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クエスト攻略ランクアップ編
58話 瞬殺します
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サマロが走り、叫び続ける。
「来やがれ、クソ蜘蛛がぁああああっ!」
怒号により、ハイスパイダーの注意がサマロに強制固定される。
そのタイミングを見計らいナコがハイスパイダーに向かって激走、黒い波動を全身にまとい流星のごとく突き進んだ。
正直、この作戦に対して不安は全くなかった。
日々桁違いに強くなっていくナコ、ハイスパイダー相手ならば単独でも勝てる可能性があると考えていた。
怒号による強制的な固定、1秒、2秒、3秒、1秒、2秒、3秒、
「……いやいや、黒猫。お前、本気かよ?」
3回目の怒号を発動する前に、サマロが驚愕の表情で立ち止まる。
ナコは僕の想像を遥かに超えていた。
2回目の怒号の時間内、ハイスパイダーの動きが完全に停止する。
――機動力を減少させるどころの話ではない。
恐るべき速度、俊敏で的確な動き、この僅かな時間でナコはハイスパイダーの足を全て斬り裂いたのだ。
「とどめを刺します」
ハッピーを振りかぶり、ハイスパイダーの脳天を突き刺す。
紫色の血が大量に噴出し、断末魔と思わしき雄叫びが第三層に響き渡った。作戦内容を上回る勝利ではあるが、このネームドの最も恐ろしい点は撃破してからにある。
僕は即座にナコを触手で絡め抱き寄せ、岩場の陰に身を滑り込ます。
「サマロもハイスパイダーから距離を取って! どこか岩場を盾にして隠れるんだ!」
「お、おうっ!」
僕の行動にナコが首を傾げる。
「クーラ?」
「ナコ、モンスターは最後の最後まで油断しちゃいけないよ」
ハイスパイダーの亡骸が震え出す。
数秒後、風船のような破裂音と共に、周囲に毒液を撒き散らしながら四散した。
安心したところに仕掛けてくるタチの悪い最終攻撃、実はこの死体トラップはゲーム時にもあったのだ。
この毒は普通のアイテムや状態異常を回復する魔法では解毒不可な毒となっており、受けてしまうとダンジョンを出る前にHPが尽きて死ぬという初見殺しがある。
……初回、ニャニャンと挑んでやられたなぁ。
鬼のように減っていくHPに笑い合った記憶がある。リアルとなった今は笑えるはずもない。
しかし、機動力を奪いにいくどころか一瞬でとどめまで刺してしまうとは予想だにしていなかった。作戦内容は一転したが――結果オーライとしておこう。
ナコがハイスパイダーの最後の悪あがきを見て、
「クーラはやっぱりすごいです。クーラがいなかったら死んでいました」
「ナコの方がすごいよ。ハイスパイダーを一人で倒したんだから」
知識は無駄にはならない。
イレギュラーは多々存在するけれど、既存のモンスターの動きは記憶にあるままのことがほとんどだ。
はたして、この知識はどこまで活用できるのだろう。僕たちの力はどこまで通じるのだろう。
王都エレメントまでの道のりはまだ遠い。
「来やがれ、クソ蜘蛛がぁああああっ!」
怒号により、ハイスパイダーの注意がサマロに強制固定される。
そのタイミングを見計らいナコがハイスパイダーに向かって激走、黒い波動を全身にまとい流星のごとく突き進んだ。
正直、この作戦に対して不安は全くなかった。
日々桁違いに強くなっていくナコ、ハイスパイダー相手ならば単独でも勝てる可能性があると考えていた。
怒号による強制的な固定、1秒、2秒、3秒、1秒、2秒、3秒、
「……いやいや、黒猫。お前、本気かよ?」
3回目の怒号を発動する前に、サマロが驚愕の表情で立ち止まる。
ナコは僕の想像を遥かに超えていた。
2回目の怒号の時間内、ハイスパイダーの動きが完全に停止する。
――機動力を減少させるどころの話ではない。
恐るべき速度、俊敏で的確な動き、この僅かな時間でナコはハイスパイダーの足を全て斬り裂いたのだ。
「とどめを刺します」
ハッピーを振りかぶり、ハイスパイダーの脳天を突き刺す。
紫色の血が大量に噴出し、断末魔と思わしき雄叫びが第三層に響き渡った。作戦内容を上回る勝利ではあるが、このネームドの最も恐ろしい点は撃破してからにある。
僕は即座にナコを触手で絡め抱き寄せ、岩場の陰に身を滑り込ます。
「サマロもハイスパイダーから距離を取って! どこか岩場を盾にして隠れるんだ!」
「お、おうっ!」
僕の行動にナコが首を傾げる。
「クーラ?」
「ナコ、モンスターは最後の最後まで油断しちゃいけないよ」
ハイスパイダーの亡骸が震え出す。
数秒後、風船のような破裂音と共に、周囲に毒液を撒き散らしながら四散した。
安心したところに仕掛けてくるタチの悪い最終攻撃、実はこの死体トラップはゲーム時にもあったのだ。
この毒は普通のアイテムや状態異常を回復する魔法では解毒不可な毒となっており、受けてしまうとダンジョンを出る前にHPが尽きて死ぬという初見殺しがある。
……初回、ニャニャンと挑んでやられたなぁ。
鬼のように減っていくHPに笑い合った記憶がある。リアルとなった今は笑えるはずもない。
しかし、機動力を奪いにいくどころか一瞬でとどめまで刺してしまうとは予想だにしていなかった。作戦内容は一転したが――結果オーライとしておこう。
ナコがハイスパイダーの最後の悪あがきを見て、
「クーラはやっぱりすごいです。クーラがいなかったら死んでいました」
「ナコの方がすごいよ。ハイスパイダーを一人で倒したんだから」
知識は無駄にはならない。
イレギュラーは多々存在するけれど、既存のモンスターの動きは記憶にあるままのことがほとんどだ。
はたして、この知識はどこまで活用できるのだろう。僕たちの力はどこまで通じるのだろう。
王都エレメントまでの道のりはまだ遠い。
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