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出逢い
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キーンコーンカンコーン。
終礼のチャイムが校内に鳴り響いた。
「慈雨!一緒に帰ろう。」
チャイムが鳴り終わるのと同時に奏が
立ち上がった。
「あー。ごめん。
今日は用事があって、一人で帰る」
「えー。慈雨と一緒に帰りたかったのに」
奏には申し訳ないけど、今日は気分的に
外せない用事があったのだ。
まだ不満げな奏と次は一緒に帰る約束を
実際の用事は本当に些細なことだった。
隠しているわけでもないし別に二人でも
よかったけど、たまに独りになりたくなる
本当に些細なことだけど、意外とこういうことが自分のメンタルにも繋がったりする
そうした時に私は必ず本屋に行くことに
している。本を読むと知識が身につく。
それは、だいたい一般的なフツーのこと
けど、私にとって本を読む。その行為が
重要だったりする。
ずらっと立ち並ぶ本棚に期待を膨らませながら通路を歩いて当てのない宝探しをする
「うーん。まだ新刊はでてないか…。
電子もいいけど、やっぱり質感も大事に
したいし。」
あっ、あれは!
私のお気に入りの天音凌様の本!
これは、何としてもほしい!!
周りを見渡してもイスがない。
どうしよう。けど、ほしい!!
「天音凌の本であってる?」
えっ、誰。ほとんど真後ろから声がした。
方向を変えるより首だけを動かして相手を
みてしまい体勢がよろけてしまった。
重力に逆らえきれない私を一人の男の人が軽く触れる程度に支えてくれた。
「大丈夫?
すっごく悩んでるのか唸ってたから
声をかけちゃったんだけど。
天音凌の本が欲しかったの?」
「あ、ありがとうございます。
欲しいと思ったんですけどイスが見当たらないから、どうしようかなって」
「まあ、たしかに。
この本屋、種類はあるけどそれに応じて
棚も高いからね。」
身長は180センチあるくらいの高身長なのに威圧感がなく寧ろ好青年感が溢れる黒髪のスラっとした男性が未だに親近距離にいることに戸惑っている私に気づいたのか少し離れてから彼はまた話しかけてきた。
「俺も天音凌の本が好きなんだ。
繊細なのに言葉選びによって変わる
展開とか。もっと続きが読みたい。って
あ、ごめんね。急に話しかけちゃって。
俺は立花颯斗。この本屋から近い大学に
通ってるんだ。」
「私は香坂慈雨です。
先程はありがとうございます。」
「いやいや、俺が好きで手助けしただけだから気にしないで。」
その後、彼は天音凌の新作を私に渡して
奥の本棚へと移動してしまった。
私も私で店内の物色を再開した。
帰宅後、すぐに天音凌を読みはじめたが
大好きな作家なのに思い出すのは何故か
初めて出逢った彼のことだった。
また、会えるかな。と普段の自分では
思わないことを考える自分に違和感を感じて布団を被った。
終礼のチャイムが校内に鳴り響いた。
「慈雨!一緒に帰ろう。」
チャイムが鳴り終わるのと同時に奏が
立ち上がった。
「あー。ごめん。
今日は用事があって、一人で帰る」
「えー。慈雨と一緒に帰りたかったのに」
奏には申し訳ないけど、今日は気分的に
外せない用事があったのだ。
まだ不満げな奏と次は一緒に帰る約束を
実際の用事は本当に些細なことだった。
隠しているわけでもないし別に二人でも
よかったけど、たまに独りになりたくなる
本当に些細なことだけど、意外とこういうことが自分のメンタルにも繋がったりする
そうした時に私は必ず本屋に行くことに
している。本を読むと知識が身につく。
それは、だいたい一般的なフツーのこと
けど、私にとって本を読む。その行為が
重要だったりする。
ずらっと立ち並ぶ本棚に期待を膨らませながら通路を歩いて当てのない宝探しをする
「うーん。まだ新刊はでてないか…。
電子もいいけど、やっぱり質感も大事に
したいし。」
あっ、あれは!
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これは、何としてもほしい!!
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どうしよう。けど、ほしい!!
「天音凌の本であってる?」
えっ、誰。ほとんど真後ろから声がした。
方向を変えるより首だけを動かして相手を
みてしまい体勢がよろけてしまった。
重力に逆らえきれない私を一人の男の人が軽く触れる程度に支えてくれた。
「大丈夫?
すっごく悩んでるのか唸ってたから
声をかけちゃったんだけど。
天音凌の本が欲しかったの?」
「あ、ありがとうございます。
欲しいと思ったんですけどイスが見当たらないから、どうしようかなって」
「まあ、たしかに。
この本屋、種類はあるけどそれに応じて
棚も高いからね。」
身長は180センチあるくらいの高身長なのに威圧感がなく寧ろ好青年感が溢れる黒髪のスラっとした男性が未だに親近距離にいることに戸惑っている私に気づいたのか少し離れてから彼はまた話しかけてきた。
「俺も天音凌の本が好きなんだ。
繊細なのに言葉選びによって変わる
展開とか。もっと続きが読みたい。って
あ、ごめんね。急に話しかけちゃって。
俺は立花颯斗。この本屋から近い大学に
通ってるんだ。」
「私は香坂慈雨です。
先程はありがとうございます。」
「いやいや、俺が好きで手助けしただけだから気にしないで。」
その後、彼は天音凌の新作を私に渡して
奥の本棚へと移動してしまった。
私も私で店内の物色を再開した。
帰宅後、すぐに天音凌を読みはじめたが
大好きな作家なのに思い出すのは何故か
初めて出逢った彼のことだった。
また、会えるかな。と普段の自分では
思わないことを考える自分に違和感を感じて布団を被った。
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