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永遠に愛を
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話を聞いてほしい。
ただ、純粋に愛を望み、愛のために全てを
捧げた友人の話を。
1人は背が高くて、もう1人は背が小さく小柄で
ぱっと見どこにでもいる2人組。
しかし、基本的に互いの名前を呼ぶ姿を外で見ることはなく稀に名前を口に出したかと思えば2人が現場から消える姿を俺は度々目撃していたので、合図なのか?くらいにしか思っていなかった。
「ねぇ、ヒガイこれからどうする?」
無邪気に笑うカガイ。
なんてことない、ただの予定確認の言葉だったのだろうがヒガイにとっては違った。悶えたあと、姿を消す2人。よくある。よくある。
……
「リトくん、リトくん、ヒガイが可愛い。」
「やめろ、急にくっつくな。
ヒガイが凄い視線というか俺を睨んでるから
はーなーれーろー!」
特に何をしたわけではないが、しいていえば
学園内に猫ではなく犬が迷い込み勝手に犬好きの俺が世話をしていたら教師にバレてどうしたものかと思ったら、カガイが里親探しをしよう。と何処からともなく現れていつの間にか
仲良くなった。何処にでもあるフツーな話だ。
しかし、問題は独占欲丸出しのヒガイである。
自由奔放なカガイを盛大に甘やかしているが
カガイ以外は虫ケラ同然の扱いで塩なのだ。
最初はなんだコイツ。と俺は俺で嫌だったが
ヒガイがカガイを見る視線が優しいから不快感は共に過ごすなかで薄れて消えた。
「本当に貴方はリトが好きだよね。」
「うん!リトくんは素直で隠し事を
したりしないから好きだよ。」
「お前らの問題に俺を巻き込むなよ…。」
笑顔で爆弾投下を平然とするカガイに俺の胃は
すでにキリキリと痛み出していたが隠し事の正体を知っていたため俺はあくまでも「巻き込むな」とだけ伝えていた。
「リト、後で話がある。」
「わぁーたよ。」
あーあ、ヒガイからの呼び出しをくらっちまったか。内容はおおよそ予想はつくが…怠い。
「リトくんと遊ぶの?
早めに帰ってきてねー。
今日は貴方の好きな料理を作って
待ってるからね。」
「ありがとう。
帰る時に連絡するからね。」
そう2人はやり取りをして解散した。
少しの静寂の後、俺は独り言のように呟いた。
「あのさぁ、まだ隠し事というかプレゼント
渡せてないのか?」
「後で話があるって言ってんだろ。
次の講義終わったら連絡するから」
「なんて横暴なやつだ。
カガイの前では甘々なのに…。」
……
「どうしたらカガイに気持ちが伝わるんだっ!
怯えさせたくないのに、カガイが可愛いから
言いよるヤツは多いし!牽制しても意味ない!
はぁ、カガイだけの世界ってどこにあるんだ」
「はぁぁー。クッソだるぃ!
毎度毎度、酔うとお前は酒癖悪すぎるだろ!
ヤンデレだか、メンヘラだがわからねぇけど
お前の束縛と独占欲を受け入れているから
笑顔で互いを想い合っているんだろ。
それで満足じゃねぇの?」
「そうなんだけど。たまにふっとした時に
居なくなったらどうしようかと思うんだよ。
プレゼントだって渡そうと思えばいくらでも渡せるタイミングはある。だからこそ、そのときに渡してもいいのかと悩んだら渡せなくなる。きっと、笑顔でありがとう。と言ってくれるけど今よりも離れたくない気持ちが強くなって世界から閉じ込めてしまいそうな自分が怖い。」
「その気持ちを本人に伝えればいいんじゃねぇの?俺は正直、他人事だから愚痴くらいいつでも聞くけどよ。第三者目線からしたら重いし怠い。でも、それがお前たちの愛のカタチなら納得して出来上がってる関係性ならこっちが口出しする必要もねぇだろうよ。」
「リト、ありがとう」
「いや、マジで酒癖わりぃな。」
常に他者を虫ケラ同然の扱いで塩対応でどうしようもないヤツだが真っ直ぐにカガイを想うヒガイの話を聞くことが嫌いではなく寧ろ純粋に羨ましいと思えるくらいには綺麗なヤツだと思っていた。
暫く経った頃、夜中に「イヤリングと花束を渡せた。ありがとう。」とメッセージが来たっきり、連絡が途切れてしまった。
俺も俺で社会人になり、忙しく「よかったな」と簡潔にしか返信してなかったから特に気にも留めていなかったがニュースを見て驚きと納得をした。
バラバラ殺人事件。
手足を切断されて犯行は同居人によるもの。
「ああ、ついにやったのか。
でも、これでよかったのかもな。
それがヒガイの望みだったんだもんな…」
「せめて、俺にはヤル前に教えろよ
止めたけど、止めたけど、もう少し耐えろって言うのはお前にとって辛くて、残酷なことだけど、勝手に終わらせんなよっ!」
欲を言えば、2人とまだ一緒に過ごしたかった。仕事にも慣れてきたしSNSを通じて連絡を取ろうと思えば取れるだろう。とかそんなことを思っていたんだ。後悔しても遅い。
俺の考え、読みが甘かった。
ヒガイを想えばつらい。
カガイは最期に何を思っていたのか。
俺にはわからない。
ただ、2人の物語は終わったのではなく
ある種、これからなのかもしれない。
2人だけの世界で永遠の愛を紡ぎたい。と
ヒガイは恥ずかしげもなく俺に言っていた。
要するにそういうことなのだろう。
これが愛と言うならば俺には一生愛なんて
わからない。
ただ、純粋に盲目までにヒガイはカガイを
愛したんだと。それだけは理解できた。
ただ、純粋に愛を望み、愛のために全てを
捧げた友人の話を。
1人は背が高くて、もう1人は背が小さく小柄で
ぱっと見どこにでもいる2人組。
しかし、基本的に互いの名前を呼ぶ姿を外で見ることはなく稀に名前を口に出したかと思えば2人が現場から消える姿を俺は度々目撃していたので、合図なのか?くらいにしか思っていなかった。
「ねぇ、ヒガイこれからどうする?」
無邪気に笑うカガイ。
なんてことない、ただの予定確認の言葉だったのだろうがヒガイにとっては違った。悶えたあと、姿を消す2人。よくある。よくある。
……
「リトくん、リトくん、ヒガイが可愛い。」
「やめろ、急にくっつくな。
ヒガイが凄い視線というか俺を睨んでるから
はーなーれーろー!」
特に何をしたわけではないが、しいていえば
学園内に猫ではなく犬が迷い込み勝手に犬好きの俺が世話をしていたら教師にバレてどうしたものかと思ったら、カガイが里親探しをしよう。と何処からともなく現れていつの間にか
仲良くなった。何処にでもあるフツーな話だ。
しかし、問題は独占欲丸出しのヒガイである。
自由奔放なカガイを盛大に甘やかしているが
カガイ以外は虫ケラ同然の扱いで塩なのだ。
最初はなんだコイツ。と俺は俺で嫌だったが
ヒガイがカガイを見る視線が優しいから不快感は共に過ごすなかで薄れて消えた。
「本当に貴方はリトが好きだよね。」
「うん!リトくんは素直で隠し事を
したりしないから好きだよ。」
「お前らの問題に俺を巻き込むなよ…。」
笑顔で爆弾投下を平然とするカガイに俺の胃は
すでにキリキリと痛み出していたが隠し事の正体を知っていたため俺はあくまでも「巻き込むな」とだけ伝えていた。
「リト、後で話がある。」
「わぁーたよ。」
あーあ、ヒガイからの呼び出しをくらっちまったか。内容はおおよそ予想はつくが…怠い。
「リトくんと遊ぶの?
早めに帰ってきてねー。
今日は貴方の好きな料理を作って
待ってるからね。」
「ありがとう。
帰る時に連絡するからね。」
そう2人はやり取りをして解散した。
少しの静寂の後、俺は独り言のように呟いた。
「あのさぁ、まだ隠し事というかプレゼント
渡せてないのか?」
「後で話があるって言ってんだろ。
次の講義終わったら連絡するから」
「なんて横暴なやつだ。
カガイの前では甘々なのに…。」
……
「どうしたらカガイに気持ちが伝わるんだっ!
怯えさせたくないのに、カガイが可愛いから
言いよるヤツは多いし!牽制しても意味ない!
はぁ、カガイだけの世界ってどこにあるんだ」
「はぁぁー。クッソだるぃ!
毎度毎度、酔うとお前は酒癖悪すぎるだろ!
ヤンデレだか、メンヘラだがわからねぇけど
お前の束縛と独占欲を受け入れているから
笑顔で互いを想い合っているんだろ。
それで満足じゃねぇの?」
「そうなんだけど。たまにふっとした時に
居なくなったらどうしようかと思うんだよ。
プレゼントだって渡そうと思えばいくらでも渡せるタイミングはある。だからこそ、そのときに渡してもいいのかと悩んだら渡せなくなる。きっと、笑顔でありがとう。と言ってくれるけど今よりも離れたくない気持ちが強くなって世界から閉じ込めてしまいそうな自分が怖い。」
「その気持ちを本人に伝えればいいんじゃねぇの?俺は正直、他人事だから愚痴くらいいつでも聞くけどよ。第三者目線からしたら重いし怠い。でも、それがお前たちの愛のカタチなら納得して出来上がってる関係性ならこっちが口出しする必要もねぇだろうよ。」
「リト、ありがとう」
「いや、マジで酒癖わりぃな。」
常に他者を虫ケラ同然の扱いで塩対応でどうしようもないヤツだが真っ直ぐにカガイを想うヒガイの話を聞くことが嫌いではなく寧ろ純粋に羨ましいと思えるくらいには綺麗なヤツだと思っていた。
暫く経った頃、夜中に「イヤリングと花束を渡せた。ありがとう。」とメッセージが来たっきり、連絡が途切れてしまった。
俺も俺で社会人になり、忙しく「よかったな」と簡潔にしか返信してなかったから特に気にも留めていなかったがニュースを見て驚きと納得をした。
バラバラ殺人事件。
手足を切断されて犯行は同居人によるもの。
「ああ、ついにやったのか。
でも、これでよかったのかもな。
それがヒガイの望みだったんだもんな…」
「せめて、俺にはヤル前に教えろよ
止めたけど、止めたけど、もう少し耐えろって言うのはお前にとって辛くて、残酷なことだけど、勝手に終わらせんなよっ!」
欲を言えば、2人とまだ一緒に過ごしたかった。仕事にも慣れてきたしSNSを通じて連絡を取ろうと思えば取れるだろう。とかそんなことを思っていたんだ。後悔しても遅い。
俺の考え、読みが甘かった。
ヒガイを想えばつらい。
カガイは最期に何を思っていたのか。
俺にはわからない。
ただ、2人の物語は終わったのではなく
ある種、これからなのかもしれない。
2人だけの世界で永遠の愛を紡ぎたい。と
ヒガイは恥ずかしげもなく俺に言っていた。
要するにそういうことなのだろう。
これが愛と言うならば俺には一生愛なんて
わからない。
ただ、純粋に盲目までにヒガイはカガイを
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