遺された日記【完】

静月 

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109〜111ページ目

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「馬鹿…!馬鹿!馬鹿馬鹿アホ!間抜け!!」

 私が目を覚ましたことが分かって安心したのかさっきから私に対してずっと思いつく限りの罵倒をしてくる
 今の私の見ている世界は、幼馴染みと友人、そして未来の私がつけてくれた命のコンタクトを通してようやく見えているんだ
 自覚がないだなんて関係ない
 勿論いつでも外せる、でも
 もし外したら一生落としたコンタクトを見つけられないまま地獄に行くことになる

〝胸の苦しみはもう大丈夫、?〟

 うん、もう何も痛くない、痛かったのは悪霊だけだったらしぃ…って
 やばっ、心の声未来の私に聞こえるの忘れてた、恥ずかしいぃ
 …まぁいっか
 ありがとう、私を守ってくれて

〝私もここに来てからいろんなことを成長出来たから、お互い様ね〟

そう、だね
 きっとそう、本当にありがとう
 じゃあ、次へ進まないとね
 本当ならこのまま帰れそうだけど、この刀
 ここまで具現化する怨念は知らない、放置するのは、胸が痛い

「ところで坊、もう一度探索する気はない?」

 私がそう聞くと、坊はあからさまに私を警戒する
 幼馴染みのことで疑心暗鬼になっちゃってるみたい

「大丈夫、霊は死んだ、坊は命の恩人だよ」

「なに、それ」

 坊が少し照れたように警戒をほんの少し解いて、目尻が下がる
 だけどまだ完全じゃない、言葉を間違えたら坊はすぐにでもいなくなってしまうだろう
 そんなの、私は本当の意味で終わることになる
 慎重に言葉を探せ、私

「いや、そんな変なことじゃなくて、幼馴染みと私に憑いていた悪霊について気になって、」

「…あいつがどうしたの?」

「坊も気にならない?どうしてあの悪霊がこんなに強い力を持っているのたのか、そして何が目的だったのか」

「…気になる。、だけど戻ってとして、何か情報がつかめる保証なんてないし。ほんとはまだ死んでなくて僕まで殺す気なんじゃないの?」

 いつもより丁寧に流暢に話すと逆効果だったようで最後に疑いの言葉を付け足される
 言葉を選ぶのはやめて、正直に話したほうが私には良いのかもしれない

「いやいや、こんなこと言いたくないけど、友人が死んじゃったのは悪霊が何かしたわけではないし、坊を殺す理由もないでしょ?だから、お願い、信じて」

「..分かった」

 少し解せない感情を残しつつも信じてはくれたようね
 友人のことは本当に心が痛い、だからこのまま何もせずに帰りたくないのもあるのかもしれない

「とりあえず、ここに来るまでに何があったのかだけ、教えてくれる?」

「…もう隠すこともないだろうしね、いいよ。この病院で友人と二人で見つけたこと」

◇◇ ◇◇

110ページ目:
 どうも~日記の主兼リナーシタの主こと主さんでーす
 なんか肩書長いね(笑)嫌じゃないけど
 ここからは坊が魔法使いが閉じ込められていた時の話を話していただけで何もイベントがないから要約してあげる♪
 アッでも違和感があると読みにくいだろうから少しだけ坊君の話し方に寄せてみるね
 やだ、ボクってば紳士


 今から話すのは、嘘なんて一つもない本当のこと
 幼馴染みが死んで、魔法使いがそれでも包丁で顔をかき混ぜていた時、流石にやりすぎだと思って僕たちは必死に止めたんだよね
 だけど魔法使いは全く止まらなかった、目の前にいるのが人間って信じられなくなるほど力が強くて石像でも押してる感覚だったよ
 そして僕たちは疲れ果てて、腕を掴むことも諦めた頃に 魔法使いはようやく手を止めてくれた
 もうその時には最早幼馴染みというのもおこがまし顔がくりぬかれたゾンビみたいな見た目で本当に怖かったんだ
 分かっていたけど、恐る恐る魔法使いの虚ろな瞳の奥には誰にも侵せない静かな怒りに染まっていた気がする
 実はあまりにも怖くて少し記憶が飛ん出てよくは覚えていないけど
 僕が恐怖におびえているのをよそに、魔法使いはそのまま寝ちゃって、これからどうすればいいか全くわからずに友人と相談してたら、魔法使いは意外とすぐに起きちゃったんだ
 さすがに一度意識を失えば元に戻ってるだろうと思って少し遠めに魔法使いの顔をうかがおうとしたら、魔法使いは白目を向かすて笑ってた
 笑い方がすごい幼馴染みに似ていたからすぐにわかったよ
 幼馴染みに取りついていた悪霊が魔法使いに乗り移ったってことが
 そして、とても痛がっていたはずの右足を振り回して友人や僕に攻撃をしだして
 今思ったら、魔法使いは好きな人がいなくなっちゃって心が空っぽみたいになっちゃってたから悪霊にとって格好の的だったんだろうね
 この時はたまたま振り回してた足を壁にぶつけて失神してくれたけど、次もこうなる保証がはなかったから、どうしようもなく治寳保を見つけるまでどこかの部屋に閉じ込めておこうと鍵の湿れる部屋を探して魔法使いを閉じ込めたんだ
 これが魔法使いがあの部屋に閉じ込めちゃってた理由なかな
 友だちをこんな暗い部屋に閉じ込めるのは本当に悲しかったけど、もしそれで僕と友人が死んで、そのまま魔法使いが正気に戻ってから自殺しちゃったら誰もいいことないじゃん、
 だから、本当にごめん。結果的に友人は死んじゃったけど実際僕と魔法使いは生きれたから、僕は間違っていなかったって信じる
 次は、魔法使いが気になってるこの刀についてだよ

◇◇ ◇◇

111ページ目:
 この刀は病院でたまたま拾ったわけじゃないんだ
 まぁ見つけたのが僕らじゃないってわけじゃないんだけどね゙
そう、幼馴染みが狂ったときにいた部屋。小児科の診察室
 私たちは1度なにかないかと小児科の寝室室を覗いてみた
 そしたら、なにか部屋の隅に古そうな小さな本が隅っこにあるのを見つけたから、少しだけそれを読んでみたんだ内容はリナーシタができる前のことが中心に書かれていた

~~~~~~~~

 でも、異世界人が地上にやってきて私達の居場所をどんどん侵略していってしまった
 そして、オスマントは地上で居場所を失った
でも、オスマントは滅びたわけではなかった、ある科学者が夢と現の狭間への転移装置を開発した
 その装置で現での体は失うが代わりに夢の世界の体を手に入れるというもの
 できた当初は賛否両論だった、だけど、もう地上は異世界人の領域、彼らの使う『魔法』には敵わない
 そうして、結局国民の2/3人が狭間へ移動した
 そこで新しくついた国名がついた
 それは、いつか地上人が異世界人を追い出し、自分たちの生活を取り戻す志と皮肉を込めて

 異世界語で復活を意味する〚リナーシタ〛
と名付けた

~~~~~~~~

 僕が読んだのはここだけ、さすがに全文は覚えてないから記憶だけどね
 他にも書いてあることがあったから読みたかったんだけど、これを読んでいると頭がふわふわするようになって、何かおかしいと思った友人が僕に読ますのをやめさせたんだ
 あれを読むと心がどこかへ飛んでいくような、だれかに意識を盗まれているような感覚があったんだよね
 たぶん、あの本にはなにか洗脳みたいなことをするように作られた本なんだと思う
 呪物とか都市伝説でしか聞いたことないから本当にあるんだなとかも思ったけど、今思えばあの悪霊が何らかの形でこの本を読んで誰かに操られていたのかもしれないね
 あでも、意外と意識はあるみたいな言い方してたしもしかしたらまた何か違うのかもしれないけど、友人のおかげで何とか洗脳されずに済んでよかったよ

 そしてやっと刀を手に入れた経緯
 僕と魔法使いで病棟のいろんなところ行ったけどここが特別不思議って部屋はそんなになかったでしょ?
 だからその部屋のうちのどれかに魔法使いを直すことが出来るものがあると思って探しに行ったんだ
 その中でも友人が渋っていたのがゾンビの部屋
 一回目の僕を見つけるときにそこを見つけたんでしょ?
 僕は必死に走ってて気づかなかったけどそるこまで渋るほど恐ろしい所なら何かあると思ったんだ
 勿論僕は幽霊みたいなのが本当に嫌いだけど、それよりも友だちをなくすほうが怖かったんだと思う
 それで何とか友人を説得して行ってみるとやっぱりゾンビがいたよ
 初めは恐ろしかったけど、なぜかずっと見ているとどこか悲しそうで苦しそうな感じがして、部屋に入ってみたんだ
 入ってみると意外にゾンビには襲われなくて、ゾンビが生前に書いていた日記帳を見せてくれた
 そこにかいてあったのは僕が診察室で読んだ本を最後まで読んでしまって、それからこの病院から出られなくなってしまったということ
 ここにいるとこの病院で何かが起こるたびにひどい疲れを感じているらしかった
 どうやらこの病棟はいろいろ改造や修復を繰り返されていて、その代償にゾンビたちの魂が削られていたみたい
 ゾンビたちは全く悪い人たちじゃなかったから、悪霊のことについても話してみたんだ、そしたら日記帳に文字を書いてくれて、『この生活に終止符を打ちたい、俺たちの魂を使ってくれ』ってかいて、
 いつの間にか刀になってたんだよね
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