転生したら倉庫キャラ♀でした。

ともQ

文字の大きさ
上 下
116 / 387
王都突入編

116話 Revolと名乗る男

しおりを挟む
「俺の名はRevol――リボルだ」


 僕は端的にリボルに問う。

「僕をここに呼んだ理由はなんだ?」
「最初に言っただろう? クーラ、君を勧誘したかったと」
「どうして僕に固執する?」
「ウィンウィンで君を見かけた時、運命を感じたんだよ。生きているなんて想像もしていなかったからね」
「それはどうも」
「さらに君はすごかった。オーラ・ストーンの試練すら乗り越えたのだから」
「あの不自然なスカル・キラーの出現、やっぱり裏があったのか」
「俺が想像してる以上に君は知識があるな。ゲーム時にはなかった強硬手段、呪術師のスキルに"因果の掌握いんが しょうあく"というものが存在してね。これはありとあらゆる結果を捻じ曲げることができるのさ」
「結果を、捻じ曲げる?」
「簡単に言うと、出現率を弄ったのさ」

 僕の知識には存在しないスキルだった。
 そして、それが意味する答え――超越者、このリボルという男は呪術師を極めているプレイヤーということになる。基本的に超越者は攻略掲示板にプレイヤー名が晒されることが多い。
 僕の記憶にリボルという名前はなかった。

「スカル・キラーに囲まれて絶体絶命の瞬間、君が吼えるところを見ていたよ。命の火が消え去る寸前、宝石のような輝き! 心が震え上がった!」

 リボルは演説者のように語る。

「クーラ、君は文句なしの合格だ。俺のギルド"Freedom"フリーダムに入る価値がある。俺の思想に賛同してくれるプレイヤーはたくさんいてね。この世界で好きなように生きるのがギルド全体の意志だ」
「……なにが試練だ、合格だ。オーラ・ストーンでどれだけの人が死んだかわかっているのか?!」
「怒る意味がわからないな。この世界はゲームだぞ? 有象無象のNPC風情、道端の石ころとどう違いがある? 俺の思い描くイメージ、俺の好きなように生きてなにが悪い?」

 どこかで聞いたことのある内容だった。
 ゲーム世界だからと、ゲームのキャラクターだからと、似たようなことを口にしていたプレイヤーに記憶がある。
 忘れるはずがない、忘れるわけもない。

「……カルン、ゴルン、この二人の名前に聞き覚えはないか?」
「カルン、ゴルン?」

 リボルは考え込むよう上を見上げ、

「ああ、あの雑魚どもかな。ギルドに入ってすぐ死んで他メンバーの笑い草になっていたよ。それからはメンバーも厳選しているんだ。俺たちギルドの格を下げるようなやつを加入させても仕方ないからね」

 リボルは淡々と言う。

「今、俺たちはこの世界の至るところで活動している。無論、世界を好きなように楽しもうというギルドの意志を土台にしてだ。だけど、闇雲に好き勝手しているだけじゃ子供と変わらない。この世界の根深い部分、俺のように国に関わることも大事だろう」

 話すことはもうない。
 いや、会話にすらなっていない。ただの一方通行、僕はそう強く感じていた。

「さて、改めて聞くよ。クーラ、俺たちのギルドに入らないか?」
「断る」

 こいつはここで絶対に殺す。
 僕は返事と共に明確な殺意を込めてリボルの体内に触手を侵入させ――躊躇なく身体を爆散させた。
しおりを挟む
感想 25

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

【書籍化】パーティー追放から始まる収納無双!~姪っ子パーティといく最強ハーレム成り上がり~

くーねるでぶる(戒め)
ファンタジー
【24年11月5日発売】 その攻撃、収納する――――ッ!  【収納】のギフトを賜り、冒険者として活躍していたアベルは、ある日、一方的にパーティから追放されてしまう。  理由は、マジックバッグを手に入れたから。  マジックバッグの性能は、全てにおいてアベルの【収納】のギフトを上回っていたのだ。  これは、3度にも及ぶパーティ追放で、すっかり自信を見失った男の再生譚である。

断罪済み悪役令嬢に憑依したけど、ネトゲの自キャラ能力が使えたので逃げ出しました

八華
ファンタジー
断罪済みの牢の中で悪役令嬢と意識が融合してしまった主人公。 乙女ゲームストーリー上、待っているのは破滅のみ。 でも、なぜか地球でやっていたオンラインゲームキャラの能力が使えるみたいで……。 ゲームキャラチートを利用して、あっさり脱獄成功。 王都の街で色んな人と出会いながら、現実世界への帰還を目指します!

異世界から帰ってきた勇者は既に擦り切れている。

暁月ライト
ファンタジー
魔王を倒し、邪神を滅ぼし、五年の冒険の果てに役割を終えた勇者は地球へと帰還する。 しかし、遂に帰還した地球では何故か三十年が過ぎており……しかも、何故か普通に魔術が使われており……とはいえ最強な勇者がちょっとおかしな現代日本で無双するお話です。

最遅で最強のレベルアップ~経験値1000分の1の大器晩成型探索者は勤続10年目10度目のレベルアップで覚醒しました!~

ある中管理職
ファンタジー
 勤続10年目10度目のレベルアップ。  人よりも貰える経験値が極端に少なく、年に1回程度しかレベルアップしない32歳の主人公宮下要は10年掛かりようやくレベル10に到達した。  すると、ハズレスキル【大器晩成】が覚醒。  なんと1回のレベルアップのステータス上昇が通常の1000倍に。  チートスキル【ステータス上昇1000】を得た宮下はこれをきっかけに、今まで出会う事すら想像してこなかったモンスターを討伐。  探索者としての知名度や地位を一気に上げ、勤めていた店は討伐したレアモンスターの肉と素材の販売で大繁盛。  万年Fランクの【永遠の新米おじさん】と言われた宮下の成り上がり劇が今幕を開ける。

クラス転移で無能判定されて追放されたけど、努力してSSランクのチートスキルに進化しました~【生命付与】スキルで異世界を自由に楽しみます~

いちまる
ファンタジー
ある日、クラスごと異世界に召喚されてしまった少年、天羽イオリ。 他のクラスメートが強力なスキルを発現させてゆく中、イオリだけが最低ランクのEランクスキル【生命付与】の持ち主だと鑑定される。 「無能は不要だ」と判断した他の生徒や、召喚した張本人である神官によって、イオリは追放され、川に突き落とされた。 しかしそこで、川底に沈んでいた謎の男の力でスキルを強化するチャンスを得た――。 1千年の努力とともに、イオリのスキルはSSランクへと進化! 自分を拾ってくれた田舎町のアイテムショップで、チートスキルをフル稼働! 「転移者が世界を良くする?」 「知らねえよ、俺は異世界を自由気ままに楽しむんだ!」 追放された少年の第2の人生が、始まる――! ※本作品は他サイト様でも掲載中です。

1×∞(ワンバイエイト) 経験値1でレベルアップする俺は、最速で異世界最強になりました!

マツヤマユタカ
ファンタジー
23年5月22日にアルファポリス様より、拙著が出版されました!そのため改題しました。 今後ともよろしくお願いいたします! トラックに轢かれ、気づくと異世界の自然豊かな場所に一人いた少年、カズマ・ナカミチ。彼は事情がわからないまま、仕方なくそこでサバイバル生活を開始する。だが、未経験だった釣りや狩りは妙に上手くいった。その秘密は、レベル上げに必要な経験値にあった。実はカズマは、あらゆるスキルが経験値1でレベルアップするのだ。おかげで、何をやっても簡単にこなせて――。異世界爆速成長系ファンタジー、堂々開幕! タイトルの『1×∞』は『ワンバイエイト』と読みます。 男性向けHOTランキング1位!ファンタジー1位を獲得しました!【22/7/22】 そして『第15回ファンタジー小説大賞』において、奨励賞を受賞いたしました!【22/10/31】 アルファポリス様より出版されました!現在第四巻まで発売中です! コミカライズされました!公式漫画タブから見られます!【24/8/28】 ***************************** ***毎日更新しています。よろしくお願いいたします。*** ***************************** マツヤマユタカ名義でTwitterやってます。 見てください。

俺は善人にはなれない

気衒い
ファンタジー
とある過去を持つ青年が異世界へ。しかし、神様が転生させてくれた訳でも誰かが王城に召喚した訳でもない。気が付いたら、森の中にいたという状況だった。その後、青年は優秀なステータスと珍しい固有スキルを武器に異世界を渡り歩いていく。そして、道中で沢山の者と出会い、様々な経験をした青年の周りにはいつしか多くの仲間達が集っていた。これはそんな青年が異世界で誰も成し得なかった偉業を達成する物語。

処理中です...