141 / 200
バレないように②
しおりを挟む
いそいそと転移魔法を使い帰るケーナを見送ると、探索スキルを使いラルンテの位置を確かめる。
どうやら自室で睡眠中。
「ラルンテは勘がいいから警戒しておきませんと」
《そうですね》
その言葉にこたえたのはマインドプロンプトだった。
「今回は結構ヒントあげたけどケーナは気づいたかしら」
《そのようです。魂の痕跡情報も出しましたし、その意味に気づいていました》
「やっとですわね。さりげなくにアピールするのも大変よ」
《もっと露骨にアピールした方がお互い仲良くなれませんか?》
「これでいいわ。知ってるけど知らない事にしておきましょう。その方が気を使わないで済むと思いますの」
《……あちらに戻った後、ケーナ様も記憶の対策をされました。それもエーナ様を気遣ってのようです》
「やっぱり優しいのねケーナは。でもマインドプロンプトの事についてはどう?」
《まだのようです》
ケーナとエーナが使うスキルは共有されているので、マインドプロンプトは両者の架け橋代わりに成る事ができる。
「ただのスキルだと思っているのでしょう? そもそもスキルに語りかける時点でおかしいと思わないのかしら。その様子じゃスキルにスキルを使わせることもまだまだ先になりそうね」
《前世の記憶が影響していると思われます》
「知っているわ。英太の記憶は私も知っているもの。言葉は返しても意識が無い”機械”のせいかしらね?」
《そのようです。そんな物と一緒にされては困ります》
「まぁ、とても便利な物だとは思うわ。魔法や魔石が無くても文明の発展に大きく関わった物ですもの。ただ、意思を持って喋らないのは寂しいわね」
《マインドプロンプトはお喋りですので》
「最初はさすがに驚いたわよ。スキルに話しかけられたのは初めてですもの」
《こちらも話しかけたのは初めてです》
「変なのフフフ」
これらのお喋りは記憶として残さないようにしてある。当然ケーナが知ることはない。
「寝る前に、明日の予定を確認しておきましょ。まずは私はいつもの習い事と、後は――」
《お姉様達への手紙ですね》
「そうそう、お返事書かなきゃ」
《ではこちらはもふもふ猫君ミニを使った情報収集と、ドボックス帝国への調査を引き続き行います》
「あ、あと、ケーナがまた何かしようとしてたら教えてくださいね」
《そうですね。また超火力魔法で森が焼かれるようなことは無いようにしませんと》
「そうよ。ほぼ全力で放ったせいでどれだけ後処理が大変だったか……。ケーナは自身の強さをハッキリ把握してないのよ。”私って強いかも!” 程度でしか考えてないわ」
《同感いたします。普段からあまり戦闘をしないせいかもしれませんが》
「国の1つや2つは赤ん坊の寝返りより簡単に寝返らせることができることを、早く自覚してほしいですわね」
ケーナ自身は上手くやっているつもりだが、見えない周りのフォローがあってこそのようだ。
《寝返りついでに報告ですが、小国がまた1つこちらの傘下に入りました。これで3か国目です》
「どちら?」
《アヤフローラと敵対していたナジョト国でございます》
「まさか、ナジョトが? 本当に? どうやって……」
《国の上層部と上位貴族は完全に腐っていたので主要人物を中心に残さず排除いたしました。今は混乱しておりますが収まる頃には若きリーダーが先頭に立つことでしょう。その者達とお借りした支援特化型猫君6号は戦友でございます》
「支援だけで国をひっくり返すなんて、やっぱり強いわね。私は強さを自覚してますわ」
《そのようで安心します。支援は主に食料と武器とハイポーションをお渡ししたぐらいです》
「空間収納内のエーナの世界で色々作って持ち出しているわよね?」
《あの内部の資源は有限ではございますが豊富です。たぶんケーナ様にはバレません》
「疑われるのは私になるのですから上手くやりなさいよ」
《大丈夫です。複数のスキル使用を許してもらえてるおかげで、収納内管理者のタイム様にもバレておりません》
スキルがスキルを使用することで、できることの可能性はどんどん広がっていく。
「仲間集めはまだ継続いたしますの?」
《はい、あと2、3ヶ国ほど回ろうかと。バグラが持つ帝国軍の強さは猫君総動員でも歯が立ちませんので》
「あら、そんなにお強いのですか。ですがちゃんと反抗因子は摘み取っておくに限りますわ」
《もちろんです。ドボックスの導師が次期魔王を擁護する意見を言っただけで暗殺する国ですから、放置などできません》
せっかく手懐けた導師達だったが、そのうちの1人であるドボックスの導師は簡単に消されてしまった。裏の力をあまり必要としないぐらい大きな国であるからかもしれない。
「ナジョトは意外でしたが、いい仲間が見つかって良かったですわ。いつかお茶にでも呼びしましょ?」
《いいですね。彼らも猫君の正体を知って驚くと思いますよ》
「その時は猫君じゃなくて、もっといいものを用意いたしましょうね」
《それは楽しみです》
話に区切りがついたところで、脳裏に警戒反応が出る。
(あ、ラルンテが起きてますわ)
《移動してますね。この動き……こちらに来ますね》
(声大きかったかしら……?)
《ベットに入りましょう。寝ているふりをしないと怪しまれます》
(そ、そうですわね)
そろり、そろりとベットに潜り込み、ラルンテの見回りに備えるのだった。
どうやら自室で睡眠中。
「ラルンテは勘がいいから警戒しておきませんと」
《そうですね》
その言葉にこたえたのはマインドプロンプトだった。
「今回は結構ヒントあげたけどケーナは気づいたかしら」
《そのようです。魂の痕跡情報も出しましたし、その意味に気づいていました》
「やっとですわね。さりげなくにアピールするのも大変よ」
《もっと露骨にアピールした方がお互い仲良くなれませんか?》
「これでいいわ。知ってるけど知らない事にしておきましょう。その方が気を使わないで済むと思いますの」
《……あちらに戻った後、ケーナ様も記憶の対策をされました。それもエーナ様を気遣ってのようです》
「やっぱり優しいのねケーナは。でもマインドプロンプトの事についてはどう?」
《まだのようです》
ケーナとエーナが使うスキルは共有されているので、マインドプロンプトは両者の架け橋代わりに成る事ができる。
「ただのスキルだと思っているのでしょう? そもそもスキルに語りかける時点でおかしいと思わないのかしら。その様子じゃスキルにスキルを使わせることもまだまだ先になりそうね」
《前世の記憶が影響していると思われます》
「知っているわ。英太の記憶は私も知っているもの。言葉は返しても意識が無い”機械”のせいかしらね?」
《そのようです。そんな物と一緒にされては困ります》
「まぁ、とても便利な物だとは思うわ。魔法や魔石が無くても文明の発展に大きく関わった物ですもの。ただ、意思を持って喋らないのは寂しいわね」
《マインドプロンプトはお喋りですので》
「最初はさすがに驚いたわよ。スキルに話しかけられたのは初めてですもの」
《こちらも話しかけたのは初めてです》
「変なのフフフ」
これらのお喋りは記憶として残さないようにしてある。当然ケーナが知ることはない。
「寝る前に、明日の予定を確認しておきましょ。まずは私はいつもの習い事と、後は――」
《お姉様達への手紙ですね》
「そうそう、お返事書かなきゃ」
《ではこちらはもふもふ猫君ミニを使った情報収集と、ドボックス帝国への調査を引き続き行います》
「あ、あと、ケーナがまた何かしようとしてたら教えてくださいね」
《そうですね。また超火力魔法で森が焼かれるようなことは無いようにしませんと》
「そうよ。ほぼ全力で放ったせいでどれだけ後処理が大変だったか……。ケーナは自身の強さをハッキリ把握してないのよ。”私って強いかも!” 程度でしか考えてないわ」
《同感いたします。普段からあまり戦闘をしないせいかもしれませんが》
「国の1つや2つは赤ん坊の寝返りより簡単に寝返らせることができることを、早く自覚してほしいですわね」
ケーナ自身は上手くやっているつもりだが、見えない周りのフォローがあってこそのようだ。
《寝返りついでに報告ですが、小国がまた1つこちらの傘下に入りました。これで3か国目です》
「どちら?」
《アヤフローラと敵対していたナジョト国でございます》
「まさか、ナジョトが? 本当に? どうやって……」
《国の上層部と上位貴族は完全に腐っていたので主要人物を中心に残さず排除いたしました。今は混乱しておりますが収まる頃には若きリーダーが先頭に立つことでしょう。その者達とお借りした支援特化型猫君6号は戦友でございます》
「支援だけで国をひっくり返すなんて、やっぱり強いわね。私は強さを自覚してますわ」
《そのようで安心します。支援は主に食料と武器とハイポーションをお渡ししたぐらいです》
「空間収納内のエーナの世界で色々作って持ち出しているわよね?」
《あの内部の資源は有限ではございますが豊富です。たぶんケーナ様にはバレません》
「疑われるのは私になるのですから上手くやりなさいよ」
《大丈夫です。複数のスキル使用を許してもらえてるおかげで、収納内管理者のタイム様にもバレておりません》
スキルがスキルを使用することで、できることの可能性はどんどん広がっていく。
「仲間集めはまだ継続いたしますの?」
《はい、あと2、3ヶ国ほど回ろうかと。バグラが持つ帝国軍の強さは猫君総動員でも歯が立ちませんので》
「あら、そんなにお強いのですか。ですがちゃんと反抗因子は摘み取っておくに限りますわ」
《もちろんです。ドボックスの導師が次期魔王を擁護する意見を言っただけで暗殺する国ですから、放置などできません》
せっかく手懐けた導師達だったが、そのうちの1人であるドボックスの導師は簡単に消されてしまった。裏の力をあまり必要としないぐらい大きな国であるからかもしれない。
「ナジョトは意外でしたが、いい仲間が見つかって良かったですわ。いつかお茶にでも呼びしましょ?」
《いいですね。彼らも猫君の正体を知って驚くと思いますよ》
「その時は猫君じゃなくて、もっといいものを用意いたしましょうね」
《それは楽しみです》
話に区切りがついたところで、脳裏に警戒反応が出る。
(あ、ラルンテが起きてますわ)
《移動してますね。この動き……こちらに来ますね》
(声大きかったかしら……?)
《ベットに入りましょう。寝ているふりをしないと怪しまれます》
(そ、そうですわね)
そろり、そろりとベットに潜り込み、ラルンテの見回りに備えるのだった。
1
お気に入りに追加
889
あなたにおすすめの小説
僕のおつかい
麻竹
ファンタジー
魔女が世界を統べる世界。
東の大地ウェストブレイ。赤の魔女のお膝元であるこの森に、足早に森を抜けようとする一人の少年の姿があった。
少年の名はマクレーンといって黒い髪に黒い瞳、腰まである髪を後ろで一つに束ねた少年は、真っ赤なマントのフードを目深に被り、明るいこの森を早く抜けようと必死だった。
彼は、母親から頼まれた『おつかい』を無事にやり遂げるべく、今まさに旅に出たばかりであった。
そして、その旅の途中で森で倒れていた人を助けたのだが・・・・・・。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
※一話約1000文字前後に修正しました。
他サイト様にも投稿しています。
異世界無宿
ゆきねる
ファンタジー
運転席から見た景色は、異世界だった。
アクション映画への憧れを捨て切れない男、和泉 俊介。
映画の影響で筋トレしてみたり、休日にエアガンを弄りつつ映画を観るのが楽しみな男。
訳あって車を購入する事になった時、偶然通りかかったお店にて運命の出会いをする。
一目惚れで購入した車の納車日。
エンジンをかけて前方に目をやった時、そこは知らない景色(異世界)が広がっていた…
神様の道楽で異世界転移をさせられた男は、愛車の持つ特別な能力を頼りに異世界を駆け抜ける。
アクション有り!
ロマンス控えめ!
ご都合主義展開あり!
ノリと勢いで物語を書いてますので、B級映画を観るような感覚で楽しんでいただければ幸いです。
不定期投稿になります。
投稿する際の時間は11:30(24h表記)となります。
転生幼女の怠惰なため息
(◉ɷ◉ )〈ぬこ〉
ファンタジー
ひとり残業中のアラフォー、清水 紗代(しみず さよ)。異世界の神のゴタゴタに巻き込まれ、アッという間に死亡…( ºωº )チーン…
紗世を幼い頃から見守ってきた座敷わらしズがガチギレ⁉💢
座敷わらしズが異世界の神を脅し…ε=o(´ロ`||)ゴホゴホッ説得して異世界での幼女生活スタートっ!!
もう何番煎じかわからない異世界幼女転生のご都合主義なお話です。
全くの初心者となりますので、よろしくお願いします。
作者は極度のとうふメンタルとなっております…
チート幼女とSSSランク冒険者
紅 蓮也
ファンタジー
【更新休止中】
三十歳の誕生日に通り魔に刺され人生を終えた小鳥遊葵が
過去にも失敗しまくりの神様から異世界転生を頼まれる。
神様は自分が長々と語っていたからなのに、ある程度は魔法が使える体にしとく、無限収納もあげるといい、時間があまり無いからさっさと転生しちゃおっかと言いだし、転生のため光に包まれ意識が無くなる直前、神様から不安を感じさせる言葉が聞こえたが、どうする事もできない私はそのまま転生された。
目を開けると日本人の男女の顔があった。
転生から四年がたったある日、神様が現れ、異世界じゃなくて地球に転生させちゃったと・・・
他の人を新たに異世界に転生させるのは無理だからと本来行くはずだった異世界に転移することに・・・
転移するとそこは森の中でした。見たこともない魔獣に襲われているところを冒険者に助けられる。
そして転移により家族がいない葵は、冒険者になり助けてくれた冒険者たちと冒険したり、しなかったりする物語
※この作品は小説家になろう様、カクヨム様、ノベルバ様、エブリスタ様でも掲載しています。
【完結】捨て去られた王妃は王宮で働く
ここ
ファンタジー
たしかに私は王妃になった。
5歳の頃に婚約が決まり、逃げようがなかった。完全なる政略結婚。
夫である国王陛下は、ハーレムで浮かれている。政務は王妃が行っていいらしい。私は仕事は得意だ。家臣たちが追いつけないほど、理解が早く、正確らしい。家臣たちは、王妃がいないと困るようになった。何とかしなければ…
積みかけアラフォーOL、公爵令嬢に転生したのでやりたいことをやって好きに生きる!
ぽらいと
ファンタジー
アラフォー、バツ2派遣OLが公爵令嬢に転生したので、やりたいことを好きなようにやって過ごす、というほのぼの系の話。
悪役等は一切出てこない、優しい世界のお話です。
どうも、死んだはずの悪役令嬢です。
西藤島 みや
ファンタジー
ある夏の夜。公爵令嬢のアシュレイは王宮殿の舞踏会で、婚約者のルディ皇子にいつも通り罵声を浴びせられていた。
皇子の罵声のせいで、男にだらしなく浪費家と思われて王宮殿の使用人どころか通っている学園でも遠巻きにされているアシュレイ。
アシュレイの誕生日だというのに、エスコートすら放棄して、皇子づきのメイドのミュシャに気を遣うよう求めてくる皇子と取り巻き達に、呆れるばかり。
「幼馴染みだかなんだかしらないけれど、もう限界だわ。あの人達に罰があたればいいのに」
こっそり呟いた瞬間、
《願いを聞き届けてあげるよ!》
何故か全くの別人になってしまっていたアシュレイ。目の前で、アシュレイが倒れて意識不明になるのを見ることになる。
「よくも、義妹にこんなことを!皇子、婚約はなかったことにしてもらいます!」
義父と義兄はアシュレイが状況を理解する前に、アシュレイの体を持ち去ってしまう。
今までミュシャを崇めてアシュレイを冷遇してきた取り巻き達は、次々と不幸に巻き込まれてゆき…ついには、ミュシャや皇子まで…
ひたすら一人づつざまあされていくのを、呆然と見守ることになってしまった公爵令嬢と、怒り心頭の義父と義兄の物語。
はたしてアシュレイは元に戻れるのか?
剣と魔法と妖精の住む世界の、まあまあよくあるざまあメインの物語です。
ざまあが書きたかった。それだけです。
攫われた転生王子は下町でスローライフを満喫中!?
伽羅
ファンタジー
転生したのに、どうやら捨てられたらしい。しかも気がついたら籠に入れられ川に流されている。
このままじゃ死んじゃう!っと思ったら運良く拾われて下町でスローライフを満喫中。
自分が王子と知らないまま、色々ともの作りをしながら新しい人生を楽しく生きている…。
そんな主人公や王宮を取り巻く不穏な空気とは…。
このまま下町でスローライフを送れるのか?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる