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クエスト攻略ランクアップ編
46話 嫌い
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グリーンラム草原。
ウィンウィンに着くまでの道中も通ったエリアだ。
ここには毛がモコモコとした可愛い羊がいっぱいいて、ナコが嬉しそうに羊を触っていた。特に牙を剥いたりする危険性はないモンスターなので、観光気分でウィンウィンまでの旅路を途中までは楽しく歩んだ記憶がよみがえる。
――そう、途中までだ。
現実は驚くほど非情であり、数日後には手持ちの食料が完全に尽きる。
観光気分どころではなく、最初は道すがら生えている野草を食べながらなんとか耐えていた。
空腹レベルが上がるに連れ、羊たちが少しずつ食料に見えてくる。
苦渋の決断だった。
安全度が高い道中とはいえど、万が一に備えて身体だけはしっかり整えないといけない。
「……食べよう」
「クーラ、本気ですか?」
「お腹が空いて死にそうだ。今の気分は完全にラムステーキ」
「……覚悟を決めます」
美味かった。
正直、極限状態で食べるお肉は――死ぬほど美味かった。このエリアの羊を見ると味の感想しかでてこないまである。
旅を重ねるに連れて、僕たちは色々な面でたくましくなっていく。
今回は以前のように、極限状態に追い詰められる可能性は低い。
バッチリとした下準備、現地調達で羊を狩る必要もない。目的地までは往復二日くらいで事足りるだろう。
ナコは通りがかりの羊をモフモフしながら、
「クーラ、フラリシアはどこに咲いているんですか?」
「グリーンラム草原の真ん中辺りだよ。植物系のモンスターに注意しながら行こうか」
僕はマップを開き、大まかな場所を指し示す。
ゲーム時、収集クエストは何度も受けたことがある。初期のころはこうした安全度の高いクエストばかりだった。
自身のレベルが上がるに連れて強いモンスターの討伐メインになっていったけれど。
フラリシアを摘みに行く道中、ナコが植物系のモンスターに飲み込まれたり、混乱させられたりと慌ただしくはあったが、無事に目的地へと到着する。
フラリシアだけでなく多種多彩な花々が咲き乱れる場所、ここは『風の精霊の遊び場』とも称されており、不思議なことにグリーンラム草原の中心に向かって風が集中して吹いていた。
色々な種が飛んで来るせいか、そこはいわゆる――お花畑だった。
「わぁ、キレイです」
ナコが目を輝かせながらお花畑に駆け寄って行く。
風の精霊の遊び場はカップルが集まるデートスポットとして有名だった。
ある日ラミュアがオンリー・テイル内にて彼女ができたというので、ニャニャンと一緒にこっそりデート姿を見物しに行った記憶がある。
ラミュアが「君の瞳はグレイシス」とかわけのわからないことを花畑の中心で周囲に向かって誤爆していたなぁ。
と、思い出を振り返っている場合ではなかった。
ここは一見華やかなため安全そうに感じるが、モンスターが生息するフィールド内でもあるのだ。
クエストとして出回るくらいだから、戦闘経験がないとたどり着くのも難しいだろう。
「ナコ、植物系のモンスターが擬態しているから気を付けて」
「すいません、助けてください」
「もう捕まってるっ?!」
片足を縛られ、宙吊り状態となっていた。
少し恥ずかしいのか、必死に両手でスカートの裾を抑えて抵抗している。
基本的に植物系モンスターは弱い部類に入るのだが、状態異常や行動を制限してくる攻撃が多い。
こいつは、花に擬態したタイプの植物系モンスターだろう。
頭頂部に取って付けたような小さい花、球根に似た大きい本体は地中に潜ませて獲物を待っていたに違いない。
あたふたとするナコが可愛いので、ついつい僕は黙って見続けてしまう。
スクショスクショ――あ、今はないんだった。
「クーラ、どうして笑顔なんですか?」
「なんか微笑ましいなぁって」
「……嫌い」
「嫌いにならないでっ?! すぐ助けるからっ!」
ウィンウィンに着くまでの道中も通ったエリアだ。
ここには毛がモコモコとした可愛い羊がいっぱいいて、ナコが嬉しそうに羊を触っていた。特に牙を剥いたりする危険性はないモンスターなので、観光気分でウィンウィンまでの旅路を途中までは楽しく歩んだ記憶がよみがえる。
――そう、途中までだ。
現実は驚くほど非情であり、数日後には手持ちの食料が完全に尽きる。
観光気分どころではなく、最初は道すがら生えている野草を食べながらなんとか耐えていた。
空腹レベルが上がるに連れ、羊たちが少しずつ食料に見えてくる。
苦渋の決断だった。
安全度が高い道中とはいえど、万が一に備えて身体だけはしっかり整えないといけない。
「……食べよう」
「クーラ、本気ですか?」
「お腹が空いて死にそうだ。今の気分は完全にラムステーキ」
「……覚悟を決めます」
美味かった。
正直、極限状態で食べるお肉は――死ぬほど美味かった。このエリアの羊を見ると味の感想しかでてこないまである。
旅を重ねるに連れて、僕たちは色々な面でたくましくなっていく。
今回は以前のように、極限状態に追い詰められる可能性は低い。
バッチリとした下準備、現地調達で羊を狩る必要もない。目的地までは往復二日くらいで事足りるだろう。
ナコは通りがかりの羊をモフモフしながら、
「クーラ、フラリシアはどこに咲いているんですか?」
「グリーンラム草原の真ん中辺りだよ。植物系のモンスターに注意しながら行こうか」
僕はマップを開き、大まかな場所を指し示す。
ゲーム時、収集クエストは何度も受けたことがある。初期のころはこうした安全度の高いクエストばかりだった。
自身のレベルが上がるに連れて強いモンスターの討伐メインになっていったけれど。
フラリシアを摘みに行く道中、ナコが植物系のモンスターに飲み込まれたり、混乱させられたりと慌ただしくはあったが、無事に目的地へと到着する。
フラリシアだけでなく多種多彩な花々が咲き乱れる場所、ここは『風の精霊の遊び場』とも称されており、不思議なことにグリーンラム草原の中心に向かって風が集中して吹いていた。
色々な種が飛んで来るせいか、そこはいわゆる――お花畑だった。
「わぁ、キレイです」
ナコが目を輝かせながらお花畑に駆け寄って行く。
風の精霊の遊び場はカップルが集まるデートスポットとして有名だった。
ある日ラミュアがオンリー・テイル内にて彼女ができたというので、ニャニャンと一緒にこっそりデート姿を見物しに行った記憶がある。
ラミュアが「君の瞳はグレイシス」とかわけのわからないことを花畑の中心で周囲に向かって誤爆していたなぁ。
と、思い出を振り返っている場合ではなかった。
ここは一見華やかなため安全そうに感じるが、モンスターが生息するフィールド内でもあるのだ。
クエストとして出回るくらいだから、戦闘経験がないとたどり着くのも難しいだろう。
「ナコ、植物系のモンスターが擬態しているから気を付けて」
「すいません、助けてください」
「もう捕まってるっ?!」
片足を縛られ、宙吊り状態となっていた。
少し恥ずかしいのか、必死に両手でスカートの裾を抑えて抵抗している。
基本的に植物系モンスターは弱い部類に入るのだが、状態異常や行動を制限してくる攻撃が多い。
こいつは、花に擬態したタイプの植物系モンスターだろう。
頭頂部に取って付けたような小さい花、球根に似た大きい本体は地中に潜ませて獲物を待っていたに違いない。
あたふたとするナコが可愛いので、ついつい僕は黙って見続けてしまう。
スクショスクショ――あ、今はないんだった。
「クーラ、どうして笑顔なんですか?」
「なんか微笑ましいなぁって」
「……嫌い」
「嫌いにならないでっ?! すぐ助けるからっ!」
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