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王都突入編
118話 一転二転
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二度目の死、リボルが床に倒れ込む。
因果の掌握、使用回数には必ず限界があるはずだ。リボルという男はこの世界に置いて悪の根源、近い未来必ず脅威となり得る存在だ。もし、因果の掌握が魔力の消費量的に一度限りのスキルであれば未然に防いだことになる。
キャロルさんが僕に駆け寄り、
「クーラさん、これを飲んでください。特注の麻痺薬なのですが、痛みを和らげる効果があるのです。自分もたまに趣味で飲んでいまして安全面は保証するのです」
趣味については触れないでおく。
僕は麻痺薬を口に、全身を駆け巡る痛みが嘘のように引いていく。傷を治すという点のみ重視していたが、スキルの効果によっては今回のように無傷でも行動不能に陥る場合もある。
ゲーム時には状態異常のアイテムだったとしても、現実となった今状況によっては良薬にも変化するということだ。
「ありがとう。キャロルさん、呪法によるカウンターは大丈夫?」
「今のところ問題ないのです。あのチート級のスキル、自分のスキルと同じく使用回数は限られているはずなのです」
キャロルさんも同じ見解だった。
キャロルさんが両手に短剣を握り、リボルの死体に歩み寄る。動く気配はない、完全に死んでいるとしか思えなかった。
普通ならこれ以上、死体蹴りをするような真似はしたくない。
「念には念を、この男の首を斬るのです」
キャロルさんが言う。
見た目に反して容赦のない行動、ガラスティナ戦で心臓を握り潰した際にも躊躇った様子はなかった。
この世界で生きていくとはどういうことなのかを見極めている。
「……っ。誰なのですかっ?」
不意に、キャロルさんが後方に飛ぶ。
キャロルさんの立っていた場所、火炎放射でも放たれたかのような焼け焦げた跡が刻まれていた。
一点集中型の高火力、回避するのがあと数秒遅ければ消し炭になっていたかもしれない。
「うわー、今のライカの攻撃普通に避けちゃうんだぁ。絶対に焼け焦げマックスだと思ったのにぃ。ムカつく、なんかムカついちゃうなぁ」
狐耳のミミモケ族、忍び装束の女の子が立っていた。
どこから現れたのか――ライカと自称する女の子はリボルを守るよう傍らに、僕たちに明確な殺意を放ってくる。
カラフルなピンクの髪色、なんとも狐らしからぬ毛並み、ジョブは装備の見た目通り忍者だろう。
多彩な忍術を使用してくる攻撃職、ゲーム時は瞬間的な高火力をだすことを得意としており、時間制限のあるボス戦では引っ張りだこ、アタッカーとして非常に優秀なジョブとなっていた。
先ほどの不意打ちも忍びが持つ忍術の一つ"瞬炎"に違いない。
「ねえ、マスター。そろそろオフザケはやめにして起きてよぉ」
「あっはっは。バレていたか」
リボルが事もなげに笑う。
「いやー、緊迫した空気、この突き刺さるような殺意の応酬、どのタイミングで俺が乱入しようか考えて楽しんでいたよ」
生きていた。
「俺を遠慮なく突き刺した小鬼ちゃん、その異常なスキルからして君も超越者かな。さすがに二度目の死は想定外だったよ。どこに潜んでいた? 存在していたと聞いた方が正しいのか?」
心臓を貫かれてもリボルは生きていた。
そして、即座にキャロルさんのスキルの根本を見抜く――この洞察力も含め、リボルという男は底が知れない。
「まあ、どちらでもいいか。君は俺のギルドには相応しくない。コソコソと好き勝手したところで面白くないからね」
リボルが右手を握り込む。
「お返しだ。君も死という苦痛を味わってみろ」
キャロルさんが胸を抑えて崩れ落ちた。
因果の掌握、使用回数には必ず限界があるはずだ。リボルという男はこの世界に置いて悪の根源、近い未来必ず脅威となり得る存在だ。もし、因果の掌握が魔力の消費量的に一度限りのスキルであれば未然に防いだことになる。
キャロルさんが僕に駆け寄り、
「クーラさん、これを飲んでください。特注の麻痺薬なのですが、痛みを和らげる効果があるのです。自分もたまに趣味で飲んでいまして安全面は保証するのです」
趣味については触れないでおく。
僕は麻痺薬を口に、全身を駆け巡る痛みが嘘のように引いていく。傷を治すという点のみ重視していたが、スキルの効果によっては今回のように無傷でも行動不能に陥る場合もある。
ゲーム時には状態異常のアイテムだったとしても、現実となった今状況によっては良薬にも変化するということだ。
「ありがとう。キャロルさん、呪法によるカウンターは大丈夫?」
「今のところ問題ないのです。あのチート級のスキル、自分のスキルと同じく使用回数は限られているはずなのです」
キャロルさんも同じ見解だった。
キャロルさんが両手に短剣を握り、リボルの死体に歩み寄る。動く気配はない、完全に死んでいるとしか思えなかった。
普通ならこれ以上、死体蹴りをするような真似はしたくない。
「念には念を、この男の首を斬るのです」
キャロルさんが言う。
見た目に反して容赦のない行動、ガラスティナ戦で心臓を握り潰した際にも躊躇った様子はなかった。
この世界で生きていくとはどういうことなのかを見極めている。
「……っ。誰なのですかっ?」
不意に、キャロルさんが後方に飛ぶ。
キャロルさんの立っていた場所、火炎放射でも放たれたかのような焼け焦げた跡が刻まれていた。
一点集中型の高火力、回避するのがあと数秒遅ければ消し炭になっていたかもしれない。
「うわー、今のライカの攻撃普通に避けちゃうんだぁ。絶対に焼け焦げマックスだと思ったのにぃ。ムカつく、なんかムカついちゃうなぁ」
狐耳のミミモケ族、忍び装束の女の子が立っていた。
どこから現れたのか――ライカと自称する女の子はリボルを守るよう傍らに、僕たちに明確な殺意を放ってくる。
カラフルなピンクの髪色、なんとも狐らしからぬ毛並み、ジョブは装備の見た目通り忍者だろう。
多彩な忍術を使用してくる攻撃職、ゲーム時は瞬間的な高火力をだすことを得意としており、時間制限のあるボス戦では引っ張りだこ、アタッカーとして非常に優秀なジョブとなっていた。
先ほどの不意打ちも忍びが持つ忍術の一つ"瞬炎"に違いない。
「ねえ、マスター。そろそろオフザケはやめにして起きてよぉ」
「あっはっは。バレていたか」
リボルが事もなげに笑う。
「いやー、緊迫した空気、この突き刺さるような殺意の応酬、どのタイミングで俺が乱入しようか考えて楽しんでいたよ」
生きていた。
「俺を遠慮なく突き刺した小鬼ちゃん、その異常なスキルからして君も超越者かな。さすがに二度目の死は想定外だったよ。どこに潜んでいた? 存在していたと聞いた方が正しいのか?」
心臓を貫かれてもリボルは生きていた。
そして、即座にキャロルさんのスキルの根本を見抜く――この洞察力も含め、リボルという男は底が知れない。
「まあ、どちらでもいいか。君は俺のギルドには相応しくない。コソコソと好き勝手したところで面白くないからね」
リボルが右手を握り込む。
「お返しだ。君も死という苦痛を味わってみろ」
キャロルさんが胸を抑えて崩れ落ちた。
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