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魔法少女遭遇編
15話 ファーポッシ村
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ガルフを無事攻略。
道中、僕たちはファーポッシ村へと足を運んだ。
僕の顔を見るなり、先ほどのミミモケ族の一人――ウサギ耳さんが僕に向かって駆け寄って来る。続いて、村人が総出で出迎えてくれた。
人族だからと特に敵対された様子もない。歓迎ぶりから察するに、経緯を全て話してくれていたのだろう。
「お姉様、よくぞご無事で!」
「あぁ、君も無事に到着していてよかったよ」
「飛車をそのまま置いていただけたので難なく村に到着できました。私以外の他の皆は今ゆっくりと休んでおります。そちらの子も助け出せたようで――って、お怪我は大丈夫ですか?!」
ナコちゃんの姿を見るなり、ウサギ耳さんが驚いた顔をする。
「途中でガルフの大群に襲われてね。返り血だから大丈夫だよ」
「……ガルフの大群、ですか。最近ガルフが活発になっているようで、そこら中から目撃情報が入っていると村の人から聞きました。生息域もかなり変わっていて困っていると言っていましたね」
やはり、なにかあったのだろうか。
考えられる原因として、ガルフを脅かす『敵』が現れている? もしかすると『ネームド』が生まれている?
ネームドとは、普通の個体より格段に強いモンスターのことを指す。
この近辺は初心者がレベル上げをする場所でもある。
初見殺しのガルフが最初の難関で、ある意味ネームドの代わりを果たしていた。
エリア的に本物のネームドモンスターがいるわけ――いや、そういった固定概念を持つのは危険か。
もしかすると、別の場所から流れて来たという可能性だってある。先ほどのガルフの例、イレギュラーも加味しつつ思考を巡らせるに越したことはない。
「……様? お姉様?」
「わぁ、ごめん。考えごとしちゃってたよ」
「お姉様、かなり疲労が溜まっている様子と見られます。それに、汚れた姿のままではご不快でしょう。よろしければご入浴なされませんか? その間にお食事の用意もいたしますので」
至れり尽くせりの提案に思わず喉が鳴る。
僕たちは逃亡者の身、コールディンが追手を放っていたとしたら、村に迷惑をかけてしまう可能性がある。
ここに立ち寄ったのは彼女たちが無事に到着していたかの安否確認だけだ。その後、すぐに村を立ち去る予定だった。
黙り込む僕に対し、ウサギ耳さんは柔らかい笑顔で、
「お姉様、懸念していることは理解できます。少しの間でもいいので、なにかご恩を返させてください。あなたもお風呂入りたいですよね?」
「……っ?!」
ナコちゃんがそっと僕の背中に隠れる。
人見知り? いや、この反応は――まだこの世界の人たちが怖いのだろう。
ウサギ耳さんはそんなナコちゃんの様子を感じ取ってか、
「奴隷商に連れて来られて、怖かったですよね。私の名前はミミ、もう一度会うことができて嬉しいです」
「……ナコです」
「ナコさんですね。あの時は話しかけられなくてごめんなさい、あのお店の奴隷輪の誓約で声をだすことすら禁じられていたんです」
そう、だったのか。
奴隷という扱いのひどさに吐き気がしてくる。だが、この世界では日常として成り立っているのだ。
当たり前の一部を崩すなら、国の根本を変えていかねばならない。今の僕ではナコちゃん一人守り抜くのが精一杯――夢物語な話だ。
まだ幼いナコちゃん、せめて環境のいい場所を与えてあげたい。
「……ミミさん。さっきの話、お言葉に甘えてもいいかな?」
「あはっ、お姉様に初めて名前で呼ばれちゃいました」
ミミさんが嬉しそうに微笑む。
「あの時は自己紹介する余裕なんてなかったからね」
「あとでゆっくりお話しましょう。それではお風呂はこちらになります、私のあとに付いて来てください」
道中、僕たちはファーポッシ村へと足を運んだ。
僕の顔を見るなり、先ほどのミミモケ族の一人――ウサギ耳さんが僕に向かって駆け寄って来る。続いて、村人が総出で出迎えてくれた。
人族だからと特に敵対された様子もない。歓迎ぶりから察するに、経緯を全て話してくれていたのだろう。
「お姉様、よくぞご無事で!」
「あぁ、君も無事に到着していてよかったよ」
「飛車をそのまま置いていただけたので難なく村に到着できました。私以外の他の皆は今ゆっくりと休んでおります。そちらの子も助け出せたようで――って、お怪我は大丈夫ですか?!」
ナコちゃんの姿を見るなり、ウサギ耳さんが驚いた顔をする。
「途中でガルフの大群に襲われてね。返り血だから大丈夫だよ」
「……ガルフの大群、ですか。最近ガルフが活発になっているようで、そこら中から目撃情報が入っていると村の人から聞きました。生息域もかなり変わっていて困っていると言っていましたね」
やはり、なにかあったのだろうか。
考えられる原因として、ガルフを脅かす『敵』が現れている? もしかすると『ネームド』が生まれている?
ネームドとは、普通の個体より格段に強いモンスターのことを指す。
この近辺は初心者がレベル上げをする場所でもある。
初見殺しのガルフが最初の難関で、ある意味ネームドの代わりを果たしていた。
エリア的に本物のネームドモンスターがいるわけ――いや、そういった固定概念を持つのは危険か。
もしかすると、別の場所から流れて来たという可能性だってある。先ほどのガルフの例、イレギュラーも加味しつつ思考を巡らせるに越したことはない。
「……様? お姉様?」
「わぁ、ごめん。考えごとしちゃってたよ」
「お姉様、かなり疲労が溜まっている様子と見られます。それに、汚れた姿のままではご不快でしょう。よろしければご入浴なされませんか? その間にお食事の用意もいたしますので」
至れり尽くせりの提案に思わず喉が鳴る。
僕たちは逃亡者の身、コールディンが追手を放っていたとしたら、村に迷惑をかけてしまう可能性がある。
ここに立ち寄ったのは彼女たちが無事に到着していたかの安否確認だけだ。その後、すぐに村を立ち去る予定だった。
黙り込む僕に対し、ウサギ耳さんは柔らかい笑顔で、
「お姉様、懸念していることは理解できます。少しの間でもいいので、なにかご恩を返させてください。あなたもお風呂入りたいですよね?」
「……っ?!」
ナコちゃんがそっと僕の背中に隠れる。
人見知り? いや、この反応は――まだこの世界の人たちが怖いのだろう。
ウサギ耳さんはそんなナコちゃんの様子を感じ取ってか、
「奴隷商に連れて来られて、怖かったですよね。私の名前はミミ、もう一度会うことができて嬉しいです」
「……ナコです」
「ナコさんですね。あの時は話しかけられなくてごめんなさい、あのお店の奴隷輪の誓約で声をだすことすら禁じられていたんです」
そう、だったのか。
奴隷という扱いのひどさに吐き気がしてくる。だが、この世界では日常として成り立っているのだ。
当たり前の一部を崩すなら、国の根本を変えていかねばならない。今の僕ではナコちゃん一人守り抜くのが精一杯――夢物語な話だ。
まだ幼いナコちゃん、せめて環境のいい場所を与えてあげたい。
「……ミミさん。さっきの話、お言葉に甘えてもいいかな?」
「あはっ、お姉様に初めて名前で呼ばれちゃいました」
ミミさんが嬉しそうに微笑む。
「あの時は自己紹介する余裕なんてなかったからね」
「あとでゆっくりお話しましょう。それではお風呂はこちらになります、私のあとに付いて来てください」
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