62 / 387
クエスト攻略ランクアップ編
62話 60秒後の未来
しおりを挟む
刻々と迫りくるタイムリミット、状況はさらに悪化する。
オーラ・ストーン第三層に生息するスパイダーが、ナコとスカル・キラーの激戦に誘われて群がって来たのだ。
スパイダーはハイスパイダーに比べるとかなり弱いが、数が増えると厄介なことには変わりない。
バカな考えを持った、罪滅ぼしとでも言うべきか。
ナコが制してくれなければ、本末転倒になるところだった。僕たちはここにどんな理由でやって来た?
サマロとレイナさんだけは守り切ろう、守り切ってみせる。
――裂、裂、裂っ!
スパイダーの返り血を全身に浴びながら、僕は縦横無尽に駆け回る。
ハイスパイダーよりは遥かに個体が小さいため、触手による破裂で問題なく一撃死させることが可能だった。
ナコが戻って来ることを信じろ。
こちらに気を取られることがないよう、スカル・キラーに集中させる、これが今僕にできる精一杯であった。
――残り''30''秒。
ハイスパイダーという親玉を殺された腹いせだろうか、倒しても倒してもスパイダーがそこら中から湧き続ける。
弱音を吐いている暇なんてない、動ける限り狩って狩って狩って狩り続けろ。
――残り''20''秒。
真正面からの戦いではナコに勝てないと判断したのか、ここに来てスカル・キラーが逃げの態勢に入る。
シャドウムーブ、影から影に移動していくスキルだ。
ユースさんとモッズさんはこのスキルで背後に忍び寄られたに違いない。
気配察知に強い狩人と盗賊ですら気付くことが遅れるほどの高速移動である。
ナコも負けじと追いかけるが、またシャドウムーブにより離される。勝ちを確信したかのよう、スカル・キラーがカラカラと強く歯音を響かせた。
――残り''10''秒。
なにかを決した表情でナコが立ち止まる。
そして、首もとを擦りながら僕の方を向いて――笑った。
その笑顔に頷き返す、僕はナコの言葉を信じている。
ナコがハッピーを天に掲げ、ゆっくりと目を閉じた。
――''3''、''2''、''1''。
プツン、と。
操り人形の糸が切れたように、ナコが重力に導かれるまま崩れ落ちていく。
その姿を見てカラカラと嘲笑い、スカル・キラーが一直線にナコのもとへと駆け走った。
ざまあみろと言わんばかりに、手こずらせた相手に追い打ちと言わんばかりに、サーベルを振りかざしナコの首を刈り取ろうとした。
「お前だったら、そう来ると思っていました」
地に横たわる寸前、ナコが身を翻す。
予測不可能な事態に驚愕したのか、スカル・キラーが全身を怯ませる。骨だけの無表情な顔付きが目を見開いたかのように見えた。
カウンター、ナコがスカル・キラーの中心を一閃する。
「無限闇斬っ!」
追撃、追撃、追撃の嵐。
有無を言わさぬ高速連撃、スカル・キラーの身体が木っ端微塵になる。
砕けた骨はサラサラと灰となり、鎧の破片だけが周囲に散らばっていった。
秒針が一周する直前、コンマ何秒の世界線、カウントはとまっていたのだ。
絶望が訪れる瞬間、僕だけは絶命していないと気付いていた。
奴隷輪による契約の効果だろう、ナコと繋がっている感覚が途切れていなかったからだ。
死闘の決着、ナコが僕のもとへと駆け寄り、
「ただいま、クーラ」
オーラ・ストーン第三層に生息するスパイダーが、ナコとスカル・キラーの激戦に誘われて群がって来たのだ。
スパイダーはハイスパイダーに比べるとかなり弱いが、数が増えると厄介なことには変わりない。
バカな考えを持った、罪滅ぼしとでも言うべきか。
ナコが制してくれなければ、本末転倒になるところだった。僕たちはここにどんな理由でやって来た?
サマロとレイナさんだけは守り切ろう、守り切ってみせる。
――裂、裂、裂っ!
スパイダーの返り血を全身に浴びながら、僕は縦横無尽に駆け回る。
ハイスパイダーよりは遥かに個体が小さいため、触手による破裂で問題なく一撃死させることが可能だった。
ナコが戻って来ることを信じろ。
こちらに気を取られることがないよう、スカル・キラーに集中させる、これが今僕にできる精一杯であった。
――残り''30''秒。
ハイスパイダーという親玉を殺された腹いせだろうか、倒しても倒してもスパイダーがそこら中から湧き続ける。
弱音を吐いている暇なんてない、動ける限り狩って狩って狩って狩り続けろ。
――残り''20''秒。
真正面からの戦いではナコに勝てないと判断したのか、ここに来てスカル・キラーが逃げの態勢に入る。
シャドウムーブ、影から影に移動していくスキルだ。
ユースさんとモッズさんはこのスキルで背後に忍び寄られたに違いない。
気配察知に強い狩人と盗賊ですら気付くことが遅れるほどの高速移動である。
ナコも負けじと追いかけるが、またシャドウムーブにより離される。勝ちを確信したかのよう、スカル・キラーがカラカラと強く歯音を響かせた。
――残り''10''秒。
なにかを決した表情でナコが立ち止まる。
そして、首もとを擦りながら僕の方を向いて――笑った。
その笑顔に頷き返す、僕はナコの言葉を信じている。
ナコがハッピーを天に掲げ、ゆっくりと目を閉じた。
――''3''、''2''、''1''。
プツン、と。
操り人形の糸が切れたように、ナコが重力に導かれるまま崩れ落ちていく。
その姿を見てカラカラと嘲笑い、スカル・キラーが一直線にナコのもとへと駆け走った。
ざまあみろと言わんばかりに、手こずらせた相手に追い打ちと言わんばかりに、サーベルを振りかざしナコの首を刈り取ろうとした。
「お前だったら、そう来ると思っていました」
地に横たわる寸前、ナコが身を翻す。
予測不可能な事態に驚愕したのか、スカル・キラーが全身を怯ませる。骨だけの無表情な顔付きが目を見開いたかのように見えた。
カウンター、ナコがスカル・キラーの中心を一閃する。
「無限闇斬っ!」
追撃、追撃、追撃の嵐。
有無を言わさぬ高速連撃、スカル・キラーの身体が木っ端微塵になる。
砕けた骨はサラサラと灰となり、鎧の破片だけが周囲に散らばっていった。
秒針が一周する直前、コンマ何秒の世界線、カウントはとまっていたのだ。
絶望が訪れる瞬間、僕だけは絶命していないと気付いていた。
奴隷輪による契約の効果だろう、ナコと繋がっている感覚が途切れていなかったからだ。
死闘の決着、ナコが僕のもとへと駆け寄り、
「ただいま、クーラ」
22
お気に入りに追加
413
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
断罪済み悪役令嬢に憑依したけど、ネトゲの自キャラ能力が使えたので逃げ出しました
八華
ファンタジー
断罪済みの牢の中で悪役令嬢と意識が融合してしまった主人公。
乙女ゲームストーリー上、待っているのは破滅のみ。
でも、なぜか地球でやっていたオンラインゲームキャラの能力が使えるみたいで……。
ゲームキャラチートを利用して、あっさり脱獄成功。
王都の街で色んな人と出会いながら、現実世界への帰還を目指します!

【書籍化】パーティー追放から始まる収納無双!~姪っ子パーティといく最強ハーレム成り上がり~
くーねるでぶる(戒め)
ファンタジー
【24年11月5日発売】
その攻撃、収納する――――ッ!
【収納】のギフトを賜り、冒険者として活躍していたアベルは、ある日、一方的にパーティから追放されてしまう。
理由は、マジックバッグを手に入れたから。
マジックバッグの性能は、全てにおいてアベルの【収納】のギフトを上回っていたのだ。
これは、3度にも及ぶパーティ追放で、すっかり自信を見失った男の再生譚である。

異世界から帰ってきた勇者は既に擦り切れている。
暁月ライト
ファンタジー
魔王を倒し、邪神を滅ぼし、五年の冒険の果てに役割を終えた勇者は地球へと帰還する。 しかし、遂に帰還した地球では何故か三十年が過ぎており……しかも、何故か普通に魔術が使われており……とはいえ最強な勇者がちょっとおかしな現代日本で無双するお話です。
1×∞(ワンバイエイト) 経験値1でレベルアップする俺は、最速で異世界最強になりました!
マツヤマユタカ
ファンタジー
23年5月22日にアルファポリス様より、拙著が出版されました!そのため改題しました。
今後ともよろしくお願いいたします!
トラックに轢かれ、気づくと異世界の自然豊かな場所に一人いた少年、カズマ・ナカミチ。彼は事情がわからないまま、仕方なくそこでサバイバル生活を開始する。だが、未経験だった釣りや狩りは妙に上手くいった。その秘密は、レベル上げに必要な経験値にあった。実はカズマは、あらゆるスキルが経験値1でレベルアップするのだ。おかげで、何をやっても簡単にこなせて――。異世界爆速成長系ファンタジー、堂々開幕!
タイトルの『1×∞』は『ワンバイエイト』と読みます。
男性向けHOTランキング1位!ファンタジー1位を獲得しました!【22/7/22】
そして『第15回ファンタジー小説大賞』において、奨励賞を受賞いたしました!【22/10/31】
アルファポリス様より出版されました!現在第四巻まで発売中です!
コミカライズされました!公式漫画タブから見られます!【24/8/28】
*****************************
***毎日更新しています。よろしくお願いいたします。***
*****************************
マツヤマユタカ名義でTwitterやってます。
見てください。

クラス転移で無能判定されて追放されたけど、努力してSSランクのチートスキルに進化しました~【生命付与】スキルで異世界を自由に楽しみます~
いちまる
ファンタジー
ある日、クラスごと異世界に召喚されてしまった少年、天羽イオリ。
他のクラスメートが強力なスキルを発現させてゆく中、イオリだけが最低ランクのEランクスキル【生命付与】の持ち主だと鑑定される。
「無能は不要だ」と判断した他の生徒や、召喚した張本人である神官によって、イオリは追放され、川に突き落とされた。
しかしそこで、川底に沈んでいた謎の男の力でスキルを強化するチャンスを得た――。
1千年の努力とともに、イオリのスキルはSSランクへと進化!
自分を拾ってくれた田舎町のアイテムショップで、チートスキルをフル稼働!
「転移者が世界を良くする?」
「知らねえよ、俺は異世界を自由気ままに楽しむんだ!」
追放された少年の第2の人生が、始まる――!
※本作品は他サイト様でも掲載中です。
役立たずと言われダンジョンで殺されかけたが、実は最強で万能スキルでした !
本条蒼依
ファンタジー
地球とは違う異世界シンアースでの物語。
主人公マルクは神聖の儀で何にも反応しないスキルを貰い、絶望の淵へと叩き込まれる。
その役に立たないスキルで冒険者になるが、役立たずと言われダンジョンで殺されかけるが、そのスキルは唯一無二の万能スキルだった。
そのスキルで成り上がり、ダンジョンで裏切った人間は落ちぶれざまあ展開。
主人公マルクは、そのスキルで色んなことを解決し幸せになる。
ハーレム要素はしばらくありません。

最遅で最強のレベルアップ~経験値1000分の1の大器晩成型探索者は勤続10年目10度目のレベルアップで覚醒しました!~
ある中管理職
ファンタジー
勤続10年目10度目のレベルアップ。
人よりも貰える経験値が極端に少なく、年に1回程度しかレベルアップしない32歳の主人公宮下要は10年掛かりようやくレベル10に到達した。
すると、ハズレスキル【大器晩成】が覚醒。
なんと1回のレベルアップのステータス上昇が通常の1000倍に。
チートスキル【ステータス上昇1000】を得た宮下はこれをきっかけに、今まで出会う事すら想像してこなかったモンスターを討伐。
探索者としての知名度や地位を一気に上げ、勤めていた店は討伐したレアモンスターの肉と素材の販売で大繁盛。
万年Fランクの【永遠の新米おじさん】と言われた宮下の成り上がり劇が今幕を開ける。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる