ?!」
「顔に書いてあるよ。さっきの温泉でソラにゃんの衝動が爆発しちゃったのね。恥じることはないのにゃあ」
「そういうニャニャンこそ、メイン装備に着替えてるよね」
ニャニャンの装備は『闘神シリーズ』である。
オレンジを基調とし、太もも全開動きやすさを全面に押し出した道着、拳闘士専用の全身フルセットとなっており、ゲーム時は最終装備とも言われていた。
耐性も4属性――火、土、水、風の30%カットとかなり高かったはずなので、耐性装備が最強となった今も変わらず、揺るがない強さを維持しているだろう。
ニャニャンはフンッと空を何度も蹴り上げながら、
「そりゃ外出よ? 不測の事態が起きても対処できるようにしないとね。何故ならにゃっちも一緒に行くからにゃあ」
「一緒に?! ニャニャンって中身女性じゃないの?」
「にゃは、どっちだと思う」
キャラクターの性別はリアルと共通していることが多い。
オンリー・テイルのゲームは仕様上、キャラクーターを作成する段階にて個人の証明書が必須となっている。
基本的に、記載されている性別でしかキャラクターは作成できないのだ。
僕のよう家族に協力してもらい、自身の性別とは逆のキャラクターを作成することも可能だが――ニャニャンならありえる。
むしろ、今までの発言を考慮すると激しいおっさん臭を感じる。
「50代くらいのおじさん?」
「ふっ」
僕の答えにニャニャンが不敵に笑い返す。
冷静に考えると、もし正解だったら――50代のおっさんがニャンニャン言ってることになるわけか。
なんか想像するとものすごいパンチの効いた絵面になる。
これは触れてはいけない禁断の領域、開いてはいけないパンドラの箱だったのではないだろうか。
「ソラにゃん、大ヒントをあげる。この世界に転生した時はね、もとの世界と大体同じくらいの年齢になってるのよ」
「同じくらいの年齢?」
「つまり、年齢だけは転生前=転生後、この点だけは誤魔化しが効かないの。にゃっちが本当に50代のおじさんなら――こんなピッチピチの猫ちゃんにはならないという話にゃあ。ナコにゃんも年相応に幼く見える部分あるでしょ? あれは簡単カメラ認識だけが理由じゃないのね」
そうか、そういうことだったのか。
初めてナコを見た時、言動だけでなく全体的に幼さを感じたが――その直感は正しかったようである。
ニャニャンは顎に手を置きながら頷き、
「どれだけ若くキャラ作成しても、どれだけ渋く老いた風にキャラ作成しても、もとの世界の年齢に反映されちゃうの。転生後は種族の特性も受け継ぐから、種族次第で見た目変わらないってパターンもあるけどね。ここら辺の細かい情報はまたホームが直った時にまとめて言うつもりにゃあ」
「……じゃあ、ニャニャンは見た目通りの年齢ってことなのか。年齢についての仕組みはわかったけど、男性か女性かの答えにはなってないよね」
「ふっ」
「さっきからその不敵な笑みが気になる」
「細かいことは置いといて件の場所に行くのねっ! オラァ、黙ってにゃっちに付いて来いにゃあっ!!」
まあ、僕にとってはどちらでもいい。
ニャニャンの中身がなんであれ――長年一緒にプレイした仲間ということには変わりないのだから。
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