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ミステリアスガール③
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翌日、以前カジノで稼いでギルドに送った金を引き取るためにギルドに寄ってみる。
「こんにちは」
「いらっしゃい、人気者のケーナちゃん」
麗しき受付嬢に名前を覚えてもらえるのは、とても光栄なことだ
「やめてくださいよ。人気者だなんて」
「最近、カスケードのお嬢様と顔がそっくりって噂聞いたけど」
「まぁ、そうなんですよ。私はそこまで似てるとは思いませんでしたけど」
「どうせどっちも可愛いから問題なし」
「今日は、ギルド預け金を引き取りに来たのですが」
「あら、そうなの。いくら引き出すの」
「できれば全額を」
「わかったわ。えーーーっと。ケーナちゃんの預け金は……」
しばらく返事がない。
麗しき顔の眉間にシワが寄っていくのが分かる。
「ごめんなさい、ちょっと数字間違ってるかも。確認してくるのでちょっと待ってて」
そう言うと奥の部屋に消えていってしまった。
カウンターに残されてしまったので、しばらく周りの冒険者達の会話を盗み聞きしていたが、フォリボーラに関する言葉が出てこない。流石に昨晩の事だから噂になるにはまだ早すぎるのだろうか。
本人たちは気づいいていても表沙汰にしたくないのもあるだろう。
「ケーナちゃん!お待たせ」
顔を近づけ小声になる受付嬢さん。
「数字は間違ってなかったけど、その……額が多いから、カウンターだと誰かに見られちゃうでしょ。金庫室まで直接取りに行っていいってギルマスから許可貰ったから。ケーナちゃんはアイテムボックス持ってるって聞いてるし、それでいいかしら」
「それでお願いします」
「ありがとう。ここまで運んでって言われたらどうしようかと思ってたの。案内するからついて来て」
「はーい」
厳重そうな扉の部屋の前まで案内されると、受付嬢が何なら唱えている。
鍵で開け閉めするタイプではなさそうだ。
部屋の中には山積みにされた木箱。そこに金貨が詰められているそうなので、それを次々と空間収納内に放り込む。
全部入れ終えても枚数が足りてなかった。手癖の悪い誰かがいたのだろうか、もしかしてコピーエーナの仲間がやったのかと考えていたら
「あのーギルマスからの伝言で、足りない分はちょっと待てってくれって言ってたよ」
「え、あーはい!」
補填してくれるつもりなのだろうか。でもコピーエーナが盗んだとしても表面上はつながりがないのでこちらからわざわざ言う必要はないが……
「あのー、ここだけの話、私もギャンブルで勝って何枚になったか覚えていないので足りない分は保管手数料と言うことで構いませんよ」
「え、いいの。結構大きい額って聞いてるけど」
「いいんです。いいんです。ギルマスにそのようにお伝えください」
「ケーナちゃんまだ子供で小さいのに、次期魔王ともなると器は大きいのね」
「やめてくださいよ。何も出ませんよ」
と言いつつこの大金を持ち出したことを噂にされたくないので、口止め料として金貨10枚を受付嬢に握らせておいた。
受付嬢が今日一番の笑顔を見せてくれたのはこの時だと思う。
家に戻ると、リビングでプリツがカプリとポーキに昨晩のことを熱く語っていた。
それに感化されて今晩2人がついてこないかとヒヤヒヤしながら横を通る。
「あ、お帰りなさいケーナ」
「ハクレイ、ただいま」
「どうでしたか? ギルドの方は」
「んー、まだ何も情報は無いみたいだね。もしかしたらギルドカードが無いことにもまだ気づいてないんじゃないかな」
「十分あり得ますね」
「今夜は2箇所行く予定だから、よろしくね」
「わかりました」
その夜のお勤めも何事もなく、集めたギルドカードは全部で8枚。
更に翌日もギルドや猫目亭に出向いて、何か噂がないか聞き耳を立ててはいたもののやっぱりいつも通りだった。
そして3日目夜。
最後は5人全員が白銀で、この町で最強と言われているベケスドパーティー。
リーダー1人が男で、あとの4人は女という。小規模ながらもハーレムを築き上げたリーダーには一目置きたい。
侵入する前に探索で確認したところ1つの部屋に5つの人族の反応が一部屋に集まっている。しかし灯りは点いていないことから事が終わった後なのだろうと思っていた。
寝室では予想通り大きなベットで全員裸で寝ている。
それを見たハクレイが恥ずかしがっているのが、これまた可愛い。
全員のギルドカードは難なく頂戴することができた。
ただこれでさようならではなく、この拠点には全部で6つの反応があったので、最後に寝室の隣の部屋を確認しておくことに。
最後の部屋は外から鍵が二箇所。中に入ったカプリは内側から鍵を開けられないと言ってる。中は窓も無いから真っ暗でよくわからないそうだ。
倉庫ともいえるが、中に誰かがいるのは分かっているので独房のようにも思える。
「どうするの? 外から鍵開けられる?」
「ちょっと強引だけど……」
鍵開けの際の音はどうしても響いてしまう。
しかたないのでアブソーブに頼ることにした。
ドアに通れるぐらいの大きな穴を開け中に入る。そろり、そろりと中を見渡すと部屋の隅っこに何かがある。スキル夜目を獲得し良く見ると、女の子が1人寝ていた。足枷が付いているので、仲間では無いのだろう。
「なんでこんな所にヴァンパイアがいるのよ」
プリツには分かるらしい。いままで多くの種族を見てきたが、ヴァンパイアの子供は初めて見る。
「ヴァンパイア? ホントに? 私は初めて見るよ」
「確かに珍しいけど、ヴァンパイアは陽の入ることない深い森から出ることができないはずよ」
「じゃ、なんでこんなとこで」
「迷子ってわけでもなさそうね」
とそこへハクレイもやってきて
「多分奴隷として売られたか、これから奴隷として売られるのではないのでしょうか」
ハクレイはヴァンパイアらしき子供が奴隷として高値で売られていくのを見たことがあるそうだ。
「可能性は十分あるね。どちらにしてもこのままほっとくつもりはないよ」
今私は泥棒なので、盗むことに躊躇はしない。
そのヴァンパイアを空間収納に入れると、そそくさとベケスドの拠点を後にした。
「こんにちは」
「いらっしゃい、人気者のケーナちゃん」
麗しき受付嬢に名前を覚えてもらえるのは、とても光栄なことだ
「やめてくださいよ。人気者だなんて」
「最近、カスケードのお嬢様と顔がそっくりって噂聞いたけど」
「まぁ、そうなんですよ。私はそこまで似てるとは思いませんでしたけど」
「どうせどっちも可愛いから問題なし」
「今日は、ギルド預け金を引き取りに来たのですが」
「あら、そうなの。いくら引き出すの」
「できれば全額を」
「わかったわ。えーーーっと。ケーナちゃんの預け金は……」
しばらく返事がない。
麗しき顔の眉間にシワが寄っていくのが分かる。
「ごめんなさい、ちょっと数字間違ってるかも。確認してくるのでちょっと待ってて」
そう言うと奥の部屋に消えていってしまった。
カウンターに残されてしまったので、しばらく周りの冒険者達の会話を盗み聞きしていたが、フォリボーラに関する言葉が出てこない。流石に昨晩の事だから噂になるにはまだ早すぎるのだろうか。
本人たちは気づいいていても表沙汰にしたくないのもあるだろう。
「ケーナちゃん!お待たせ」
顔を近づけ小声になる受付嬢さん。
「数字は間違ってなかったけど、その……額が多いから、カウンターだと誰かに見られちゃうでしょ。金庫室まで直接取りに行っていいってギルマスから許可貰ったから。ケーナちゃんはアイテムボックス持ってるって聞いてるし、それでいいかしら」
「それでお願いします」
「ありがとう。ここまで運んでって言われたらどうしようかと思ってたの。案内するからついて来て」
「はーい」
厳重そうな扉の部屋の前まで案内されると、受付嬢が何なら唱えている。
鍵で開け閉めするタイプではなさそうだ。
部屋の中には山積みにされた木箱。そこに金貨が詰められているそうなので、それを次々と空間収納内に放り込む。
全部入れ終えても枚数が足りてなかった。手癖の悪い誰かがいたのだろうか、もしかしてコピーエーナの仲間がやったのかと考えていたら
「あのーギルマスからの伝言で、足りない分はちょっと待てってくれって言ってたよ」
「え、あーはい!」
補填してくれるつもりなのだろうか。でもコピーエーナが盗んだとしても表面上はつながりがないのでこちらからわざわざ言う必要はないが……
「あのー、ここだけの話、私もギャンブルで勝って何枚になったか覚えていないので足りない分は保管手数料と言うことで構いませんよ」
「え、いいの。結構大きい額って聞いてるけど」
「いいんです。いいんです。ギルマスにそのようにお伝えください」
「ケーナちゃんまだ子供で小さいのに、次期魔王ともなると器は大きいのね」
「やめてくださいよ。何も出ませんよ」
と言いつつこの大金を持ち出したことを噂にされたくないので、口止め料として金貨10枚を受付嬢に握らせておいた。
受付嬢が今日一番の笑顔を見せてくれたのはこの時だと思う。
家に戻ると、リビングでプリツがカプリとポーキに昨晩のことを熱く語っていた。
それに感化されて今晩2人がついてこないかとヒヤヒヤしながら横を通る。
「あ、お帰りなさいケーナ」
「ハクレイ、ただいま」
「どうでしたか? ギルドの方は」
「んー、まだ何も情報は無いみたいだね。もしかしたらギルドカードが無いことにもまだ気づいてないんじゃないかな」
「十分あり得ますね」
「今夜は2箇所行く予定だから、よろしくね」
「わかりました」
その夜のお勤めも何事もなく、集めたギルドカードは全部で8枚。
更に翌日もギルドや猫目亭に出向いて、何か噂がないか聞き耳を立ててはいたもののやっぱりいつも通りだった。
そして3日目夜。
最後は5人全員が白銀で、この町で最強と言われているベケスドパーティー。
リーダー1人が男で、あとの4人は女という。小規模ながらもハーレムを築き上げたリーダーには一目置きたい。
侵入する前に探索で確認したところ1つの部屋に5つの人族の反応が一部屋に集まっている。しかし灯りは点いていないことから事が終わった後なのだろうと思っていた。
寝室では予想通り大きなベットで全員裸で寝ている。
それを見たハクレイが恥ずかしがっているのが、これまた可愛い。
全員のギルドカードは難なく頂戴することができた。
ただこれでさようならではなく、この拠点には全部で6つの反応があったので、最後に寝室の隣の部屋を確認しておくことに。
最後の部屋は外から鍵が二箇所。中に入ったカプリは内側から鍵を開けられないと言ってる。中は窓も無いから真っ暗でよくわからないそうだ。
倉庫ともいえるが、中に誰かがいるのは分かっているので独房のようにも思える。
「どうするの? 外から鍵開けられる?」
「ちょっと強引だけど……」
鍵開けの際の音はどうしても響いてしまう。
しかたないのでアブソーブに頼ることにした。
ドアに通れるぐらいの大きな穴を開け中に入る。そろり、そろりと中を見渡すと部屋の隅っこに何かがある。スキル夜目を獲得し良く見ると、女の子が1人寝ていた。足枷が付いているので、仲間では無いのだろう。
「なんでこんな所にヴァンパイアがいるのよ」
プリツには分かるらしい。いままで多くの種族を見てきたが、ヴァンパイアの子供は初めて見る。
「ヴァンパイア? ホントに? 私は初めて見るよ」
「確かに珍しいけど、ヴァンパイアは陽の入ることない深い森から出ることができないはずよ」
「じゃ、なんでこんなとこで」
「迷子ってわけでもなさそうね」
とそこへハクレイもやってきて
「多分奴隷として売られたか、これから奴隷として売られるのではないのでしょうか」
ハクレイはヴァンパイアらしき子供が奴隷として高値で売られていくのを見たことがあるそうだ。
「可能性は十分あるね。どちらにしてもこのままほっとくつもりはないよ」
今私は泥棒なので、盗むことに躊躇はしない。
そのヴァンパイアを空間収納に入れると、そそくさとベケスドの拠点を後にした。
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