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王都突入編
128話 そんな復帰の仕方ある?
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ゴザルが大陸龍の背中を走り、白龍の騎士に接近する。
「あぁー、あの武者プレイヤー? バカなのバカなの? あれじゃカウンターもらうって覚えてないのかにゃあ」
近くにいたフードを被った人物が言う。
「しっかし、あのどストレートな特攻見覚えあるような。まあ、あのバカ武者がやられたらにゃっちの番かにゃあ」
僕もこの喋り口調、どこかで見覚えがあるような。
チャット欄でにゃーにゃー騒いでいた某人物が重なる。プレイヤーのことを知っているということは、このフードの人物もプレイヤーなのだろう。
リボルの一件もある、今は変に乗っからず聞き耳を立てるくらいが一番いい距離感に違いない。
いや待て、今カウンターって言ったか?
「ぎょわぁああああっ!」
女の子らしからぬ声をだし、ゴザルが大陸龍から落下する。
そうだ、白龍の騎士――全て思い出した。特殊な魔壁を身にまとっており、従える白いドラゴンから倒さないと自身の攻撃が跳ね返ってくるのだ。
「あーらら、落ちちゃった――にゃにゃっ?!」
「風の刃――風巻《しまき》っ!」
ゴザルが旋回しながら普通に舞い戻ってきた。
心配も一瞬、なんつー戻り方だ。この無敵感溢れる一挙一動、ゴザルなら大陸龍が落ちても余裕で生還している気がする。
「ぶわははははははっ! やっばー、あいつウケる。格闘ゲームみたいな戻り方してるにゃあっ!」
フードの人物が腹を抱えて爆笑する。
「おーい。そこのバカ武者、にゃっちが本体を相手にするから、お前は白いドラゴンの方を頼むね。その強さならタイマンできるにゃあ」
「ば、バカ武者っ?! 私に指図するんじゃないわよ――って言いたいところだけど、その提案乗ってあげるわっ!」
「よっしゃ、共闘にゃあっ!」
言いながら、すでにフードの人物は駆け走っていた。
目を見張る速度、もしかするとゴザルより速いかもしれない。あっという間に白龍の騎士の目の前に到達していた。
そして、その加速から――右拳を胸に放り込んだ。
空気が幾重にも振動しているのがわかる。白龍の騎士の魔壁によるカウンターなどお構いなし、突き破るかの勢いで強烈な一撃を放った。
白龍の騎士の身体が宙に浮き――白いドラゴンから落下する。
その隙を見逃さず、ゴザルが白いドラゴンと分離させるべく割って入った。フードの人物はさらに追撃、追撃、追撃の嵐で白龍の騎士を追い込んでいく。
即席とは思えぬ連携プレー、大陸龍の頭側にゴザル、尻尾側にフードの人物、一瞬にして一対一の構図ができあがった。
な、何者なんだ? この騒がしいフードの人物――今の一連の流れで全てを理解、めちゃくちゃに強かった。
「クーラ! 足場が、籠が壊れてきていますっ!」
白龍の攻撃を受け続けた影響か、籠のそこら中が崩れ始める。
いわば、手すりのない気球のような状態と化していた。大陸龍に乗る衛兵たちも乗客の安全を守ろうと、ロープを手に必死に動いてはいるが間に合わない。
一刻を争う、このままでは――誰かが落ちるのも時間の問題か。
「ナコ、ニャンシロを召喚! 真ん中でおすわり! 皆を股下に誘導させるんだっ!」
「ニャンシロ、来てっ!」
「乗客の皆さん、この虎は僕たちのペットですっ! 特別な訓練をしており、人を食べたりはしないので、毛に捕まるか抱き付くかでなんとか凌いでくださいっ!!」
僕は周知させるよう叫ぶ。
ペット扱いもどうかと思うが、今は周囲を無理矢理にでも納得させにいく。
《 ぎゃあーっ! 痛い痛い、もうちょっと優しく毛を掴んでっ! 》
「ナコ、ニャンシロと一緒にこの場所のサポートをお願い!」
「クーラは?!」
「参戦して来るよ、必ず帰って来る。それまで皆を守っていて欲しい」
「承知しましたっ!」
僕はそう言い残し、二人のもとへと飛び込むのだった。
「あぁー、あの武者プレイヤー? バカなのバカなの? あれじゃカウンターもらうって覚えてないのかにゃあ」
近くにいたフードを被った人物が言う。
「しっかし、あのどストレートな特攻見覚えあるような。まあ、あのバカ武者がやられたらにゃっちの番かにゃあ」
僕もこの喋り口調、どこかで見覚えがあるような。
チャット欄でにゃーにゃー騒いでいた某人物が重なる。プレイヤーのことを知っているということは、このフードの人物もプレイヤーなのだろう。
リボルの一件もある、今は変に乗っからず聞き耳を立てるくらいが一番いい距離感に違いない。
いや待て、今カウンターって言ったか?
「ぎょわぁああああっ!」
女の子らしからぬ声をだし、ゴザルが大陸龍から落下する。
そうだ、白龍の騎士――全て思い出した。特殊な魔壁を身にまとっており、従える白いドラゴンから倒さないと自身の攻撃が跳ね返ってくるのだ。
「あーらら、落ちちゃった――にゃにゃっ?!」
「風の刃――風巻《しまき》っ!」
ゴザルが旋回しながら普通に舞い戻ってきた。
心配も一瞬、なんつー戻り方だ。この無敵感溢れる一挙一動、ゴザルなら大陸龍が落ちても余裕で生還している気がする。
「ぶわははははははっ! やっばー、あいつウケる。格闘ゲームみたいな戻り方してるにゃあっ!」
フードの人物が腹を抱えて爆笑する。
「おーい。そこのバカ武者、にゃっちが本体を相手にするから、お前は白いドラゴンの方を頼むね。その強さならタイマンできるにゃあ」
「ば、バカ武者っ?! 私に指図するんじゃないわよ――って言いたいところだけど、その提案乗ってあげるわっ!」
「よっしゃ、共闘にゃあっ!」
言いながら、すでにフードの人物は駆け走っていた。
目を見張る速度、もしかするとゴザルより速いかもしれない。あっという間に白龍の騎士の目の前に到達していた。
そして、その加速から――右拳を胸に放り込んだ。
空気が幾重にも振動しているのがわかる。白龍の騎士の魔壁によるカウンターなどお構いなし、突き破るかの勢いで強烈な一撃を放った。
白龍の騎士の身体が宙に浮き――白いドラゴンから落下する。
その隙を見逃さず、ゴザルが白いドラゴンと分離させるべく割って入った。フードの人物はさらに追撃、追撃、追撃の嵐で白龍の騎士を追い込んでいく。
即席とは思えぬ連携プレー、大陸龍の頭側にゴザル、尻尾側にフードの人物、一瞬にして一対一の構図ができあがった。
な、何者なんだ? この騒がしいフードの人物――今の一連の流れで全てを理解、めちゃくちゃに強かった。
「クーラ! 足場が、籠が壊れてきていますっ!」
白龍の攻撃を受け続けた影響か、籠のそこら中が崩れ始める。
いわば、手すりのない気球のような状態と化していた。大陸龍に乗る衛兵たちも乗客の安全を守ろうと、ロープを手に必死に動いてはいるが間に合わない。
一刻を争う、このままでは――誰かが落ちるのも時間の問題か。
「ナコ、ニャンシロを召喚! 真ん中でおすわり! 皆を股下に誘導させるんだっ!」
「ニャンシロ、来てっ!」
「乗客の皆さん、この虎は僕たちのペットですっ! 特別な訓練をしており、人を食べたりはしないので、毛に捕まるか抱き付くかでなんとか凌いでくださいっ!!」
僕は周知させるよう叫ぶ。
ペット扱いもどうかと思うが、今は周囲を無理矢理にでも納得させにいく。
《 ぎゃあーっ! 痛い痛い、もうちょっと優しく毛を掴んでっ! 》
「ナコ、ニャンシロと一緒にこの場所のサポートをお願い!」
「クーラは?!」
「参戦して来るよ、必ず帰って来る。それまで皆を守っていて欲しい」
「承知しましたっ!」
僕はそう言い残し、二人のもとへと飛び込むのだった。
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