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第14話 目覚め
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「ううん・・・」
あの子の声が聞こえて、ボクは目覚めた。
これは何だろう。
ボクのすぐそばで響く、一定のリズムを感じる。
とくん。
とくん。
とくん。
何だか落ち着く音と振動。
聞いていると、また眠りに落ちてしまいそうな心地良さ。
とくん。
とくん。
とくん。
まだまだ目覚めたばかりで薄ぼんやりとした意識が、まどろみの中へと落ちていく。
でもそうしてはならないような気がした。
何だかよく分からない気持ちに急かされるようにして、目を開けようとしたが、どうもうまくいかない。
ボクは、いつもどうやって目を開けていただろうか?
いやいや、見ていたはずだ。
わからないはずがない。
あの子を見てきた。
あの子を、世界を、ボクはどうやって見ていた?
今までは無意識だったのだ。
それでもできていた。
できるはずだ。
自分以外の全ては、自分からつながっている。
自分を、感じる。
そこから少しずつ感覚を広げていくイメージを思い浮かべる。
真っ先に感じる自分以外は、この心地良い振動だ。
これは、あの子の鼓動だ。
あの子に拾われるまでのボクは、ボクではなかった。
あの子と出会い、ボクになった。
音も。
振動も。
光も。
闇も。
味も。
痛みも。
この身は感じていた。
あとは、目覚めたボク自身とリンクすることができれば、ボクはこの身体を自在に操ることができるようになる。
ボクに目はない。口も、耳も、手もない。
それでも世界を理解できるようになるまで、時間はかからなかった。
生物が持つ瞳という部分は、光を取り入れること、それを反射して像を結ぶことで外界を認識していると聞いたことがある。
世界が光を取り戻した。
そうとしか言い様のない感動だった。
そして最初に見たのは、あの子の姿だった。
また、悲しい夢を見ているに違いない。
その、苦しそうな、悲しそうな寝顔は見ていられない。
だからボクはこの子のそばにきた。そして、寄り添い。
「ぷにぷに」
夢の中からこの子を連れ戻すのだ。
「ぷにぷにぷにぷに」
「うぅん・・・」
ボクは目覚めた。
昨日までよりずっとうまくやれるだろう。
この子とボクの願いを叶えるために。
そのためにボクはここにいる。
あの子の声が聞こえて、ボクは目覚めた。
これは何だろう。
ボクのすぐそばで響く、一定のリズムを感じる。
とくん。
とくん。
とくん。
何だか落ち着く音と振動。
聞いていると、また眠りに落ちてしまいそうな心地良さ。
とくん。
とくん。
とくん。
まだまだ目覚めたばかりで薄ぼんやりとした意識が、まどろみの中へと落ちていく。
でもそうしてはならないような気がした。
何だかよく分からない気持ちに急かされるようにして、目を開けようとしたが、どうもうまくいかない。
ボクは、いつもどうやって目を開けていただろうか?
いやいや、見ていたはずだ。
わからないはずがない。
あの子を見てきた。
あの子を、世界を、ボクはどうやって見ていた?
今までは無意識だったのだ。
それでもできていた。
できるはずだ。
自分以外の全ては、自分からつながっている。
自分を、感じる。
そこから少しずつ感覚を広げていくイメージを思い浮かべる。
真っ先に感じる自分以外は、この心地良い振動だ。
これは、あの子の鼓動だ。
あの子に拾われるまでのボクは、ボクではなかった。
あの子と出会い、ボクになった。
音も。
振動も。
光も。
闇も。
味も。
痛みも。
この身は感じていた。
あとは、目覚めたボク自身とリンクすることができれば、ボクはこの身体を自在に操ることができるようになる。
ボクに目はない。口も、耳も、手もない。
それでも世界を理解できるようになるまで、時間はかからなかった。
生物が持つ瞳という部分は、光を取り入れること、それを反射して像を結ぶことで外界を認識していると聞いたことがある。
世界が光を取り戻した。
そうとしか言い様のない感動だった。
そして最初に見たのは、あの子の姿だった。
また、悲しい夢を見ているに違いない。
その、苦しそうな、悲しそうな寝顔は見ていられない。
だからボクはこの子のそばにきた。そして、寄り添い。
「ぷにぷに」
夢の中からこの子を連れ戻すのだ。
「ぷにぷにぷにぷに」
「うぅん・・・」
ボクは目覚めた。
昨日までよりずっとうまくやれるだろう。
この子とボクの願いを叶えるために。
そのためにボクはここにいる。
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