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王都突入編
129話 世界最高峰のプレイヤー
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白いドラゴンはゴザルに任せ、僕は白龍の騎士を撃破する側に加勢する。
「んんぅ? お前もプレイヤー? 戦力は多いに越したことはないし、助太刀感謝するにゃあよっとぉっ!」
と、その人物が気合い十分にフードを脱ぎ捨てた。
語尾でなんとなく想像はついていたが、ナコと同じミミモケ族――猫耳の子だ。ブラウン色のボブヘアー、片側を可愛らしく三つ編みでアレンジしている。
その見慣れた姿を見て――僕は瞬時に理解した。
「金髪ロングヘアーちゃん、お名前とジョブはなんにゃあ?」
「クーラ、触術師だよ」
「やば、触術師とかレアすぎるっ! あ、にゃっちの名前はね」
「Nyanyan――ニャニャンでしょ」
「にゃっ?! お前、なんでにゃっちの名前をっ!?」
「理由は後回しだ。白龍の騎士が来るよっ!」
「おあぁっ、絶対教えるにゃあよっ!」
ニャニャンが前傾姿勢にて、右足を強く踏み込む。
「クーラにゃん、触術師がなにをできるかはにゃっちにはわけわかめ。即席で合わせてみろにゃあっ!」
ニャニャンのジョブは拳闘士。
拳闘士にはメインとなる3種類のスキルが存在し、攻撃に特化した"撃の型"、防御に特化した"硬の型"、攻守バランスの"定の型"がある。
この構えは"撃の型"特攻重視のスキル、ニャニャンは基本的に防御は避けたら問題なしという思考の持ち主、一方向に振り切った脳筋なのだ。
「オラぁっ、魂ごと吹き飛べにゃあっ!」
そして、Nightmaresのリーダーであり、世界最高峰レベル125の拳闘士であった。
白龍の騎士が文字通り、鎧を粉砕されながらさらに後方へと押し出される。普通ならば全身を駆け抜ける痛みで卒倒してもよさそうだが――こいつはそうはならない。
物言わぬ殺戮マシーン、改造人間なのだ。
モンスターの血や肉を配合し、ありとあらゆる実験を繰り返されて、ただひたすらに身体機能を高められている。
「あいたにゃあー。効いてるのか? 効いてないのか? 白いドラゴンの撃破待ちじゃちょっとまずそうねん」
魔壁によるカウンター、ニャニャンが拳をフゥフゥする。
感情を持たず命じられた指示を淡々とこなしていく白龍の騎士、どこの国がこんな非人道なことをしているのか。
それは、火の都サラマンだった。
滅びた、完全に滅んだはずだった――ディスク5枚目までプレイした僕は、今の今までずっとそう認識していた。
1枚目と2枚目に限り、火の都は水面下にてずっと復活する準備をしていたのだ。
そして、三国に対して宣戦布告をしてくる。
この世界を支配しようとしている火の都を、プレイヤーの手で阻止するというのがメインストーリーだった。大陸龍を転覆させて王都との連絡通路を断つこと、その後三国を順番に攻め込むという作戦が火の都の最初の一手なのだ。
ゲーム時、大陸龍が落下したという事実はない。
しかし、この白龍の騎士の襲撃によって大陸龍は傷付き、しばらくの間飛べなくなるというイベントがあった。
火の都はその隙を突き、恐ろしい速度で攻め込んで来る。
「クーラにゃん、今の時間軸がディスク1枚目ってことはご存知? ゲーム時なら白龍の騎士は勝てないイベント戦のボスだけど、その無理難題を超えなきゃいけない理由があるのにゃあ」
「無理難題を、超える理由?」
「イエスっ! にゃっちは白龍の騎士をぶっ殺すっ!」
ニャニャンは大きな声でそう宣言するのだった。
「んんぅ? お前もプレイヤー? 戦力は多いに越したことはないし、助太刀感謝するにゃあよっとぉっ!」
と、その人物が気合い十分にフードを脱ぎ捨てた。
語尾でなんとなく想像はついていたが、ナコと同じミミモケ族――猫耳の子だ。ブラウン色のボブヘアー、片側を可愛らしく三つ編みでアレンジしている。
その見慣れた姿を見て――僕は瞬時に理解した。
「金髪ロングヘアーちゃん、お名前とジョブはなんにゃあ?」
「クーラ、触術師だよ」
「やば、触術師とかレアすぎるっ! あ、にゃっちの名前はね」
「Nyanyan――ニャニャンでしょ」
「にゃっ?! お前、なんでにゃっちの名前をっ!?」
「理由は後回しだ。白龍の騎士が来るよっ!」
「おあぁっ、絶対教えるにゃあよっ!」
ニャニャンが前傾姿勢にて、右足を強く踏み込む。
「クーラにゃん、触術師がなにをできるかはにゃっちにはわけわかめ。即席で合わせてみろにゃあっ!」
ニャニャンのジョブは拳闘士。
拳闘士にはメインとなる3種類のスキルが存在し、攻撃に特化した"撃の型"、防御に特化した"硬の型"、攻守バランスの"定の型"がある。
この構えは"撃の型"特攻重視のスキル、ニャニャンは基本的に防御は避けたら問題なしという思考の持ち主、一方向に振り切った脳筋なのだ。
「オラぁっ、魂ごと吹き飛べにゃあっ!」
そして、Nightmaresのリーダーであり、世界最高峰レベル125の拳闘士であった。
白龍の騎士が文字通り、鎧を粉砕されながらさらに後方へと押し出される。普通ならば全身を駆け抜ける痛みで卒倒してもよさそうだが――こいつはそうはならない。
物言わぬ殺戮マシーン、改造人間なのだ。
モンスターの血や肉を配合し、ありとあらゆる実験を繰り返されて、ただひたすらに身体機能を高められている。
「あいたにゃあー。効いてるのか? 効いてないのか? 白いドラゴンの撃破待ちじゃちょっとまずそうねん」
魔壁によるカウンター、ニャニャンが拳をフゥフゥする。
感情を持たず命じられた指示を淡々とこなしていく白龍の騎士、どこの国がこんな非人道なことをしているのか。
それは、火の都サラマンだった。
滅びた、完全に滅んだはずだった――ディスク5枚目までプレイした僕は、今の今までずっとそう認識していた。
1枚目と2枚目に限り、火の都は水面下にてずっと復活する準備をしていたのだ。
そして、三国に対して宣戦布告をしてくる。
この世界を支配しようとしている火の都を、プレイヤーの手で阻止するというのがメインストーリーだった。大陸龍を転覆させて王都との連絡通路を断つこと、その後三国を順番に攻め込むという作戦が火の都の最初の一手なのだ。
ゲーム時、大陸龍が落下したという事実はない。
しかし、この白龍の騎士の襲撃によって大陸龍は傷付き、しばらくの間飛べなくなるというイベントがあった。
火の都はその隙を突き、恐ろしい速度で攻め込んで来る。
「クーラにゃん、今の時間軸がディスク1枚目ってことはご存知? ゲーム時なら白龍の騎士は勝てないイベント戦のボスだけど、その無理難題を超えなきゃいけない理由があるのにゃあ」
「無理難題を、超える理由?」
「イエスっ! にゃっちは白龍の騎士をぶっ殺すっ!」
ニャニャンは大きな声でそう宣言するのだった。
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