新しい世界に気づく時

小鳥遊 華凜

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違和感

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立花さんが自習生だと分かった後、私は奏に
声をかけられるまでぼーっとしていた。

「慈雨!じぃーう!」

「ごめん。途中から聞いてなかった…」

「もぅ!はっきりとした理由で謝ってもらえるのは嬉しいけど今は嬉しくない!
どうしたの?もしかして…イケメンの自習生でとうとう慈雨もトキメキを!?」

なぜだろう。イラッとした。反射的にビシッと
奏の頭にチョップしてしまった。こんなの私の
キャラじゃないのに奏と一緒になってから私の
今までが崩れていくのを感じる日々だ。

「地味に痛い!
まぁ、いいや。理由、無理には聞かないけど
溜め込まないで教えてね。慈雨はなーんでも
溜め込んじゃうんだから。」

「んー、今は何とも言えない。
自分の中で少し考えたい?まとめたい?から」

曖昧でごめん。と付け足すと奏はにっこりと
いつものように微笑み「そろそろチャイム鳴るから」と自分の席に戻った。そのタイミングで
隣の席の男子も戻ってきた。

「奏と話すことが多いから場所借りてて
ごめん。ありがとう。」

そうなのだ。席替えをしてから「休み時間、九条と話すだろ?俺の席、使ってていいから」と
気前よく貸してくれているのだ。

「気にすんなって!
俺も俺で仲間といいものを…じゃなくって!
九条と香坂が仲良いのを知ってるからさ。」

ん?たまにこの男子、緒方は不思議な言動が
あるのだが「気にしたら負けだ。」と奏が吐き捨てるように言ったことがあったので一瞬?と
なったが気にしないでおく。
それにしても、まさか立花さんが自習生なんて
これから私、大丈夫かな。と一抹の不安が過ぎってしまったが己の思考回路にも疑問が募り始め次の教科担当が来るまで目を瞑ることにした
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