上 下
24 / 39

第24話 魔王様の新たな仲間候補

しおりを挟む
 碧土穂波あおとほなみ
 僕と同じくさみだれ大学二年生、サークル名『緑を愛する会』に所属しており、構内でその存在を知らないものはいないほどに有名な女子である。
 有名な理由は多々あるのだが、僕の『ラブリー卍』とは部室が隣同士ということもあってか顔を合わせることが多かった。
 コットンは碧土さんをまじまじと見ながら、

「ふわぁ、す、すごく、美人な方ですね」
「そうだね。僕もそこには同意かな――あ、目を覚ましそうだよ」

 碧土さんはゆっくりと目を開き、僕を見るや否や大きなため息を一つ、

「……目を覚ますと変態がいるなんてついてないわ」
「助けてもらっておいて開口早々ひどすぎるぅっ!」
「ごめんなさい、先に素直な感想がでてしまったわ。その顔と身体でバランスの取れていないスタイルはなにがあったの? 天音くん本気で少し気持ち悪いわよ」
「本気で少しってもう普通にただのマジだよね」
「それで、天音くんとこちらの可愛らしい女の子が助けてくれたのかしら?」
「ふぇっ? あ、わぅ、わわ、私は、氷の呪いを解除をしただけで、だ、大それたことはしてません」
「ありがとう。呪い、だったのね。急にヘビみたいな生き物に襲われて――それからの記憶が曖昧だったの」
「あ、アイスポールだと思います。え、エサと認識したものを、氷漬けにして保管する性質があります」

 ゴンザレスさん以外にも色々な魔物がいるんだなぁ。

「は、晴人様がここに来た理由は聞いていましたが、ゆ、友人の方もご一緒だったとは、嬉しい偶然ですね」
「あなた、名前はなんていうの?」
「わぅ、わ、私ですか? こ、コットンと言いますが――」

 ガシりっと、碧土さんはコットンの両肩を掴みながら、

「コットンちゃん、私と天音くんは友人ではないわ。ただ同じ大学に通うだけという間柄なだけよ」
「――ぴょえん!」
「碧土さん、コットンが怖がるからやめてよ」
「あ、そんなつもりはなかったの。コットンちゃん、ごめんなさい。簡単にまとめると私と天音くんはただ同じ敷地内で勉強しているだけ」
「まとめ方がハイセンスすぎる」

 有名な理由の一つは、この殺伐とした性格である。
 碧土穂波、彼女は圧倒的なまでに異性に対して壁を作るのだ。だが、そんな彼女に対して男性は彼女を放っておかない。
 何故かというと、ものすごく美人だからである。
 さらりと腰くらいまで伸びた艷やかな髪。端正に整った顔立ち、少しつり目がかった眼差しからは強気な印象が見受けられる。
 加えて、外見以外にも目立つ要素はエトセトラ、スポーツをやらせても万能にこなし、成績に至っては入学時に首席挨拶をこなしているあたり言うまでもないだろう。
 言わば文武両道、端的に言うならば天才美少女である。
 さらに学業とは別に芸能活動までやっており、世間的には知らない人はいないほどの大人気読者モデルでもある。
 最早、一部の隙もないステータスなのだ。
 ここまで華やかな意味で目立つ存在であれば当然か、数多の男が彼女に告白をしその数だけ玉砕したものがいる。彼女は異常なまでに異性に対して厳しいのだ。そして、男共のハートをぶち壊していくことにより――付いたあだ名は『破壊姫』。

「ところで、破壊姫さんはこれからどうするの?」
「……そのあだ名やめてくれる? そうね、天音くんを見たところかなり馴染んでいるように感じるのだけれど、その筋肉も含めて現状を教えてもらえるかしら」
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

精霊のジレンマ

さんが
ファンタジー
普通の社会人だったはずだが、気が付けば異世界にいた。アシスという精霊と魔法が存在する世界。しかし異世界転移した、瞬間に消滅しそうになる。存在を否定されるかのように。 そこに精霊が自らを犠牲にして、主人公の命を助ける。居ても居なくても変わらない、誰も覚えてもいない存在。でも、何故か精霊達が助けてくれる。 自分の存在とは何なんだ? 主人公と精霊達や仲間達との旅で、この世界の隠された秘密が解き明かされていく。 小説家になろうでも投稿しています。また閑話も投稿していますので興味ある方は、そちらも宜しくお願いします。

クラスメイトの美少女と無人島に流された件

桜井正宗
青春
 修学旅行で離島へ向かう最中――悪天候に見舞われ、台風が直撃。船が沈没した。  高校二年の早坂 啓(はやさか てつ)は、気づくと砂浜で寝ていた。周囲を見渡すとクラスメイトで美少女の天音 愛(あまね まな)が隣に倒れていた。  どうやら、漂流して流されていたようだった。  帰ろうにも島は『無人島』。  しばらくは島で生きていくしかなくなった。天音と共に無人島サバイバルをしていくのだが……クラスの女子が次々に見つかり、やがてハーレムに。  男一人と女子十五人で……取り合いに発展!?

転移想像 ~理想郷を再現するために頑張ります~

すなる
ファンタジー
ゼネコン勤務のサラリーマンが祖父の遺品を整理している中で突如異世界に転移してしまう。 若き日の祖父が言い残した言葉に導かれ、未知の世界で奮闘する物語。 魔法が存在する異世界で常識にとらわれず想像力を武器に無双する。 人間はもちろん、獣人や亜人、エルフ、神、魔族など10以上の種族と魔物も存在する世界で 出会った仲間達とともにどんな種族でも平和に暮らせる街づくりを目指し奮闘する。 その中で図らずも世界の真実を解き明かしていく。

性的に襲われそうだったので、男であることを隠していたのに、女性の本能か男であることがバレたんですが。

狼狼3
ファンタジー
男女比1:1000という男が極端に少ない魔物や魔法のある異世界に、彼は転生してしまう。 街中を歩くのは女性、女性、女性、女性。街中を歩く男は滅多に居ない。森へ冒険に行こうとしても、襲われるのは魔物ではなく女性。女性は男が居ないか、いつも目を光らせている。 彼はそんな世界な為、男であることを隠して女として生きる。(フラグ)

目覚めた世界は異世界化? ~目が覚めたら十年後でした~

白い彗星
ファンタジー
十年という年月が、彼の中から奪われた。 目覚めた少年、達志が目にしたのは、自分が今までに見たことのない世界。見知らぬ景色、人ならざる者……まるで、ファンタジーの中の異世界のような世界が、あった。 今流行りの『異世界召喚』!? そう予想するが、衝撃の真実が明かされる! なんと達志は十年もの間眠り続け、その間に世界は魔法ありきのファンタジー世界になっていた!? 非日常が日常となった世界で、現実を生きていくことに。 大人になった幼なじみ、新しい仲間、そして…… 十年もの時間が流れた世界で、世界に取り残された達志。しかし彼は、それでも動き出した時間を手に、己の足を進めていく。 エブリスタで投稿していたものを、中身を手直しして投稿しなおしていきます! エブリスタ、小説家になろう、ノベルピア、カクヨムでも、投稿してます!

男女比の狂った世界で愛を振りまく

キョウキョウ
恋愛
男女比が1:10という、男性の数が少ない世界に転生した主人公の七沢直人(ななさわなおと)。 その世界の男性は無気力な人が多くて、異性その恋愛にも消極的。逆に、女性たちは恋愛に飢え続けていた。どうにかして男性と仲良くなりたい。イチャイチャしたい。 直人は他の男性たちと違って、欲求を強く感じていた。女性とイチャイチャしたいし、楽しく過ごしたい。 生まれた瞬間から愛され続けてきた七沢直人は、その愛を周りの女性に返そうと思った。 デートしたり、手料理を振る舞ったり、一緒に趣味を楽しんだりする。その他にも、色々と。 本作品は、男女比の異なる世界の女性たちと積極的に触れ合っていく様子を描く物語です。 ※カクヨムにも掲載中の作品です。

ペーパードライバーが車ごと異世界転移する話

ぐだな
ファンタジー
車を買ったその日に事故にあった島屋健斗(シマヤ)は、どういう訳か車ごと異世界へ転移してしまう。 異世界には剣と魔法があるけれど、信号機もガソリンも無い!危険な魔境のど真ん中に放り出された島屋は、とりあえずカーナビに頼るしかないのだった。 「目的地を設定しました。ルート案内に従って走行してください」 異世界仕様となった車(中古車)とペーパードライバーの運命はいかに…

~唯一王の成り上がり~ 外れスキル「精霊王」の俺、パーティーを首になった瞬間スキルが開花、Sランク冒険者へと成り上がり、英雄となる

静内燕
ファンタジー
【カクヨムコン最終選考進出】 【複数サイトでランキング入り】 追放された主人公フライがその能力を覚醒させ、成り上がりっていく物語 主人公フライ。 仲間たちがスキルを開花させ、パーティーがSランクまで昇華していく中、彼が与えられたスキルは「精霊王」という伝説上の生き物にしか対象にできない使用用途が限られた外れスキルだった。 フライはダンジョンの案内役や、料理、周囲の加護、荷物持ちなど、あらゆる雑用を喜んでこなしていた。 外れスキルの自分でも、仲間達の役に立てるからと。 しかしその奮闘ぶりは、恵まれたスキルを持つ仲間たちからは認められず、毎日のように不当な扱いを受ける日々。 そしてとうとうダンジョンの中でパーティーからの追放を宣告されてしまう。 「お前みたいなゴミの変わりはいくらでもいる」 最後のクエストのダンジョンの主は、今までと比較にならないほど強く、歯が立たない敵だった。 仲間たちは我先に逃亡、残ったのはフライ一人だけ。 そこでダンジョンの主は告げる、あなたのスキルを待っていた。と──。 そして不遇だったスキルがようやく開花し、最強の冒険者へとのし上がっていく。 一方、裏方で支えていたフライがいなくなったパーティーたちが没落していく物語。 イラスト 卯月凪沙様より

処理中です...