貴方に贈る花束を

四季凪 牡丹

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贈り物

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予約の日時に硝子屋に行くと時期的に天然物は
手に入らなかったと店主は言っていたが造花の
アネモネの花を手配してくれていた。
わたしはそれを樹脂に固めてイヤリングにして
渡すことに決めていた。
青色のアネモネは待望、固い誓い。
白色のアネモネは真実、待望、真心。
他にも色合いによって意味は異なるがわたしは
青と白の花言葉が特に気に入ったのだ。

全ての工程を終わる頃にはあっという間に外は
茜色に染まっていた。
達成感と共にプレゼントを渡した時の貴方が喜ぶ顔を想像するだけで歓喜の気持ちが止まらなかった。

「お疲れ様でした。
このままお持ち帰りも出来ますが贈り物ということでしたのでこちらの箱に入れさせて頂きますね。」

「綺麗な白ですね!
ありがとうございます。」

店主には贈り物ということを事前に伝えていたためわたしが作り終えるのを見計らって箱を持ってきてくれた。真っ白な白なのだが中央部分には金色の荊の刻印がされていて真っ白な箱に存在感のある金色がとても素敵だった。
店を出る前に店主に再度お礼を伝えてわたしは
「明日会える?」とメッセージを送った。

数時間後に端末の音が鳴り通知を開くと
「会いたいけど時間遅くても大丈夫?」と
こちらを気遣う返事だった。
理由を聞くと学校終わりにバイトが入っているとのことで時間帯が不安になったらしい。
更にやりとりを続けると明後日は学校もバイトも休みで空いているから明後日にする?という
問いかけがあったがわたしはそのまま「遅くなってもいいから会いたい。」と送った。
明後日、何も予定がないのならば泊まればいいのに。と思ったがそれは黙っていた。
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