貴方に贈る花束を

アネモネ

植物園を出て今更ながらに花束を持って電車に
乗るのはどうなのか。と少し疑問に思ったが折角なのだから風も強くは無いし一駅分歩いてみようと普段なら考えないことも貴方へ贈る花束を持ちながらわたしは歩き出した。
植物園を出てから暫く道なりに歩いていると
硝子細工のお店が目に留まった。

「いらっしゃいませ。
硝子細工に興味があるのならどうぞ中へ。
花束は危ないのでこちらに置いてください。」

立ち止まっていたわたしに店内に居た店主が
優しく声をかけてくれた。促されるまま店内へと入ると様々な硝子細工が並べられていた。
時間は16時半頃で夕方の空の色と日中の青空が交差していて店内に差し込む自然の光はとても美しく硝子たちを照らしていた。
店内を見ていたわたしに店主は「どうぞ。」と
店のカタログ？パンフレット？を渡してくれた

「ありがとうございます。
質問なのですが、ここでアクセサリーが
作れるんですか？」

「ええ。気になっているのでしたら基本的に予約制ですので日は改めさせて頂きますが道具を準備してご希望のものを作ることができます」　

わたしは手早く端末のスケジュール帳を開き
明後日は空いてますか？と聞いた。
わたしの反応速度に驚いたのか店主はやや驚いていたがすぐに微笑み返し空いていますよ。と答えてくれた。続けてご希望は？と聞かれてわたしは迷わず答えた。

「アネモネの花を。
青と白でお願いします。」


「かしこまりました。明後日の午後14時からお待ちしております。」