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クエスト攻略ランクアップ編
52話 ナコさんご立腹 その3
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突然の騒ぎに、冒険所内がザワつく。
ユーリさんもどうにかしてと僕に視線で訴えてくるが、すでに手遅れ――相手側も臨戦態勢に入っている。
ギルドリーダーであろう男がナコに詰め寄り、
「なんだぁ、このクソ猫はっ!? 俺たちギルドのランクわかってぶつかってきてるのか? "Eisen"はBランクだぞっ!」
「ランクだってクーラの方がずっとずっと上だ! それにお前たちなんかより遥かに強いっ!!」
「はぁ? 王都エレメントならまだしもな、今ウィンウィンに"Eisen"以上のランクなんかいないっての。戯言はどうでもいいが、最後の一言が気に食わないな――俺たちより強いだと?」
武器の形状から察するに――剣士か。
オンリー・テイルに置いてオーソドックスな前衛職、攻防共に安定しているためパーティーの中核として機能しやすいジョブだ。
僕はナコの肩を引き寄せて耳打ちする。
「ナコ、相手にしなくていい」
「……ご、ごめんなさい」
このまま、騒ぎ立てたところでプラスにはならない。
腕っぷしの強さが主となる冒険者といえども品性は必要だ。冒険所内の評価を冒険以外のところで落としても無駄でしかない。
それは"Eisen"も一緒だろう、帰ろうとする僕たちを睨み付けてくる。
「はっ! さっさと消えろクソ猫、貴族の高級玩具風情がっ!」
去り際に男の放った一言、その言葉だけは看過できなかった。
「おい」
「なんだ? まだなにか言いたいことでも」
「僕の仲間に対する今の発言――撤回しろ」
「……っ!」
僕は触手を展開し、男の額に突き付ける。
体内から木端微塵にしてやりたいところだったが、かろうじてのところで僕の理性がそれをとどめる。
反応すらできず、男はただ両手を掲げる。
男の額から流れ落ちる血、触手の切っ先を突き刺したのはいつでも殺せるという遠回しな威嚇だ。
「……い、今のは、俺が悪かった。引いてくれ」
「行くよ、ナコ」
僕はユーリさんに頭を下げ、冒険所をあとにした。
ユーリさんもどうにかしてと僕に視線で訴えてくるが、すでに手遅れ――相手側も臨戦態勢に入っている。
ギルドリーダーであろう男がナコに詰め寄り、
「なんだぁ、このクソ猫はっ!? 俺たちギルドのランクわかってぶつかってきてるのか? "Eisen"はBランクだぞっ!」
「ランクだってクーラの方がずっとずっと上だ! それにお前たちなんかより遥かに強いっ!!」
「はぁ? 王都エレメントならまだしもな、今ウィンウィンに"Eisen"以上のランクなんかいないっての。戯言はどうでもいいが、最後の一言が気に食わないな――俺たちより強いだと?」
武器の形状から察するに――剣士か。
オンリー・テイルに置いてオーソドックスな前衛職、攻防共に安定しているためパーティーの中核として機能しやすいジョブだ。
僕はナコの肩を引き寄せて耳打ちする。
「ナコ、相手にしなくていい」
「……ご、ごめんなさい」
このまま、騒ぎ立てたところでプラスにはならない。
腕っぷしの強さが主となる冒険者といえども品性は必要だ。冒険所内の評価を冒険以外のところで落としても無駄でしかない。
それは"Eisen"も一緒だろう、帰ろうとする僕たちを睨み付けてくる。
「はっ! さっさと消えろクソ猫、貴族の高級玩具風情がっ!」
去り際に男の放った一言、その言葉だけは看過できなかった。
「おい」
「なんだ? まだなにか言いたいことでも」
「僕の仲間に対する今の発言――撤回しろ」
「……っ!」
僕は触手を展開し、男の額に突き付ける。
体内から木端微塵にしてやりたいところだったが、かろうじてのところで僕の理性がそれをとどめる。
反応すらできず、男はただ両手を掲げる。
男の額から流れ落ちる血、触手の切っ先を突き刺したのはいつでも殺せるという遠回しな威嚇だ。
「……い、今のは、俺が悪かった。引いてくれ」
「行くよ、ナコ」
僕はユーリさんに頭を下げ、冒険所をあとにした。
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