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魔法少女遭遇編
09話 決戦 その2
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「わ、わわ、私の護衛がぁあああっ! あなたは大丈夫ですよね? あなたにだけは高い報酬を前払いしているんだ! だ、だだ、大丈夫ですよね?!」
「後ろでギャンギャンうるせえぞクソ肉団子! 気が散るだろうが、少し黙れやっ!!」
「ぐぴゃ、あびひぃっ!」
カード師の男がコールディンに裏拳を繰り出す。
その勢いのまま、コールディンが地面を二転三転、大の字にて動かなくなった。
雇い主を殴るなんてめちゃくちゃだな。
うるさいという点は同感だったので心中ナイスと呟いておく。
「俺の攻撃を防いだ物体、あの触手は見間違いじゃなかったってわけだな。お前、やっぱり触術師か」
「ご明察、君も中々に博識だね」
「ひゃはっ! レアにもほどがあるだろ、面白すぎるぞっ!」
最早、隠す必要もない。
これから、お互いの持つ手札をさらけ出し合い――始まるのだ。
猫耳の子を奪い合う戦いが。
ゲーム時はストーンヴァイスに向かう道中、この付近の適正レベルは7~8くらいだったはずだ。
先ほど倒した護衛二人、僕と同レベル帯ならば――人数的に僕が不利になってもおかしくはなかった。
明らかに護衛が弱すぎる。
勢いだけは激しく世紀末ばりだったが、装備から察するに二人共レベル1だったとか? いやいや、戦闘を生業に護衛という仕事をしているのに? そもそも、プレイヤー以外にレベルという概念はあるのか? 仮にレベルがあったとしてもプレイヤーほどのステータスではないのか?
色々な憶測が脳内で飛び交う。
全てがゲームと同じという概念は捨て去った方がいいのかもしれない。まだまだ情報は少ないのだ。
だが、現状一つだけ理解できることはある。
先ほどの鋭い不意打ち、コールディンの話の内容から察するに、このカード師だけは甘く見てはいけないだろう。
別格の威圧感、立ち振る舞い。
もしかすると、カード師は――僕は雪だるまフードをはずし、正々堂々対峙する。
「はっ、整った面してるじゃねえか。先に言っておくが、俺は女が相手だからといって手加減はしねえぞ?」
「この状況で性別なんて関係ないさ。視界不十分で勝てる相手とは思えなくてね、お互いに自身の欲求を貫き通す限り勝ち負けはハッキリさせないと駄目だろう」
賊と護衛の立場だ。
どう捉えても――状況的には僕が悪である。だからといって、今さら引くわけにもいかない。
全てを理解しつつ、僕はこの場に立っているのだ。
「今から戦闘になる。少しだけ僕から離れていてくれるかな? えーと」
「織恵円香です。あっ、ゲーム名はNacoって付けました」
「ナコさんだね。可愛らしい名前だ」
安心させるよう、僕は猫耳の子に微笑みかける。
「お家の猫ちゃんと同じ名前で――ご、ごめんなさい。お話している場合じゃないですよね」
「あはは、猫ちゃん可愛いよね。ありがとう、気が紛れてリラックスできたよ」
猫耳の子は必ず助ける。
些細なやり取りだが、少し会話してみてわかった。助ける理由はプレイヤーと接触したいからというだけではなくなった。
この話し方、この幼い雰囲気、僕の予想が正しければ恐らく――、
「最後のお喋りは終わったかあ?」
「わざわざ待っててくれたのか。意外と優しいところあるんだね」
「ひゃははっ! ほざいてろ、気持ち悪い触術師さんよぉっ!」
――開戦する。
「後ろでギャンギャンうるせえぞクソ肉団子! 気が散るだろうが、少し黙れやっ!!」
「ぐぴゃ、あびひぃっ!」
カード師の男がコールディンに裏拳を繰り出す。
その勢いのまま、コールディンが地面を二転三転、大の字にて動かなくなった。
雇い主を殴るなんてめちゃくちゃだな。
うるさいという点は同感だったので心中ナイスと呟いておく。
「俺の攻撃を防いだ物体、あの触手は見間違いじゃなかったってわけだな。お前、やっぱり触術師か」
「ご明察、君も中々に博識だね」
「ひゃはっ! レアにもほどがあるだろ、面白すぎるぞっ!」
最早、隠す必要もない。
これから、お互いの持つ手札をさらけ出し合い――始まるのだ。
猫耳の子を奪い合う戦いが。
ゲーム時はストーンヴァイスに向かう道中、この付近の適正レベルは7~8くらいだったはずだ。
先ほど倒した護衛二人、僕と同レベル帯ならば――人数的に僕が不利になってもおかしくはなかった。
明らかに護衛が弱すぎる。
勢いだけは激しく世紀末ばりだったが、装備から察するに二人共レベル1だったとか? いやいや、戦闘を生業に護衛という仕事をしているのに? そもそも、プレイヤー以外にレベルという概念はあるのか? 仮にレベルがあったとしてもプレイヤーほどのステータスではないのか?
色々な憶測が脳内で飛び交う。
全てがゲームと同じという概念は捨て去った方がいいのかもしれない。まだまだ情報は少ないのだ。
だが、現状一つだけ理解できることはある。
先ほどの鋭い不意打ち、コールディンの話の内容から察するに、このカード師だけは甘く見てはいけないだろう。
別格の威圧感、立ち振る舞い。
もしかすると、カード師は――僕は雪だるまフードをはずし、正々堂々対峙する。
「はっ、整った面してるじゃねえか。先に言っておくが、俺は女が相手だからといって手加減はしねえぞ?」
「この状況で性別なんて関係ないさ。視界不十分で勝てる相手とは思えなくてね、お互いに自身の欲求を貫き通す限り勝ち負けはハッキリさせないと駄目だろう」
賊と護衛の立場だ。
どう捉えても――状況的には僕が悪である。だからといって、今さら引くわけにもいかない。
全てを理解しつつ、僕はこの場に立っているのだ。
「今から戦闘になる。少しだけ僕から離れていてくれるかな? えーと」
「織恵円香です。あっ、ゲーム名はNacoって付けました」
「ナコさんだね。可愛らしい名前だ」
安心させるよう、僕は猫耳の子に微笑みかける。
「お家の猫ちゃんと同じ名前で――ご、ごめんなさい。お話している場合じゃないですよね」
「あはは、猫ちゃん可愛いよね。ありがとう、気が紛れてリラックスできたよ」
猫耳の子は必ず助ける。
些細なやり取りだが、少し会話してみてわかった。助ける理由はプレイヤーと接触したいからというだけではなくなった。
この話し方、この幼い雰囲気、僕の予想が正しければ恐らく――、
「最後のお喋りは終わったかあ?」
「わざわざ待っててくれたのか。意外と優しいところあるんだね」
「ひゃははっ! ほざいてろ、気持ち悪い触術師さんよぉっ!」
――開戦する。
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