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王都突入編

125話 あの日と変わらずこれからも

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「ナコ、機嫌を直してよ」
「……」
「ナコさん」
「……嫌い」
「うぐぅっ」

 ナコの嫌いが胸に突き刺さる。
 順番が前後してしまったが、今日はナコと約束した魚々助に向かう予定だ。いや、予定だったという方が正しいか――先ほどの一件が尾を引き、お出かけはしているもののナコは超絶不機嫌である。
 ここ最近、ナコを怒らせていることが多い。
 大半は僕が悪いため、どうにか二人きりとなった今挽回したいところである。しかしなながら、好感度を復活させるアイディアは全く浮かばない。
 怒りが速度に比例しているのか、ナコは僕の前を早歩きで進んで行く。
 それでも一緒にでかけてくれたということはチャンスがあるということだ。その証拠に時折チラチラと僕の方に視線を向けてくる。
 数日後には王都、こんなギクシャクした状態でたどり着きたくない。

「ナコっ!」
「く、クーラ?」

 僕は追い付き、追い抜かす勢いで、ナコの手を取って走る。
 どうご機嫌を取るか、色々考えてはみたものの――僕たちはここまでこうして歩んで来たんだ。
 今は少し賑やかになったけれど、この世界に転生してからずっと二人だった。
 目指し続けた王都、その夢の一つが叶おうとしている。それがナコと一緒なんて幸せ以外のなにものでもない。
 僕はこの手を放さない――放すことはない。

「せっかくだから楽しもうっ! ナコが行きたいところ全部回ろうかっ!」
「……クーラ」
「今日はデートだからさ」
「はいっ!」

 ウィンウィンにたどり着いた日と変わらず、僕たちは二人並んで色々な場所を巡る。
 道中、キローヒさんのお店や洋服店、旅路に必要であろうものをアイテムボックスに詰めていく。
 なんだか、それが遠足の準備みたいで楽しい。

「クーラ、王都にはしばらく滞在するのですか?」
「そうだね。ホームは留守になっちゃうから、その間はサマロたちに好きに使っていいよって話はしておいたよ。用事が済んだらまた戻って来よう、ここは僕たちにとっても居心地がいい国だからね」

 それに、と付け加えて、

「ナコとの思い出がたくさんある」

 そして、これからも作っていきたい。
 苦しいこともあるけれど、それを上回って楽しいこともある。王都に着いたら、皆にナコを紹介しよう。
 僕の最高のパートナーだって。

「ふふ。クーラの今の姿を見たら、仲間の方は驚くかもしれませんね」

 ナコに言われてハッとする。
 転生してから自身の身体に慣れ親しみすぎてすっかりと忘れていた。
 今の僕は完全に別人――まず最初に、僕の性別が逆転したところから詳しく説明するとしよう。
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